ベスト・キッド感想※ネタバレあり

 地上波で流されたベスト・キッドをの録画を何度も見返したのは小学校の5年か6年くらいの頃だったはずだ。小学生の頃はみんな同じだと思うが、詳しいストーリーには着目せず、カンフーの試合のシーンや特訓のシーンを食い入るように見ていた。いじめっ子のボスの顔が本当に悪そうで適任だなと思ってたのも覚えてるし、なんならたぶんその顔も結構覚えてた。主人公の顔ももちろんだ。今日は当時抱いた感想にも触れつつ、20歳になってもう一度見て思ったことをつらつらと書く。
 まずストーリーについてだ。幼い頃に父を亡くし、12歳の頃に母の仕事の都合でデトロイトから中国に引っ越してきたドレは初日にいじめっ子(チョン)が好きな子(メイ)に話しかけてしまい、チョンに目をつけられてしまう。ドレも何度かやり返しはするものの向こうは大勢な上に格闘技の道場に所属しており喧嘩が強くボコボコにされる。学校では嫌がらせもされる。1週間もしないうちにここが嫌いだ、と泣いてしまう。そしてある日、チョンに一矢報いようと水をぶっかけたドレはチョンたちに捕まりボコボコにされそうになる。しかしドレのマンションの管理人であるハンが見かねて止めにきて、チョンたちを見事にいなしてドレを助ける。いじめられ続けるドレを見るに見かねたハンはカンフーをドレに教えることになる。チョンの所属する道場にいじめを止めるよう言いにいったところ、話のわからない向こうのコーチのせいでカンフーの大会でチョンと戦うことになる…。
 シンプルなストーリーだが、今になって見返してみると細かい描写やストーリーが感動的だと感じた。印象に残ったシーンや描写や人物像をメインに、どうでもいいような軽い感想も書く。(・が弱いやつで○がちゃんと書きたいこと)
・最初のストーリーを全然覚えていなくて驚いた。
引っ越してきたとか、そう言うのを全く覚えていなかった。試合とか修行のシーンばかり見ていたからだろう。
・ドレが意外にチョンにやり返しをしているところ
昔見た覚えではそのイメージはなかった。嫌なやつがいるなあくらいだったけど、内向的な自分とは違ってしっかりやり返してて意外に思った。だからこそヒロインのメイに積極的に話しかけにいって仲良くなれるんだろうなと思った。
○細かい思春期の男としてのドレの描写
母親はシングルマザーなこともあるのか、非常にドレを可愛い子扱いしている。そんな母親から少し距離を置きたいと思っている(特に家の外)様子が何度も出てきてリアルで細かいなと思った。また、大会の決勝の前怪我をしてしまったときに母親とメイがお見舞いに来たがそんな苦しんでる情けない様子を見られたく無いから2人がいる時だけ腕で顔を覆って見えないようにしている描写などもすごくリアルでよかった。
・メイとドレのキスシーン、ドレッドヘアやから観客席側からこんなにわかりやすいんかいって思った。当時はうわー神秘的なとこでチューしたーくらいにしか思ってなかったけど。
○戦闘のシーン
全体的にビシッとした効果音とスピード感のある動きとカメラワークで、レーザーとか剣とかそう言うのでは無いのに非常に見応えがある。会心の打撃が決まる時の音もすごく気持ち良い。
最初にハンがドレを助けるシーンでは、ハンがチョンたちに襲われても自分からは決して殴らないことが強調される戦闘シーンだった。それまでは引っ越してきたばかりなのに憂鬱そうなドレを心配そうに見ているハンだったが、ここで強いことが判明した。しかしジャッキーチェン演じるハンは優しい顔つきで息も切れており、普段は戦わない、ということが丁寧に描写されていたようにも思える。
特訓のシーンではジャージをかけて取って来て脱いで落として拾ってを繰り返すのが続いてる様子が、スタンドを使った傘とかに表れていておもしろかった。そしてドレがもう特訓とも思えないような命令にうんざりしてきた頃に、ハンがドレにジャージの動作だけを指示してカンフーの打撃の撃ち合いになったシーン、あれガチの名シーンですよ。本当に昔から大好きだったなあのシーン。意識できてないけどたぶんBGMも壮大だったと思う。本当にゾワっとする。ワクワクする。ドレが母親に「ジャージを床に置くな」と言われていたシーンが前振りとなってハンはドレに礼儀を教えてると最初は思ったはずだが(昔すぎて覚えてない)、そうではなくて戦闘の動作を教えていたんだとわかるあのシーン、作ってる人らすごすぎです。ただ、「人生の全てがカンフーなんだ」と言っているシーンもいいですね。礼儀とかあってのあの技なんだってことですね。
大会での戦いでは2点先取の最初の方でドレがやられてしまうシーンとかはあっけなく描かれたりしている感じも懐かしかった。
決勝の3点先取で最初取られるところ辺りは、カメラがブレブレでしっかり見えない感じ、昔見た時から印象に残ってたなと思った。でもこのブレブレはすごくいいと思った。ドレが「怖い」と思っているチョンを前にして少したじろいでいて、やはり一本取られて動揺してる様子が表れてるし、その中でのドレの強張った感じの表情からそれでも覚悟を決めて挑まないと、って気持ちがひしひしと伝わってきました。ブレブレのカメラワーク、これいいですねほんと。
・てか一試合目、逃げ出すような状態から特に時間も置かずにすぐ勝てるメンタルまで持ってたのまじですごいです、俺は高校の頃の部活とか20分間ずっとペース出せずに負けるみたいなん多かったので。
