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plateau booksは文京区白山に2019年3月にopenした新刊本屋です。 店名の「plateau」は平坦を意味します。 平坦で変化のない時間。そんな時間にゆっくり本を読む。 そんな時間を、それぞれの楽しみかたで過ごす場所になればと名付けました。 1970年代から精肉店として使われていた空間に、古家具をならべ、本を置きました。 新しく空間に役割をあたえることで、使われなくなった空間から、新しく価値が生まれました。 本屋として、本によって新しい価値、気づき、感情、行動など、 日常のなかで通過している時間に、変化を感じられるようになればと思っています。 中央のテーブルで読書やコーヒーを楽しんでください。 〒112-0001  東京都文京区白山5-1-15 ラークヒルズ文京白山2階 都営三田線白山駅 A1出口より徒歩5分 営業時間 / 12:00~18:00 営業日 / 土・日・祝日(不定休) ※年末年始・夏季休暇等の長期休暇はHPにてお知らせいたします。 ※注文確定のお知らせ、商品の発送は、営業日の土・日になります。ご了承ください。

  • 『HUMARIZINE』No.05 出版

    寺内玲と松岡大雅によるデザイン事務所「studio TRUE」が、毎年1冊制作するZINE『HUMARIZINE』。HUMARIZINEは「人間的である、ということへの追求から社会を拓く」という意味。 【発行者より】 4号(2024年5月)のテーマは「出版」。 studio TRUEはこの一年でリソグラフを導入したり、出版にまつわる授業をやることになったりと、偶然にも出版に関わる複数の機会が重なりました。 それらのことを踏まえ、6冊目にあたる今号で「出版」について改めて考えを掘り下げる必要があるのではないかと考えました。 京大でアーレント研究をし、単著を出版した哲学研究者の林大地、本にまつわるあれこれをしている3人組、アラマホシ書房と一緒に、出版について多角的に向き合うことができた一冊です。 ◼︎仕様 A4、114ページ ◼︎目次 Book1 studioTRUE「ヒューマライジンの出版活動を振り返る」 これまで5年をかけて出版してきた5冊の自費出版誌「HUMARIZINE」と、1年取り組んできた印刷産業のリサーチ「月刊ヒューマライジン」を振り返ることを通じて、「出版」を考える。 Book2 林大地「ルネの山下さんインタビュー」 京都大学生協書籍部「ルネ」の書店員・山下さんへの計3回のインタビューを通じて「出版」にまつわる課題を考える。「出版社-取次-書店」の三層構造が抱える問題とは何なのか。 Book3 アラマホシ書房「出版日記」 何者でもない3人が、出版についての日記を、出版するまでの日記です。 本誌の制作過程を知るための副音声としてもお楽しみいただけます。 BOOK4 studioTRUE × 林大地 ×アラマホシ書房「鼎談:出版という希望」 「HUMARIZINE No.05 出版」に参加した3組、計6人による鼎談。それぞれの小冊子について相互に議論し、「出版」とはなんだったのか話し合う。 ◼︎その他 限定数のためお早めにお求めください レターパックライト(青・郵便受投函)での発送 店舗営業日(金土日)に発送


    2,200円

  • 『HUMARIZINE』No.04 TRUE

    寺内玲と松岡大雅によるデザイン事務所「studio TRUE」が、毎年1冊制作するZINE『HUMARIZINE』。HUMARIZINEは「人間的である、ということへの追求から社会を拓く」という意味。 【発行者より】 4号(2023年4月)のテーマは「TRUE」。 2019年からHUMARIZINEを続けてきたれいぽんと松岡大雅は、2023年1月に「studio TRUE」というデザイン事務所を設立した。 自分たちでデザインという仕事をしていくにあたって楽しみがある一方で、あらゆる不安や焦燥感を感じる日々である。 そんな現実に直面する中、人生の先輩である面々にインタビューさせていただき今私たちが何をすべきか、何を考えていくべきかを聞かせてもらった。 インタビューにはれいぽん・松岡大雅だけでなく村松摩柊、佐野虎太郎、かねだゆりあにも同行してもらい、studio TRUEひいてはHUMARIZINEが目指している共同体をつくることを共に考えながら制作に加わってもらった。 ◼︎仕様 A4、82ページ ◼︎目次 ・はじめに ・対談|studio TRUE始動 ・インタビュー|まつざき淑子 市民活動と議員を掛けるなかでつくる社会 ・インタビュー|真鶴出版 來住友美・川口瞬 試行錯誤しながらふたりで生活し、仕事すること ・インタビュー|VUILD 秋吉浩気ー「独立」をデザインする ・インタビュー|永井玲衣ー絶望する社会からやってくる問いと共に生きる ・対談|おわりに ◼︎その他 限定数のためお早めにお求めください レターパックライト(青・郵便受投函)での発送 店舗営業日(金土日)に発送


