東亜大学通信制大学院受験攻略①
入試方式 おさらい
まずは募集要項を確認してみます。
※最新のものは学校に請求し必ず確認してください。変更の可能性があります。募集要項を請求すると過去問も3年分同封してもらえます。
例年夏頃から請求できるようです。
私が確認できる直近13年分の過去問を確認する限り、1問から3問の読解問題と、字数多めの論述問題、両方合わせて2000字以内というスタイルが続いています。これは今後も続くと思われます。試験時間は2時間です。
2時間で2000字、ということになります。
過去問から見る試験内容
過去問の題材は2018年まで会社法からの出題が続きました。
2019年は法人がテーマだったので会社法かと思いきや、民法です。
2019年以降2022年まで、ここ最近は民法から出題されています。
冒頭で主題となる法律の記載があり、その後判例が2つほど紹介され、最後に問題があります。問題は大きく分けて2問構成(年によって1問~4問の場合もあります)です。
最初に読解力が問われる問題。最後に論述力が問われる問題です。
読解問題で書いたことを踏まえて論述、といったパターンが多いです。
また、何人?とかいくら?のように具体的に数字を聞いてくるケースもちょっとだけあります。
論述内容は以下の2パターンです。
※わかりやすいよう少し省略しているところがあります。()内は出題年です。
【問われ方1】あなたはどう思う?
あなたの考えをおおむね1000字程度にまとめなさい。(2024)
あなたはどちらの判決の考え方をどのような根拠で支持するか、あるいは両判決とは異なる第三の考え方をするのかを述べなさい。(2023)
あなた自身の考えを述べなさい。(2022)
あなたはどう考えるかを述べなさい。(2021)
あなたの考えを説得的に述べなさい。(2020)
自分の見解を理論的な根拠を示して述べなさい。(2019)
自分で考えて書きなさい。(2015)
【問われ方2】あなたはどっち派?
あなたはどちらの判決の考え方をどのような根拠で支持するか、あるいは両判決とは異なる第三の考え方をするのかを述べなさい。(2023)
いずれの立場が最も妥当と考えるのか、論ぜよ。(2018)
(特別利害関係人に)該当すると考えるべきか否かを、理由付けを整理しつつ検討しなさい。(2017)
どちらの見解をより妥当と考えるのか述べなさい。(2016)
自分がどの見解を最も適切であると考えるかを、理由を付して述べなさい。(2014)
どの考え方がもっとも妥当と考えるかを、理由を付して述べなさい。(2013)
[A 説]、[B 説]のいずれが妥当と考えるかを述べよ。(2012)
A、B いずれの説を妥当と考えるか、次の順序で書きなさい。(2011)
各説のいずれを妥当とするか理由を示して述べよ。(2010)
2023年はどう思う?とどっち派の折衷型でした。
このようなスタイルは今後も続くと思われます。
求められているのは知識量ではない
もうひとつ過去問で確認できる共通点があります。
これが思いのほか重要で、知識が重要ではないんだと頭ではわかっていても、知識を身に着けている方が格段に有利だと思いがちなのです。
しかし、出題される判例は有名なものもあれば、そうでないものもあり、知識をつけて挑むのはかなり時間がかかります。
それよりもどんな問題が出ても対応できる力をつける方がいいと思いませんか?
学校側が求めている人材を考える
入試を行う時点で、学校側は入学する人を選びたいわけです。
過去問を何度もやるうちに、ふと思いました。
イチからやり方を教えなくてもある程度論文が書ける人を選びたい
のではないかと。
2年という期間が妥当なのかはわかりませんが、限られた時間の中でいわば初心者に論文の書き方を指導するのが修士課程です。ですから、法律の知識が豊富な人よりも法学的な論文を書ける人の方が指導する側にとっては手っ取り早くていいのかなと考えました。
そう考えると、「私は法学的な論文を書けますよ」という匂わせ解答(!)が作れる人から選ばれていくような気がします。
法学的な論文といいましたが、ほかの学問分野の論文と異なり、法学の論文には独特の書き方があります。論文だけでなく裁判所での判決もこの方式に則っています。
ですから、法律の知識を身に着けるのではなく、この法学的な論文を書けるように訓練するのが一番の近道です。
法学的な論文
法学的な論文なんて難しそう、と思うかもしれませんが、法律という小難しいヴェールに包まれているので難しそうだと思ってしまうだけなのです。ヴェールを外せば全然難しくありません!
