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リスケ/きのう何食べた?/新宿つるとんたん
『なぬ?Ohzaちゃん、連休?ということは、明日も休み?』と興奮するKちゃんの思惑は、『じゃ、映画でも観に行こう!』だった。
いつぞやも突然『台風で人が少ないだろうから”孤狼の血 Level2”を観に行こう!』と強風の中、銀座まで行ったなあ。夜だと、銀座のそこしか空いていなかったのだ。
しかし、今回は、せめてもの前日の決定だったし、昼間なので新宿あたりで大丈夫。ネット予約をして鼻歌を歌って上機嫌だった。
が、その直後、社内メールを自宅PCで見て絶句。
先日、他所の施設長とチームを組んでやっている研修プロジェクトが、先方の都合で中止になったのだが、『明日の11時からでお願いします。』とのこと。ガッカリ。こちらも色んな仕事の都合があるけど、先方もあるので、これは仕方ない。ちきしょう。
これをKちゃんに話すと、彼女は、このA施設長に対して、呪いの言葉を1時間以上吐き続けていた。ネット予約した映画は、キャンセルも払い戻しもダメ。時間変更もダメなシステムだったから。
じゃあ、もう、夜更かししようと言うことで、さんざん飲んで喋ってラーメン食べて、ネットで映画を観て寝た。
さて、翌朝、私は会議中に議事録を書く準備もあるし、自宅からZoomがきちんと繋がるか?ということも気になったので、会議開始の1時間前にチェックを始めた。
すると、そこに『ISOの監査のため、会議が入りました!本当にすみません!今日もまた中止です!』という社内メール。
時刻は10時過ぎ。
・・・・・・・・・・・・。
隣の部屋に行って、寝ているKちゃんに『会議が中止になったんだけど。』と呟いてみると、ポップコーンのように跳ねて飛び起きた。
『おのれーーー!!!A施設長めー!振り回しやがって!絶対あの施設には異動しないぞ!』と再び呪いの言葉の序章が始まったのだが。
『いやいや、今すぐ支度して出れば、映画観れるんじゃね?』というと、ピタリと口を閉じて1秒後には顔を洗い始めた。
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実際には、ちょっと遅刻したのだけど、『きのう何食べた?』を無事に鑑賞。
一番最初に驚いたのは、この手の緩い映画なのにも関わらず、しかも、平日の昼間だというのに、映画館が混雑していたことだった。最近は、相当のヒット作でも中々こういう状態にはならないから。
またこの作品、ほんとに良いよなあー!と思うのは、人間関係の心のひだが見事に表現されているところ。
ちょっとした沈黙とか、ちょっとした視線のやり場とかで、悲しさや辛さ、やるせなさや気まずさが台詞なしで表現されている箇所が多いのだ。よく、漫画や小説を映画化するとつまらないと言われるけれど、この作品には、それを言わせない俳優さんたちの力量がある。この方々の映像でないと表現できない、それぞれの人物のドラマがあるんだよね。
しかも、それが笑えてしまうんだよね。その時は物凄く真剣で大変だったことが、後から思い出すと笑えることってよくあるのだけど、それがずっと続いているという感じ。
そんなふうにして、もの凄く笑いを取るのが上手なのも、この映画の特徴だ。ついつい吹き出してしまう。後ろの席からも『ぶぶっ!』という笑いが聞こえて来た。
またねー、これが中年男性のカップルだという設定も凄いよ。もしも、若い男性アイドルなんて使ったら、単にボーイズラブが好きな人たちしか集まらなかったかも知れないし。いや、それはそれで面白かったのかも知れないけれど、ここには親子の問題や、社会問題、仕事、恋愛、将来、生活の全てがある。自分にちょっとでも関係があることだと誰しも共感するよね。だから多分、色んな人の色んなところに引っかかると思うんだよね。
前作で登場した人生を共にしたいという老年男性カップルも印象的だったし、スーパーの店員さんに至るまで、出て来る人出て来る人、好きにならずにいられない。前作では、このスーパーの店の中でかかっていたBGMまで耳について離れない状態になっちゃったんだけど、今日は、遠い席から観覧中のお客さんの鼻歌なんぞが聞こえていた。他にも楽しみにしていた人いるんだね。マニアックだわ。
そして、つくづく思う。例えこれが普通(?)の恋愛だったとしても、好きな人と一緒にいる、好きな人と一緒に歩める。この世にこんな幸せなことはないのだなと。
それを知っている人たちが繰り広げる、何でもない、しかしリアルで素晴らしい、素敵なストーリーだった。
そして、まるで知っている人たちかのように『あの人たち、今日も元気かな?』とついつい思っちゃうような映画だった。
***
街は、風が冷たかったけれど、帰りに”新宿つるとんたん”で、ランチした。暖かくて、お腹いっぱいになった。いつも思うけど、店員さんの『うどん、ひと玉で大丈夫ですか?』の質問が凄い。ひと玉で良いよ。