    2,200円

  • 大竹央祐+平田悠『AlT』

    写真家・大竹央祐と、編集者・平田悠による建築メディア。 毎号1人の建築家/一つの空間を取り上げ、紹介する。 空間は、床や壁、そしてそこに置かれた家具や文房具の輪郭線によって形づくられる。 立ち上がった建築の形が振る舞いに影響を与えるように、振る舞いもまた空間の在り方に作用する。 同様に、取り上げる空間に合わせてメディアの形式を変え、メディアの形式が写真やテキストに影響していく。 建築の形ではなく、そこに立ち現れる場を、写真や文章を通して捉えてみる試みだ。 創刊号で取り上げたのは、設計事務所OSTRによる「本庄西の現場」。 日々移り変わる「現場」の今を、新聞紙に転写した。 限定数のためお早めにお求めください。 ◼︎仕様 ブランケット判(545mm × 406mm)20ページ ◼︎目次 太田翔(OSTR)「本庄西の現場」 岡絵理子 「本庄の深い皺」 舩橋耕太郎(コムウト)「たまにやる運動」 板坂留五(RUI Architects)「居心地の良さについて」 山口陽登(YAP)「本庄西の現場はどこまで膨らむのか」 武井良祐(OSTR)「都市に開けた「孔」と明るい「奥」」 太田翔(OSTR)「本庄西の現場の続き」 ◼︎その他 レターパックライト(青・郵便受投函)での発送 
店舗営業日(金土日)に発送


    1,500円

  • 本庄西施工地区『第壱施工地区』

    大阪北区で施工会社「コムウト」を営む舩橋耕太郎が拠点とし運営するシェアアトリエ「本庄西施工地区」がつくるZINE。 第1冊目は2023年9月に開催したイベント「収穫祭」を中心に構成。 「本庄西施工地区」における、建築を介した活動から生まれつつあるネットワークが明らかに。 編集は舩橋に加え、シェアアトリエメンバーのtamari architects寺田英史、「収穫祭」からデザインを手がけるstudio TRUE。 限定数のためお早めにお求めください。 ◼︎仕様 本稿:A4、24ページ 作品ページ:A5折込、4ページ×10冊 ◼︎目次 [本稿] コムウト舩橋耕太郎 インタビュー「本庄西施工地区という活動のすべて」 −「施工地区」の流動性、「収穫祭」の継続性 − 大工から工務店、そしてアイデアの拠点「施工地区」へ − 金曜日に生まれるネットワークと村長の役割 収穫祭対話イベント スーパープレイ集 「捨てるかつくるか」 「住んで見返す」 「描くより先に」 「丁寧な始末」 [作品ページ] しせい 辺口芳典 大竹央祐 寺田英史 舩橋耕太郎 窪山洋子 フルマチスタジオ 岩崎裕樹 Jyu+ 永吉佑吏子 studioTRUE 寺内玲 松岡大雅 OSTR 太田翔 mtit 本岡一秀 伊藤祐紀 RUI Architects 板坂留五 haruka ashida architects. 芦田晴香tamari architects 寺田英史 的場愛美 金曜の会サークル 竹島瑠離 山口泰知 川向世瞳 杉田美咲 荒山和輝 ◼︎その他 レターパックライト(青・郵便受投函)での発送 
店舗営業日(金土日)に発送


