「淺井裕介展 星屑の子どもたち」&「小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌」 (金津創作の森)
2024年3月、北陸新幹線が敦賀まで延伸されました。その北陸新幹線の芦原温泉駅から車で約10分ほどの場所にある福井県の美術館「金津創作の森」。こちらで開催されている、2つの企画展を訪問しました。
・淺井裕介展 星屑の子どもたち
・小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌
広大な屋外の展示スペースと、自然光の差し込む展示室もある美術館。どちらの展覧会も、この展示スペースが活かされ、自然の素材の使い方も素敵な展覧会でした。
▍淺井裕介展 星屑の子どもたち
ひとつめは、4月から開催されている「淺井裕介展 星屑の子どもたち」。複数の展示室をもつアートコアで開催されています。
土、水、埃、小麦粉、テープ、ぺンなど身近な素材を用い、あらゆる場所に奔放に絵を描き続ける、美術作家・淺井 裕介(あさい ゆうすけ)さんの個展です。
土を使って描いた「泥絵」に、小さな陶芸の作品群、マスキングテープに描いた「マスキングプラント」、そして屋外での展示と、淺井さんの幅広い作品世界を体験できます。
なかでも印象的だったのは、今回のこちらの会場で制作された巨大な泥絵の作品。なんと、靴を脱いでその泥絵の上を歩ける作品もあり、ざらざらした土の感触を体感することもできました。
大きな絵の上を歩いて隅々まで観ていけるのが普段はなかなかない作品の見方の体験です。
また、100点を超える複数の陶芸作品は、皆それぞれ違った生き物・表情に見えるのも面白いです。
なかには触れる作品もあったり。手でにぎって作られた作品。ぴったりと手に馴染みます。
展示作品は屋外にも。木の上や湖の中にいる陶芸作品は、自然の中にいる神様のよう。上を見上げたりかがんだりしながら作品を探すのも楽しい展示でした。
【展覧会概要】
▍小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌
もうひとつの展示は、あかるい日差しの入り込む展示室アートコア ミュージアム-2で7月から展示の始まった「小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌」。
小松宏誠(こまつ こうせい)さんは、「浮遊」や「鳥」への興味からはじまり、現在では「軽さ」「動き」「光」に着目した作品を展開するアーティスト。
2年前には、こちらの美術館で大規模な個展「Kosei Komatsu Exhibition 光と影のモビール 森の夢」を開催されました。
(2年前の展覧会を訪問した際のレポートです。)
2年前の展示は照明を落とした幻想的な空間での展示が印象的だったのに対して、今回は自然光が入る明るい展示室を舞台にしたインスタレーションが展開されています。
波打つように配置された小さなモビールが風に揺らいで、光が当たって水面のように輝いていて。時間によって自然光の入り方が変わり、観え方も少し変化してきました。
海の音や雨の音、虫の声なども聞こえてきて、静かにずっとこの展示室で過ごしたくなるような展示です。
このほか、鳥の羽根でできたオブジェが回転しながら浮遊する作品や、雲の巣を使った作品なども。
さらに、本展には展示室がもうひとつ。光がたっぷり入る広い第一会場からは一転。本来は展示室ではないのかも?とも思える小部屋の第二会場は、光と影の展示室。
光と影から生まれる蝶々の作品群で、こちらもとても静かな展示でした。
自然の素材と自然光、それと光を操る素材によって、光と影の幻想的な空間がつくりだされた展覧会です。
【展覧会概要】
ここだけでしか買えないミュージアムグッズも
どちらも、とても素敵な展示でしたが、ミュージアムショップでは、いまのところここでしか購入できないというグッズも。
淺井裕介さんは、小さな1点ものの陶芸作品やのほか、今回の展示の中にでも展開される安土早紀子さんの歌の入ったCDも。CDのパッケージは、プラ段の上に土があしらわれた、1点ずつ異なる仕様になっており、シールもついてます。
また、小松宏誠さんは、鳥などのかたちのモビールに加え、今回の展覧会で展開された作品の写真があしらわれたTシャツも。手刷りのシルクスクリーンによるもので、各サイズ限定10着。
展示だけでなく、限定のグッズが購入できるのも嬉しいです。
まとめ
自然光の入る展示室と屋外のでの展示が印象的な美術館、金津創作の森。現在開催されている2つの展覧会は、別のアーティストの個展で、制作のアプローチも異なりますが、自然の素材や自然現象に着目し、その力強さと儚い美しさの両面が見られるような展覧会でした。
両展示の最終日となる、2024年8月25日(日)には、小松宏誠さん × 淺井裕介さんのアーティストトークも開催されます。北陸新幹線で福井までこの展示を体験しにいってみるのはいかがでしょうか?