看護師として働きはじめたときから描く「いつか訪問看護に行きたいな」を。
株式会社PLASTの「プラスト訪問看護ステーション」で働く亀原由佳さん。主に循環器に対応する病棟での勤務経験の後に、訪問看護を希望され株式会社PLASTへ入職されました。今回、転職のきっかけや訪問看護への想い、プラスト訪問看護ステーションで実際に働いてみて感じたこと等についてお聞きしました。
訪問看護で利用者さんと1対1でじっくり向き合うことを「めっちゃいいな」と思って
-今日はよろしくお願いします。まずは、PLASTに転職したきっかけを教えてください。
ひとつは、ホームページを見て「ここの会社入ったら楽しそうやな」って思ったことです。自分たちで事業を作っていって、企画を立ち上げていくような病院や事業所は見たことがなかったので、これまで経験できなかったことを経験できるんじゃないかと思いました。
もうひとつは、成長できる環境だと思ったことです。PLASTのホームページの訪問看護特設サイトにある管理者の檜垣さんのインタビューで「楽ではないし成長することを求められる」とも書かれていて、そこにも興味が湧きました。性格的に楽しいだけじゃ嫌なんですよね。私は。
-しっかりと会社のホームページを見て、転職をされたのですね。そもそも、ホームページはどのような経緯で見ていただいたのでしょうか。
これまで何度か転職をしているのですが、ずっと転職サイトを使って職場を調べてもらっていました。今回は自分の目で色々と見て決めてみようと思って、そのときの情報収集先としてホームページを見るようにしました。転職するエリアは決まっていたので、新長田エリアで訪問看護の事業所を10個くらい探した記憶があります。プラスト訪問看護ステーションは特設サイトがあったので他よりも見やすくて、雰囲気も良くて、それが決め手にもなっていますね。
-今回の転職では、訪問看護で働くことは決めていたのですね。
そうですね。これまではずっと病院で働いてきていたのですが、いつか絶対に訪問看護に行きたいと思っていたんです。学生時代に訪問看護の実習があって、そのときの看護師さんがすごく印象に残っていて。患者さんと1対1でじっくり向き合って、家族に近いくらいの存在の方でした。それが「めっちゃいいな」と思って、看護師として働きはじめてからもずっと思っていて、病院で経験を積んだらいつか訪問看護に行きたいなと思ってました。
-学生時代から訪問看護で働きたいと考えていたのですね。PLASTで働くまではどのような分野で働かれていたのでしょうか。
最初に勤務した病院では慢性期の病棟に配属されました。その病院で基礎疾患として循環器を持っている患者さんが多かったので、循環器の経験を積めるような急性期病院に転職しました。そこでの勤務後に、より循環器に特化した専門病院へ転職しました。循環器ではトータル6~7年勤めました。また、元々看護師になった時から、より広く経験を積めるように病院以外の色々なところでバイトとして働いていました。がんセンター、訪問入浴、学校での検診、コロナ対応業務、クリニックなどでの経験があります。これまで転職の機会が多かったので、「飽き性」って思われることもあるんですけど、私のなかではちゃんと目標を持って転職してます。
訪問看護への不安は消えて見出した可能性
-実際に訪問看護で働いてみて、いかがでしょうか。
私は訪問看護にいざ転職するってなった時点で、ちゃんとやっていけるか高いハードルを感じてたんですけど、実際働き出してからは、そこまで不安に思う必要はなかったのかなって思います。利用者さんを1人で担当する事もありますけど、徐々に利用者さん1人につき看護師2~3人が担当になります。これは主担当が何か他の業務で訪問が難しくなった際に、急な対応が必要になっても他のスタッフが対応できるような体制をとってるからです。
実際訪問に行ってしまえば現場で1人ですけど、複数で担当しているので事務所に戻れば、悩んだことがあっても相談できるし、もし訪問先で急な判断を要する場合も事務所に直接連絡して、情報を共有し指示を仰ぐこともできます。
でも、プラストで働き出して半年目ぐらいで担当する利用者さんがめっちゃ増えちゃって、利用者さんひとりひとりのことを完全には把握しきれてないなかで訪問に回って、イレギュラーなことも起きるし、対応が難しい利用者さんがおられたりと…ちょっと頭を抱えてたときもありました。
でも、忙しいのは好きなんです。性格的にも事務所で座って事務作業してる方が手持ち無沙汰な感じがあって。「ここに、私おっていいんかな」みたいな。だから我慢できなくなって、管理者の檜垣さんに「もうちょっと回りたいです」って言いました(笑)。
