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雨、時々雹、そして、夕焼けの後に夜が来た

お引越しが何とか終わった。業者さんのトラックが2往復。

たった3年ちょっとで荷物って溜まるのね。前のところより一部屋多いはずなのに、全然手狭に感じる。大分物を捨てたつもりなのに。

旅行でホテルに泊まる時などはトランク一つで何不自由なく過ごせているのだから、本当はこんなに沢山いらないはず。こうして、必要に迫られて断捨離する時というのは、自分の強欲さを思い知る。

昼頃に荷物運びが終わって、それからKちゃんは寝室、私は台所を何とか形にしたのだけど、それだけで1日が終わってしまった。

レイアウトをどうして良いのか分からず、未だ落ち着かない。これは当分の間、毎日試行錯誤すると思われる。

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業者さんが荷物を運びこんで下さっている間、雷が鳴り、またしても雹が降って来た。ボツボツボツボツ!と激しくぶつかる音がする。

思わず4階にある新居のベランダに出て、強い雨と雹、そして、遠くに見える晴れ間を眺めてた。

3羽の白い鳥が大きな翼を羽ばたかせ、急ぐように上空を通過した。凄い。白鷺?!

久しぶりに見た。しかも、3羽ってのは故郷でも見たことない。必死そうだった。

そして、よくよく見ると、蜂やセミや、虫たちも必死でそれぞれの方向へ、必死で飛んで行く。

これが人だったら、「大丈夫っすか?少し休んで行きますか?」と我が家のサッシを開けたと思うのだけど、鳥や虫がいっぱい来ても困るので、「頑張れ。」と応援するにとどめておいた。

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世の中は、誰かの仕事で支えられている。

それは分かっているつもりだったのだけど、こんな天候の日に頑張って4階まで荷物を運んで下さる業者さんたちには頭が下がる思いだった。

半端に手を出されると邪魔になるとは分かっていつつも、”小さなものだけでも”と運んでいると、2回の階段の踊り場のところで窓を指さし、「あ、見て。ヤモリです。」と言われる。

ほんとだ、ここら辺では珍しい。外側から張り付いているヤモリに『可愛いね。よろしく!』と声をかける私。それと同時に『怖っ!』というKちゃん。

そう、Kちゃんは爬虫類とか両生類とかは苦手なのだ。私も特に好きなわけではないが、白い大きなヤモリで、何となく、こちらの様子を伺っているような気がしたので、ついつい話しかけてしまった。

東京での引っ越しの挨拶って、どこまでやって良いのか迷うのだが、結局は両隣と階下の住人の方と、このヤモリさんだけにとどめて置いた。

そして夜になり、Kちゃんの悲鳴が聞こえた。

どした?白鷺?セミ?蜂?

どれでもなかった。

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台所の窓の外側に白いヤモリが張り付いていた。摺りガラスにペタン!と。

『ああ、昼間、2階の窓に居た子だね。』と話しかけると、頷いているシルエットが分かる。

『ぎゃああ、頷いた!聞こえるの?窓閉まってんのに聞こえんの?ってか、わかんの?』と、ますます持って騒ぐので、ヤモリさんに『すみません。悪気はないのですが、うちのが苦手なもので。』

すると、再び頷いて、シュルシュルーーと、上へ上って行った。

これからも多分会う事があると思うのだけど、突然だと、多分、私でもビックリするので、その辺のところを重々お願いしておいた。何となく、上の方に向かって。

果たして、どこまで汲んでくれるのか。

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