    1,500円

  • 緒方淳二「METHO」

    デザイナー・緒方淳二が手掛けるファッションブランド「メソ(METHO)」のルックブック。   「服のかたちや生地を考える時、 どんな町の風と温度に触れているのかを想像します。 静かなひと気の無い通りで偶然向こうからいい服を着た人が歩いてきてすれ違う体験のようなものにずっと憧れています。 高層ビルが遠くに見える距離の意識 いつも関わりから溢れて、無視できないけれど、馴染むことも難しい そんな町を選ぶ人を想いながら服を作るのかもしれません」   緒方淳二 平成三年生まれ。エスモードジャポン東京校を卒業後、アパレルのパタンナー、 販売を経験。 2018 年独立し、2019 年レーベル「METHO」を設立。 「世の全ての物事は何かの途中で、自身なりの方法に辿り着くまで の活動である」をスローガンに掲げ不定期にコレクションを発表する。   写真、ページ構成:Im daehyn(イムテヒョン) スタイリスト:村田拓也 ヘア:橋本沙耶 メイク:SUMI

    2,200円

  • KASA+湯浅良介『In Between Two Houses / Dialogue vol.2 KASA・YUASA 対話録』(2023)

    2023年3月末〜4月初旬に台東区BASEで開催された、若手の建築家 KASA(KOVALEVA AND SATO ARCHITECTS)と湯浅良介による合同展覧会のダイアローグ。それぞれが進行中の住宅プロジェクトをお互いにエスキースしあう中で繰り広げられた対話。2組の独自の作家性と、その共通性あるいは差異から、建築の「今」が浮かび上がる。 会場で限定販売されていたこちらのタブロイドを販売いたします。 店頭でも同時に販売しています。限定数のため、お早めにどうぞ。 タブロイド判(406mm × 272mm)8ページ ※半分に折って梱包 ※レターパックライト(青・郵便受投函)での発送 ※店舗営業日(土日)に発送   上記をご理解の上、ご購入ください。

    500円

  • 甲斐みのり『たべるたのしみ』 (mille books ,2020)

    “私にとって食べることは、生きることだ”   永遠に輝き続けるおいしい味の記憶を綴った54の物語。文筆家・甲斐みのりが、これまでに書籍・雑誌・新聞等に寄稿した食にまつわる膨大な随筆から54篇を厳選し、大幅加筆して再構成。 誰もの心の奥にある、いつのかの日の食の記憶を思い出し、懐かしい人や風景が鮮明に呼び起こされます。「たべるたのしみ」が存分に味わえる、あたたかく美味しい随筆集です。   「人生最後になにを食べよう。最近ことに考える事柄だ。親しい誰かと話題にすれば間違いなく盛り上がり、好物を並べたてては互いの食いしん坊ぶりに笑いがこぼれる。私にとって食べることは、生きることだ。最後までしっかり意思を持って食べるんだという“人生最後の食”への思いは、生きることへの執着でもあり、誰にも必ず訪れる終わりのときの享受でもある」

    1,100円

  • 『パンチニードル punch needle (糸のループで描く刺繍)』

    パンチニードルは、フックドラグとともに、日本でも昔から馴染みのある手法です。麻や斜子織などの目の粗い布を基布にして、裂いたウールや毛糸を専用の道具を使い、ループ状の刺繍で面を埋めていきます。本書は、インスタ(アカウント名@: Bookhou)でも絶大な人気を誇る作家Arounna Khounnorajさんによる初めての著書を日本語版にしたもの。モダンなデザインと配色で、インテリア小物やバッグ、アクセサリーなどを提案します。 写真が多用されていて、美しい本だなと思いました。 160ページあり、分厚い本ですが、1つ1つの作品の解説が多くて、型紙として使えるイラストなどもあります。 パンチニードル初心者で、 クロバーのパンチニードル講座の動画しか知識がないため、準備や用意するものも少し違い、参考になりました。 まだまだ足りないものもあり、高級なパンチニードルも欲しくなり、同じ作品を作るには初期投資がまだまだ必要かなと思いました。 『パンチニードル punch needle (糸のループで描く刺繍)』 Arounna Khounnoraj(日本ヴォーグ社 2020)

    2,420円

  • 『旅の効用 人はなぜ移動するのか』 ペール・アンデション 著 畔上司 訳(草思社 2020)

