【一首一句 その三十六】花の色は

【本日の一首】
花の色はうつりにけりないたずらにわが身世にふるながめせしまに(古今集、春歌一、113)

(鑑賞)
百人一首にも掲載されている有名な小野小町の一首。
散ってしまった桜の花に自分を重ね合わせて、老いたり衰退していく自分のことや社会、世界のことを時間の経過とともに味わる歌です。
一句目が字余りになっているのが実はこの歌のポイントで、重みを作っている要因ではないかと思います。
世にふる、ながめ、などよく見たら縁語や掛言葉が使われていることが伺えるような技術も伴っているけれども、それ以上に人の普遍的な感情を揺さぶるこの圧倒的な情感というか、それがこの歌のすごいところのように感じます。

【本日の一句】
うつろひの世の中花のセピア色

一首を踏まえた上で、セピア色になってしまった花の色をうつりゆくものとして捉えて表現しました。
ただちょっと名詞のごちゃごちゃした一句になってしまったかな。おそまつ。

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