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生命爆発映画『サユリ』感想

ネタバレ注意


まいどまいど。

白石晃士監督の最新映画『サユリ』を観てきましたよ。

俺は白石監督の大大大ファンですよ。特にコワすぎ、オカルトをはじめとしたモキュメンタリーホラーは大好物。コワすぎの最強キャラランキングも作っちゃったし。

そんなわけで、今作『サユリ』も…

超最高!!!!!!!!!!!


まずなんと言っても根岸季衣さん演じるおばあちゃん。コワすぎの工藤D、カルトのNEOのように、とにかくオバケに対し敵対心MAX!情け容赦無しに対抗していく姿はまさに生命の化身。

それでいておばあちゃんの行動の根底にあるのが、孫に対する愛と家族を奪われた怒りというのがなんとも素晴らしい。白石監督作品に登場するハチャメチャキャラクターの中でも一際魅力的だった。

それと同時に、南出凌嘉さん演じる主人公の神木則雄も魅力的だった。ただのリアクション役に留まらず、家族想いで心優しい一面や、おばあちゃんとの修行を通じて成長していく様子が美しい。段々と霊に対して豪快になっていく描写はコワすぎの市川を彷彿とさせた。

そんなわけで、とにかくキャラクターが良い。思えば白石監督は魅力的なキャラクター造形が異常なほど上手い(もちろん原作の時点でいいキャラだからってのもあるが)。

コワすぎの工藤Dやオカルトの江野くんは、嫌いになり切れない絶妙なバランスを保っているし、カルトのNEOやサダカヤのけいたまは、ハチャメチャやらかすがとにかくカッコいい。

思うに、監督は人間の倫理観や価値観を繊細に読み取れるのだと思う。

今作でも、その倫理スレスレ度合いは健在。

おばあちゃんは人間を拉致するし、サユリは家族ほぼ全員殺すし、今作に純度100%の善人は住田くらいしか出てこないわけだが、それを納得に導く力が凄まじい。単純な理由付けでなく、心に直接踏み込んでくる何かがある。

「性的虐待の後に殺された少女が怨念になってしまい、後から引っ越してきた家族を殺しまくった」という内容自体、特に矛盾しているわけではないのだけれど、視聴者の心は「気持ちはわかるよ」ではなく「許せねぇよなぁ!!」になってる。ここまで引き込まれる映画はなかなか無い。

家族に殺されたサユリと、家族を殺されたババアの最終決戦。怒りと怒りの千秋楽。絶対に盛り上がる。

あのシーン、画角といい、和室といい、触手に向かっていく感じといい、コワすぎ劇場版序章のラストみたいだったよね。


今作の根底にあるのは「命」。オバケは不思議な力を使うし、容赦もないし、何より強い。

そんなオバケに人間が唯一勝る点、それは「生きていること」。生きるために食べ、生きるために眠り、生きているから笑う。『元気溌剌オマンコマンマン』の掛け声で溢れ出る生命エネルギーで、凶悪幽霊サユリと、その背後に広がる邪悪に立ち向かう。

めっっっっっちゃ良かったし。もう、めっっっっっっっっっっちゃ良かったし。

まさに白石晃士監督の真骨頂。これからもたくさん白石監督の映画を観たい。

これからの白石監督はどんな作品を作るんだろうか。コワすぎは終わっちゃったし、なんなら白石ワールド自体も「オカルトの森へようこそ」で一段落ついちゃった感じだもんなぁ。またあの世界観に潜りたいけど、何はともあれ、監督の次回作も超期待して待ってます!

終わり!

追伸:コワすぎの市川を演じる久保山さんのゲスト出演とか、龍玄という名の霊媒師とか、そういう過去作を匂わせる描写、大好き。

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