悲しいプリズンブレイク / 焼きビーフンとチーズパン
多分、どこの老人ホームでもそうだと思うのだけど、、出入り口やエレベーターは、電子ロックになっている。4桁以上の暗証番号を押さないと開閉出来ない。
それはもちろん利用者様の安全を守るためのシステムなのだろうけど、最初の頃はビックリした。
しかし、うちの法人だけでも沢山ある特養を含め、おそらく全国の老人ホームで、離設は、絶対にあってはならないものの、避けられない事故の一つだと思う。
どこかのホームで離設があると、いつ如何なる時であろうと、関東中、可能な限りの人数で探し回る。昔、うちの施設でもあったが、他所の施設の人々が沢山応援に来てくれて、短時間のうちに無事に見つかった。
そして、先日の夜半、ある施設でまたしても離設があったらしく、ラインワークスが深夜まで鳴りっぱなしだった。
ショートステイの方で、要介護度2くらいの方なので電車に乗ってどこかへ行ってしまうこともあり、捜索は難航を極めた。
でも、最近、ふと思う。もしも自分が認知症で、施設に居たくないと思ったら、絶対逃げ出すだろうなと。どんな手を使ってでも。そりゃあ、もう、プリズンブレイク並みに。
ラインワークスを目で追って行くと、その方は、ご自宅でも過去3度行方不明になったことがあり、4日後に見つかったこともあるそうだ。
その時発見されたそれぞれの地名3か所を目で追うと、例えば、ある人はさいたま県だったり、ある人は千葉県だったりと、だいたいその人が逃避行する方向が決まっている。
それを読む度、切なくなる。
逃げる。向かう。それらの行動には理由があるからだと、当たり前のことだけど感じるから。
他所の施設の利用者様なので、これは叶わないことだが、願わくば、その人のエピソードを聴きたいし、可能ならば、ストレスの無い程度について回り、好きなところへ行かせてあげたい。(まあ、いつもは施設内徘徊の小さなスケールでそれをやっているわけだが。)
現場のスタッフは、その人が離設するという事故が起こってから初めて、相談員から家族事情を聴かされたそうだ。それまで、そんなに健脚で、過去、そんなに行方不明になる人だとは知らなかったとか。
しかも、行方不明になった後もご家族に連絡が取れなかったり。
他所の施設のことではあるものの、胸がザワザワする話だった。
現場は必死で、皆さんプロだし、離設がどんな重大事故か理解しているので、うちの施設ではなかなかそういったことは起こらない。それでも、沢山の人数がいるので、それを守り通すには想像を絶する苦労がある。
もしも、その人の個性や特性、エピソード、何故ショートステイを利用するに至ったかという情報をもっとしっかり現場に伝えていたら起こらなかった事故だと思う。
そして、相談員とご家族のラポールも取れていないというケースも多々あるのは、重ね重ね残念なことだと思う。
”入所させるだけで必死なんです、分かって下さい。”という話をよく聴く。
商品の仕入れか何かと間違ってるらしい。
人間だぞ。
頑なに言い訳ばかりして、それが理解できない限り、いつまでも、一部の高齢者の方々にとって、施設は刑務所と同じ。それは、悲しいが、事実だ。
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一度やってみたかった。
焼きビーフン(塩味)と、チーズパンのランチ。