    本書はスウェーデンの作家・ジャーナリストであるペール・アンデションの著作のはじめての邦訳です。同国の著名な旅行雑誌『ヴァガボンド』の共同創業者としても知られる著者は、若いころからインドを中心として世界各地をバックパッカーとして旅してきました。2015年に刊行した最初の著作(スウェーデン人女性に恋したインド人男性がスウェーデンまで自転車での旅をして結婚する、という内容。未邦訳)が母国スウェーデンで35万部超という驚異的な大人気を博したのち、2017年に出版されたのが本書です。今回の本ではこれまでの自身の旅の記憶を丁寧にたどりながら、「人が旅に出る理由」をさまざまに考察しています。  おカネも時間も労力もかかり、時に危険とも隣り合わせなのに、なぜ私たちは旅に誘われるのでしょうか。著者は、そもそも人類は遊牧民だったというところから話を始め、旅先での他者・異物との出会い、そして、そこで自分の中に生まれる新たな感覚にこそ至上の価値があると持論を述べています。不確実性の中に身を置くことで、人は自分の世界観・人生観をアップデートすることができるということです。前もって綿密に計画され準備された「ツアー」では、こうした旅の効用は生まれません。著者はジャック・ケルアックについて触れた箇所で「旅は、前もって予見可能であってはならず、ページを開いた瞬間の本のようでなければならなかった。旅人は、自分が今から何と出会うか、誰と遭遇するかを知っていてはならなかった」と書いています。検索サイトのアルゴリズムによって自分に最適化された情報にばかり晒されている現代人にこそ、旅が必要なのです。  また著者は「旅とは、未知の音、噂、慣習と相対することだ。当初は不安になり心が混乱したとしても何とかなるものだ。旅に出れば、一つの問題にも解決法が何種類かあることを知って心が落ち着くようになる」とも書いています。「唯一の正解」を探そうと前のめりになりがちな現代人の視野を広げてくれるのが旅なのです。ネット上で世界中の情報にアクセスできる時代に、なぜ私たちは旅をする必要があるのか。本書はその理由を改めて確認できる一冊といえます。 『旅の効用 一人はなぜ移動するのか』 ペール・アンデション 著 畔上司 訳(草思社 2020)

    2,420円

  • 『つくる・呑む・まわる―諸国ドブロク宝典』 貝原浩/新屋楽山/笹野好太郎(農山漁村文化協会 2020)

    2021年本屋大賞ノミネート作品 1989年、1998年刊行の名著を合わせて復活。全国各地に伝わるドブロクつくりの秘伝を訪ねて3年、その後も国内海外の様々な手づくり酒の取材を加えて、酒を肴に現地の人びととの交流も綴った痛快な図解文集。 これまた味のある本でした。ドブロクとタイトルにありますが、マッコリ、焼酎、ワイン、ビールの作り方まで!今でも田舎に行けばこうして酒を作ってみんなで楽しんでいてほしいなぁと思いが溢れました。 『つくる・呑む・まわる―諸国ドブロク宝典』 貝原浩/新屋楽山/笹野好太郎(農山漁村文化協会 2020)

    2,200円

  • 『フィンランドのマリメッコ手帖 世界中で愛される、フィンランドテキスタイルの誕生と』 (パイインターナショナ 2012)

    北欧デザインの代表的存在であるマリメッコ。 1951年にフィンランドで誕生して以来、その大胆な柄と斬新な配色で、世界中の人々を魅了してきました。 本書は、マリメッコ誕生からこれまでの歴史と多くのデザイナーが生み出したデザインを紹介します。そして、現在マリメッコで活躍するデザイナーたちのマリメッコの楽しみ方や、暮らしに取り入れるアイデアも紹介します。テキスタイルと北欧雑貨の魅力が満載の書籍です。 フィンランドテキスタイルで有名なマリメッコの誕生からデザインまでが紹介されている。ブランドには独自のストーリーが付きものだが、マリメッコも同様だ。アルミ・ラティアという伝説の創業者から生まれ、彼女のお眼鏡に叶ったデザイナーが起用されてブランドがはじまる。歴代のデザイナーの足跡や、日本人のデザイナーも紹介されていて興味深い。 『フィンランドのマリメッコ手帖 世界中で愛される、フィンランドテキスタイルの誕生と』 (パイインターナショナ 2012)

    1,760円

  • 『ポーランド ヤノフ村の絵織物』 秋元 尚子(織り) 藤田 泉(文) (誠文堂新光社 2017)