-忙しさを望んでいたのですね(笑)。訪問看護では「患者さんと1対1でじっくり向き合う」ということをやりたかったと思うのですが、それは叶っていますか。
1対1でじっくりと話をできていますね。これまでは病棟で最低限の会話しかできなかったことがほとんどでしたし、ICUでは鎮静がかけられているから寝ている場面でしか関わりのなかった患者さんもいたんです。対応していた患者さんが医療依存度の高い人ばっかりだったので。訪問看護で働きはじめて、いろんな利用者様と話をできるのがすごい嬉しいし、話すなかで看護師として「こういうケアができるな」とかも見える部分があったりします。
訪問看護だからこそ提供できる看護を
-働く場所によって関わる人も変わるので、実践する看護も変わりますよね。他にも、訪問看護の発見はありますか。
そうですね、病院で働いていたときには「あれもダメ、これもダメ」となってしまう物事も、訪問看護ではケースバイケースということを目の当たりにしています。例えば「あれは食べちゃだめ、タバコもお酒もだめ」とかがあります。タバコって吸ってたら良くないっていう考えは一般的じゃないですか。でも、自分の好きなように過ごすことって大事だと思うので、止めないし好きに吸っていいんじゃないかなって。だから、今は「利用者さんの想いを一番に」と思うなかで関わり方が変わってきているところがあります。もちろん禁煙の提案をすることはありますが、看護師として提案することが押しつけになってしまって、利用者さんが生活するうえで窮屈になってしまうと思うので、提案に「もういらん」って言われたらそっと引き下がるようにしています。
-医療者としての判断が、常に利用者さんへの適切な判断になるわけではないですよね。とはいえ、全てを許容することは看護師として悩ましいところだと思います。そのような場合はどうしているのでしょうか。
利用者さんが気付いてくれるのを待っています。ただ好きに過ごしてもらうだけではなくて、「看護師さんが言ってた通りやったわ」と思ってもらえるような関わり方も大事で、そのときに動き出せるように知識をつけて準備しておかなければならないですよね。
訪問していて未経験のことって、ちょくちょくあるんですよ。例えば、循環器のことはわかっても、抗がん剤治療とかはわからないとか。でも、プラストでは色々な病棟を担当してきた看護師もいるので、スタッフそれぞれに得意分野があります。そこをある程度把握できているので、必要な時はそのスタッフに聞いてちょっと助言をもらったりとか、そういう準備はしてます。もちろん事前に勉強してから聞くようにしてますけどね(笑)。その専門的な知識と利用者さんの想いのバランスをとることが大事だと思っています。
-そのバランスをうまくとることが訪問看護の難しさであり、やりがいなようにも感じます。そのなかで、印象に残っている経験があれば教えてください。
すごく心に残っているのは、看取り期に入っていた利用者さんのことです。「外に出て散歩がしたい」「空が見たい」ってずっと言っていた方なのですが、なかなか状態的に外へ連れ出せるような状態ではなかったんです。でも、スタッフと相談をして、福祉用具専門相談員さんに相談して、リクライニング車椅子で外出できるように計画をしたんです。看護師二人介助で移乗して、近所を散歩をして、その様子を写真に撮ったんです。そしたら利用者さんはすごく喜んでくれて、ご家族さんもすごく喜んでくれて。亡くなった後もご家族さんは外出できたことを喜んでて、そのときの写真を大事にしてくれているんです。訪問看護の現場に来たからこそできる利用者さんとの関わりだなぁと思ってます。
-「想いを叶える」をPLASTでは大切にしていますが、実際にそのような看護を提供することは簡単なことではないと思います。素晴らしいです。これから、訪問看護で取り組みたいことはありますか。
看護師として循環器で働いていた経験を活かしたいですね。病院時代に何度も心不全を繰り返して入院してくる患者さんがいて、「なんでこんなに何回も何回も短期間の内に入院するんやろ」と思っていました。それが訪問看護で働きはじめると、お薬の管理ができていないことや体重管理ができていないこと、ひとりの生活で十分な支援がなくて管理が難しいことが見えてきたんです。そういうのを防げるように関わって、ちょっとでも家で長く過後してもらうようにしたいなって思っています。
▼プラスト訪問看護ステーション
「みんなで総合力」をテーマにした訪問看護ステーション。
スタッフが一人では解決できない課題でも、みんなで話し合って考えることで乗り越えることを大切にしている。小児・精神・高齢者と幅広く対応しており、地域に必要な看護とリハビリを提供している。