・メイのバイオリンの指導シーンで思ったけど、楽器とかのレッスンって、指導者に怒られる緊張感がある環境が演奏者を本番に強くさせるのかなって思った。小さいからピアノやってたけど先生が怖かったから発表会は緊張するけど今ほどガチガチには全然ならなかったなあ、とか思い出しました。自分バンドでエレキギターやってるんですけど緊張感がある環境でもっと練習すべきだなーと思いました。
・メイと遊びに行くシーン懐かしいなあ、小学生だったしドキドキワクワクしてた気がするなあ(まあ俺今も女性経験ほぼ無いのでドキドキワクワクしましたが)
○ハンが昔に他愛のない口喧嘩で車をしっかり運転をし損ねて妻と息子を亡くしたことを明かしたあとドレに特訓を始めるシーン
特訓を休みにして思い出の車をハンマーで破壊するハンを目撃してしまうドレ。視聴してる側としてはあー、休みの日なのに勝手に行ってまずいなーと思ってしまったが、ハンにとっては冷静さを取り戻したきっかけになったはずだ。愛情を込めて特訓しているドレを前にして自暴自棄でい続けるわけにはいかなかったのだろう。涙を流しながらハンが過去の事故のこと、そして毎年事故の日にこの車を壊しては一年かけて直し、また壊しては直しを繰り返していることを語るのをドレも涙を流して聴く。子どもはこんな話涙流して聴けるもんなのかなーと思ったけどきっとお互いをそれぞれ親と子のように思っていたのかな、むしろ普通の親子よりも強い絆があって共感できているんじゃないかなと思う。父親は偉大で強くてどこか逆らいがたいっていうステレオタイプはあると思うが、自分を助けてくれて強くて言葉に重みがあって厳しい、まさにそんな様子のハンは幼い頃に父を亡くしているドレの目にはとても「父親」のように映っただろうし、亡くした息子と歳が近く、最初は弱くて守ってやらなくちゃいけないようなドレは息子を守れなかったハンの目にはより「子」のように映っただろう。そしてハンの話を聞いたドレは何も言わずに特訓用の竹をとりハンの腕に竹についたひもの輪を通す。泣いているハンは顔を上げて少し驚いている様子だが、動くドレに合わせてハンも動き出す。ハンは「落ち込んでいて立ち直れるかどうかは自分の行動次第、と気づかせてくれてありがとう」と言い、次第に2人の動きはいつもの特訓の動きに変わる。夜、月光が彼らの影を美しく映し出す。無駄な言葉で慰めたりするんではなくて子ども特有のフィーリングみたいなものなのか、ドレは行動で過去の出来事をハンの成長に繋げた。(子どもって人間じゃない、っていう高校の国語の先生が言ってたことが思い返される)美しく2人の絆が強調された。
(補足)ハンがドレの恋愛を見守る様子もなんか優しく見守ってる感じで、でもニタニタしてない感じなのは自分の息子思い出してちょっと感傷的になってるんかなーとか思った。
○山の頂上の龍の泉を飲むことで「氣」が宿り全てがうまくいく、「静」の状態にいるとヘビが人の真似をする、ハンの扱う炎で怪我が治療できる、などスピリチュアルな設定もあり少し最初は違和感もあったが、中国のカンフーという伝統の格闘技を題材にしているため、神秘さがあってもまあいいか。チョンの道場で教えられている格闘技のようなただの乱暴にはその神秘さは宿らないことも強調されていたのでよかったと思う。
・細かいジョークのあとシュールになってすぐ別のシーンに飛ぶ感じとか懐かしいなーって思った。BGMも結構覚えてたなあ。
・当時は日本語吹き替えで見たけど、結構ドレの声が似てたなーって思った。
・メイの親に謝って許してもらえたあとにハンが「合格だ」みたいなこと言ってBGMが流れながらシーンが切り替わるところはサクッといろんなことが並行して上手いこと言ってる感じで好きだったのも思い出した。またドレが中国語でメイの父親に謝っているところを見まもるハンは父親のようだと感じた。
・ラストシーン、当時も思ったけどドレとハンが笑顔で肩組んでるとこでパッて終わるの印象的ですね。緩やかに終わる感じじゃなくて、絶頂のとこでぱっと終わる感じ。懐かしいです。
・ほんでさすがに子よりは教育者が悪いっていっても無抵抗の人間殴りまくるのとかさすがに子も悪いで。正直もう少しがっつり勧善懲悪でしっかり改心して謝る描写欲しいっちゃ欲しかった。まあスカッとジャパンちゃうしチョンとの関係性というよりは、ハンとドレの2人がスポットライトの中心の物語やからええけど。
・戦闘シーンのとこにも書いたけど、ジャッキーチェン穏やかで安心感のある顔すぎるやろ。攻撃的じゃないカンフーと相性良くてほんまに適任。他の悪役側の人もなんかほんまに悪そうで適任。配役がハマってるなあー。
・山登ってかシーンで吹き替えで「中国語で水ってなんて言うの?」「シュイだ」「オラ、シュイが欲しい」って言ってるシーンはまじでずっと忘れてなかって懐かかった。
・あと髪の毛めっちゃ真ん中にピンピン立ててる青い服のカンフー選手もおったなーってなりましたね。懐かしい。
・本当にどうでもいいけどハンがドレを呼ぶ時のシャオ・ドレのシャオが「小さい」、「〜ちゃん」なの樊振東のシャオパンで知ってたからちょっと嬉しかったです。あと公園に卓球台あるのも。どっちも中学、高校くらいで知ったから。

本当にどうでもいいことから結構しっかり書きたいなわって思ったことまでガッチャガチャで文体もごちゃ混ぜで書きましたけど、楽しく読んでくれてたら嬉しいです。

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