    ポーランド東北部に位置する小さな村・ヤノフ村に伝わる伝統的な絵織物。 美しい自然の中で暮らしながら、身近な風景、動植物、暮らしなどから生まれた絵柄は 素朴で愛らしく、誰しもが懐かしいと感じます。 4枚綜絖の織り機を使い、表裏二面の糸を交替、浮沈させて織る「二重織り」という 技法で織られているのですが、その複雑さから技術を習得するのは難しいとされてきました。 ですが、本書では、全てに詳細な織り図を掲載し、手順写真とわかりやすい解説で 初心者の方にも安心して始められるようになっています。 また、伝統文化の話に加え、現地取材による、織り手や工房の様子も写真と文章で紹介。 ヤノフ村の織物に関する初の書籍ということはもちろん、 絵織物の技法書としてはこれまでにない詳細かつわかりやすい解説、文化にまつわる文章で、 織物をたしなむ人はもちろん、手芸や民俗学などの関係者への文化資料としても活用いただける保存版です。

    3,740円

  • 温又柔 『真ん中の子どもたち』 (集英社、2017)

    ひとりであるわたしに、複数の名前がある。そのことだけで、出来事のなかでだれが語っているのか、ふいに物語に付いて行けなくなる。ひとつの身体にひとつの属性、そのことを前提として捉えようとしてしまっている自分に気がつく。微細にみれば、普段のわたしたちにだって、複数の顔や人格があるにもかかわらず。いくつかの顔のうち、異なる国や地域が関わっているものがあれば、それを異物と見なすのだ。そうして消されてきた姿がたくさんあることを想像しはじめる。いくつもの姿とともに在ることで中心が浮かびあがる。

    1,430円

  • ソール・ライター 『ソール・ライターのすべて』 (青幻舎、2017)

    写真はレンズに写るそのままを切り取る、ということはよく言われる。つまり、目の前にあるもの、明らかにされているものしか写せないはずだ。しかし、そうして撮られた写真を見て、息をのむ。あるにもかかわらず見えていないこと、見えているのに捉えられていないことがたくさんある。日常は、いつも見逃されているのかもしれない。隠されていたこと、自分には見えない背面を、露わにしていけばすべてが分かる高みにたどり着けるのだろうか。きっとそうではないから、見つめつづけていたのだ。たくさんの思い出と可能性の欠片を。

    2,750円

  • 池内紀 『恩地孝四郎 一つの伝記』 (幻戯書房、2012)

    抽象的と形容されるような、あいまいな色と形が浮かんだ画面。しかし反対に、見たそのままの物体の、画面に触れた痕跡が具体的すぎるほどに残されてもいる。それらの並列が、すでに詩との関係性を物語っているのかもしれない。複数回、同じように刷られることが想像される版画において、そのイメージとはほど遠く感じられる、即興という言葉。まるで自らも、つぎに現れる図像がどのようなものか、楽しんでいるかのよう。寡黙にも思える、一枚の紙にかかれた絵、あるいは言葉から、そこにはないものへと連なっていく。感情が動き出す。

    6,380円

  • メイ・サートン、訳:幾島幸子 『74歳の日記』 (みすず書房、2019)

    ひとりで暮らしていることが、ただ孤独であるわけではない。犬や猫、植物たちとともに生活をしていること、それだけで孤独から逃れられるわけではないように思う。誰かとともに居たって、自分だけしか居ないという空虚さが、むしろ強まりさえするのだから。紙に記された言葉を読んで、それが自分が書いたものだと分かっているのに、別のなにかと出会うことがある。たしかに、書いているその間、すでに誰かと会話していたみたいだ。もうひとり居る、私だろうか。書かれたものたちがともに居てくれるから、ひとりの部屋で過ごしていられる。

    3,520円

  • 今福龍太 『書物変身譚』 (新潮社、2014)

    あふれるほどのたくさんの文字、情報。たえず画面のなかに漂っている。一冊の書物として綴じられる必要などもうないのだろうか。それぞれの本は、完結しているひとつのものでありながら、読む者とともに姿を変え得る。それだけではなく、明確な形が描かれる以前と以後、あるいはそのもっとずっと後になってからも、書いた者にとっても始まりであり、終わりであり、未来であり、過去にもなり得るように思える。物体としての紙の本は、必要とされなくなり、焼かれ、朽ち果てていくとしたら。ほんとうにあふれつづける沈黙を求めて、向かうべき方向をさがす。

