意識を科学し、ハタヨガを真摯に学ぶループを考える
脳と心の研究・理解は進んでいるが、実は『意識』の正体は解っていない。「脳の情報処理の結果」によって生じるナニカ…その程度である。
そして最近の研究では、この「情報」すら存在していないのでは…と言われ始めている。
つまり脳が処理するのは「情報」ではなく単純に「エネルギー」である。
人の脳は体の2%程度だが、身体エネルギーのおよそ20%が消費されている。つまり、エネルギーを膨大に喰う機関なのだ。
■ エネルギーの循環と意識
ご存知のように、麻酔をかけて脳波測定をすると、脳波のシグナルが複雑であればあるほど、その人物の『意識』は高い。
そして測定されているのはエネルギーの流れであり「情報」ではない。
つまり『意識の強さ』は脳内の「情報」ではなく、そこに流れる「エネルギー」の量である。
このエネルギー…電気信号は、最初は微量なものなのかもしれない。
しかし人は、最初のきっかけで自分の脳内に出力された電気信号を、もう一度脳内の入力側へと入れ直す。
そしてこれを、永遠に繰り返している。
すなわち電気信号のループである。
こうして脳内に電気信号を無限に、そして無作為に循環・暴走させ、さらなる膨大なエネルギーを生み出しているのである。
エネルギーを喰いながら、エネルギーを創り出し、またそのエネルギーを喰う。
そしてその結果生み出されるナニカ
…それが『意識』
つまり『意識』を高く持ちたいというのなら身体に膨大なエネルギーを貯め、無限に循環させる必要がある。
■ 自らの力で、創る
ハタヨガとは呼吸を通したエネルギーワークである…というのは、私の最もしっくりくる考え方だ。
闇雲にやたらと長く瞑想をしたり、アーシングと称して裸足で大地に立つことを推奨している訳ではない。
まずはエネルギーの器となる自分の身体を創り、漏れなくエネルギーを身体に貯め循環させる状態を、先に創る必要がある。
これが身体鍛錬ともいうべきハタヨガ、すなわちアサナプラクティスということになる。
もちろん単に筋肉を付ける以上に、食事や様々な在り様に気をつける必要も出てくるかもしれない。
それによってアサナの練習の質が上がるからだ。
アサナを練習し、隅々まで自分の身体感覚を研ぎ澄ませ、そして細かな動かし方を学ぶことで、脳内の電気の通り道を増やす。
より複雑な回路を構築することで、より多くのエネルギーを生み出せる脳を構築するわけである。
そして呼吸を使ってそこにエネルギーを流す。
脳は呼吸で取り入れた酸素の30~50%を消費している。
身体を鍛え、呼吸を鍛えるのは、より良く生きることを目指すものにとって、当たり前の練習である。
同時に、脳を休めスムーズなエネルギー循環を促すための瞑想も欠かせないといえるだろう。
■ 知識を得ることで、生かす
私は何も、エキセントリックなことを言っているわけではない。
事実として、意識はこのように、単純にエネルギーに寄って生み出され支えられているものだということを言っているだけだ。
そしてそのエネルギーを生み出し、貯めているのは、他ならぬ自分自身の身体であるということ。
だからこそ、知識だけでなく、実行/実践していくことが大切になる。
ヨガは良く、知識先行ではなく経験先行で有るべきといわれる。
実行なき者に成功なし…だからである。
確かに、いくら脳の仕組みや意識の在り様を知ったところで、身体がそれを担うだけの器官となってなければ意味はない。
しかし、知識を得ることによって納得することは…よりヨガを信頼し、真摯に練習する糧となる。
更に言えば、ヨガをエキセントリックで宗教的な、お花畑が湧いてる人々のモノで無くすことができる。
知識を得、知識を知らせることで、ヨガというものが単純に、より良く生き人生を全うしたいと願う人たちの、大きなツールになるのではないだろうか。
恐らく多くの人が、ヨガを練習し、経験を積むことによって、自分自身の身体に、自分のチカラでエネルギーを創り出せることを知るだろう。
そしてヨガを浸透させる程に、自分の内側に、無限のエネルギーを産むループを作り出す。
永遠に繰り返されるループがまた、ここにも存在しているのである。