    3,520円

  • ジェームズ・C・スコット 訳:立木勝 『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』 (みすず書房、2019)

    集まって暮らすこと、作物を育てること、家畜を飼い共に生活をすること。そのどれもがひとそろいになった過去があって、現在の暮らしにつながっている。日々の労働に追われることでようやく食べていける、けっして豊かとは言えない暮らしが、これまでの歴史でも当たり前のことだったのだ。そう教わってきた気がする。こうした労働には、必ず穀物がついてまわる。土に触れる労働から遠く離れたような今でも、米や小麦、それらの加工品が、食べること生きることと強く関係している。わたしたちは、いつから飼いならされたのだろうか。

    4,180円

  • 想田和弘 編:ミシマ社 『観察する男 映画を一本撮るときに、監督が考えること』 (ミシマ社、2016)

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    1,980円

  • 髙山かづえ 監修:難波里奈 『純喫茶レシピ おうちでできるあのメニュー』 (誠文堂新光社、2019)

    変わらぬ、どこにでもある。そんな風に形容されるだろうか。急いでいるときも、ゆっくりと過ごしたいときも、必ずそのお店は待っていてくれる。別に、歓待を受けるわけではなく、むしろそっけないくらいだ。家とは違う、けれども落ち着ける居場所で、いただくことのできる味は、意外なほどに作るのが簡単ではない。おきまりのメニューのはずなのだけれど、自分でいちから作ることはあまりない。手軽に食べれる安定の味は、手間をかけた用意があって実現されている。きっと、誰かのために作られているのだろう。料理は、行き先があると、その手間が圧縮される。その方角は、自分自身だって良い。

    1,540円

  • 高桑信一 『タープの張り方 火の熾し方 私の道具と野外生活術』 (山と渓谷社、2014)

    山を、沢を、歩くためには、いつもの街での格好や装備ではもちろん厳しい。あえて不便な方を選ぶこと、より過酷な環境にできるだけ生身に近づけて身を置こうとすることは、馬鹿にされてしまうだろうか。なんでわざわざ、と。しかも、とても人間が到達できないような高みを目指すわけでも、人里を離れて森の中だけで生きるわけでもないのだ。それでも自然の方へと足が向いてしまう。そして、川や木々、そこで暮らす他の生きものたちと、折り合いをつける術を獲得しはじめる。もう、火を熾す必要なんて無いとは言わせない。ある原理は、原初に近づかないと見つけられない。

    1,320円

  • 岡﨑乾二郎 『ルネサンス 経験の条件』 (文藝春秋、2014)

    透明な窓としての画面。絵画をみるとは、そのような画面が与えられることだと考えられる。そして、ひとつの画面には、あるひとつの空間に、あるひとつの場面が描かれるのだ。しかし、一枚の絵のなかに複数の場面が描かれていたり、そもそも具体的な景色とは思えない絵もあるだろう。みることだって、全体を感じようとすれば、ぼんやりと焦点は合わず、ある箇所に集中してみつめれば、周りは薄れていくだろう。たった一枚の絵、ひとつの面でさえ、その経験は単純ではない。描かれたことがすべてではなく、直接描かれていない想像上の点や線さえ作用する。寄る辺ない経験の、それでもあるこの確かさ、とは。

    2,079円

  • 稲垣足穂 『天体嗜好症 一千一秒物語』 (河出書房新社、2017)

    星や月は、眼には見えるが手で触れられはしない。眼で見えてはいるが、それがわたしと同じ今のことなのか分からない。それでもなぜだか、在ることへの信頼を向けてしまう。触れられないものを信じた思考は、まるで、サイズを縮めたミニチュアの世界をつくり出す。はるか遠くを見ていたのに、小さくて手で扱えるものへとじっとりとした愛情が向けられる。湿った目線の先で、小さきものたちが動いている。そこはからりと乾いた機械仕掛けの関係性。天体は、今も昔も規則正しく作動していて、人がそこに意味づけしているだけなのかもしれない。機械と機械のあいだ、物語の時間は、どこにあるのだろうか。

    1,320円

  • エレン・フライス 訳:林央子 『エレンの日記』 (アダチプレス、2020)

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    2,640円

  • 古川日出男 『ベルカ、吠えないのか?』 (文藝春秋、2008)

    いつも、ひとだけの、歴史が描かれてきた。ひとが為したわけはないことでも、ひとの目線で測られる。そこからは見えていない道筋もあったはずなのだが、自分たちには関係のないことだと切り捨てられてしまうのだろうか。すべての因果関係が明らかになった、たったひとつのほんとうの歴史が知りたいわけではない。そんなものは、限られたひとたちにとって都合の良い物語にすぎない気がする。複数の流れを同時に感じてそのまま受け取ることはできなくても、別の流れとともに歩むことはできると信じたい。聴くべき声が見つかる。

    706円

  • メアリー・ビアード 訳:宮﨑真紀 『舌を抜かれる女たち』 (晶文社、2020)

    言葉を発し、その声が届く。そんな当たり前に感じられることでさえ、かなわないことがあり得る。いや、むしろかなわないことが通例化して、もはや感覚が麻痺しているかもしれない。大きな声、強い力、他人を押し込めるために必要な性能と、それによって獲得される地位、金銭、そしてさらに一層、大きな力になる。その地点への憧れの眼差しがあり、そこに至らんとする道筋が個人の最も目指すべき方角となる。この構造こそが問われるべきなのだ。いまのまま、性のみが入れ替わることだけでなく、構造ごと変化する想像をしてみる。新しい声が手に入る未来を。

    1,760円

  • 中谷礼仁 『未来のコミューン 家、家族 共存のかたち』 (インスクリプト、2019)

    どれだけひらいていっても、閉じこもっている部分。どれだけ閉じていっても、つながっている部分。家は、家族という集まりが入っている容れ物で、家族は、家という容れ物のなかにいるひとたち。ぐるりとめぐって、家はかたくなになり、まるでそれしか無いようなかたちになってしまった。もちろん、制度として守られてきたからかもしれない。おおよそほとんどのひとは、たったひとりで生活してはいない。壁や被覆の仕切りは、個であることの証ではないのだ。生きる環境は、やわらかく境界線を引いていく。それを家と呼んではいけないのだろうか。

    3,520円

  • 江口宏志 『ぼくは蒸留家になることにした』 (世界文化社、2019)

    自分は何がしたいのかと深く考えるのは、つい後回しにしてしまう。考えはじめると、今との差に嫌気がさすだろうし、変に考え込んで行き詰まってしまうこともある。これからを想うのは、どれだけ今とかけ離れていても、これまでのことを切り捨てるわけにはいかないだろう。自らに情を注ぎすぎず、なりたいのではなく、なることに決めてしまう。気付けば縛られていた自分から離れていける。それだけで道は定まるのかもしれない。いくつかの選択肢も、そのなかでの迷いも、定まったことからの派生にすぎない。

    1,760円

  • パオロ・コニェッティ 訳:関口英子 『帰れない山』 (新潮社、2018)

    ひとの生きる環境ではないところは、比較の対象からはなれて、絶対性が強調されて神格化される。標高の高い山になれば真っ白く無機質な光景を想像するように、見えるものもひとつに近づいていく。しかしそれでも、だれにとっても同じ、ただ一つの像が、思い浮かべられるわけではない。同じ場所に立っていても、異なる方向を向いているかもしれないのだ。そして、すれ違う。一度きりのことはもう一度はない。ないからもう一度を望みつづける。そうして、一度きりをぐるぐるまわってくりかえす。

    2,255円

  • ペーター・ツムトア 訳:鈴木仁子 『建築を考える』 (みすず書房、2012)

    建築物は、だれかの手によってつくられるし、なにより具体的で、物としてそこに立つ。しかし、考える過程で、重さを失くして抽象化され、ふわりと浮かんでいるうちに、そんな当たり前なことを忘れてしまう。生活に寄り添うものたちに、わたしたちは素直に向き合っているだろうか。効果をもとめて先取りすると、薄れていく効き目ばかりが目につく。たぶんその目的からすれば余分だと思われていた要素こそが、ほんとうは大切だったのかもしれない。宙づりにされた時間は、物から直接やって来る。物を見つめることから、制作ははじまる。

    3,520円