そこで、だれでも簡単に練習できるひな形「構成メモ」を作りました。
もちろん本番もこの構成メモを使い、見事合格しています。
三段論法と法的三段論法
論理学の推論方法に「三段論法」というものがあります。
名前の通り三段構え(大前提・小前提・結論)で論述する方式です。
有名な三段論法の例ですが、ご存じの方もいると思います。
詳細はこちら → Wikipedia「三段論法」
※下の方は難解すぎるので、ざっと見るくらいにしてください。
法学的な論文はこの三段論法にひとひねり加えた「法的三段論法」により記述します。構成メモはこの法的三段論法を簡単に作り出すためのツールです。
む、むずかしくないんだからね!
法的三段論法についてですが、わたしは法学部出身であるのに卒論が必須ではなかったため、全く身についておりませんでした。
法的三段論法について、動画やネット、書籍で詳しい説明があると思いますが、そんなに詳しくなる必要はありません。簡単に説明しますと、
「①規範定立」
「②事実認定」
「③あてはめ」
という大きな3つのブロックで文章を組み立てていきます。
法律と判例が問題に与えられている東亜大学院の入試では、前提となる法律は①の規範定立で使用し、判例の内容は事実として②事実認定で使用します。
なんと、問題文だけで2つのブロックが完成してしまいます。
そして③のあてはめは、①に②をあてはめるだけです。
ちょっと簡単に思えましたか?
※構成メモについては後日改めて詳細を書きます。
なにをしたらいいか
具体的に3つあります。
構成メモを書けるようになる。
原稿用紙に鉛筆で書くことに慣れる。
論文的言い回しをリスト化する。
1.構成メモを書けるようになる。
まずは、構成メモを書く練習をしていきます。
題材は過去問が一番やりやすいです。
会計士の企業法の論述試験の過去問も近いのですが、あちらは知識も問われているため、法律を知っていることが前提になっており、法律の知識がないと解けません。まずは募集要項を請求したときに学校からもらえる3年分でやってみましょう。
2.原稿用紙に鉛筆で書くことに慣れる
構成メモがある程度書けるようになったら、構成メモを元に原稿用紙に字数制限通りに書く練習です。
解答用紙のマス目が、市販されている原稿用紙と異なるためWordで自作してそれを印刷して練習しました。
ある程度書くと、1000字ってこのくらいという大体の感覚がつかめてきます。ここは大体で大丈夫です。
そして、意外と手を抜きがちな筆記用具。
税理士試験では、鉛筆やシャーペンが使えませんので、基本的にボールペンを使用します。そのためボールペンにはとても詳しくなるのですが、鉛筆やシャーペンは詳しい詳しくない以前に、一本も持っていないという方もいるかもしれません。
試験では2時間、ほぼ書き続けるため、書きやすいボールペン並みに、書きやすいシャーペンか鉛筆が必要になります。
そして、消しやすい消しゴムも必要です。
わたしは小学生の娘に教えてもらいました。ダントツでアーチです。
ただ2022年の試験時に試験監督さんが会場で、「黒ボールペンでもいいです」と言っておられたのが気になります。ミスしたときの修正方法などは案内がなかったのでわたしはシャーペンを使いましたが、気になる方は事務局に確認してみてください。電話応対はとても丁寧にしてくださいます。
ただ原稿用紙が2000字分しかないため、税理士試験のように二重線で修正、といった形ではないと思います。
試験時の時間配分の目安は、構成メモに1時間。原稿用紙への清書に1時間です。
2022年の試験では構成メモに1時間ちょっとかかりましたが、清書は40分くらいで終わったので結果的に時間が余りました。
3.論文的言い回しをリスト化する。
最後に、論文的言い回しですが、おそらく清書をしていると、「この書き方でいいのかな」と感じることがあると思います。
わたしも「逆に」と書こうとして「これでいいのか?」と手が止まってしまったことがあります。「逆に」は論文的言い回しにふさわしくないです。正しくは「反して」や「一方」を使用します。
これは、言葉選びとでも言うのでしょうか。より論文に適した単語や接続詞を使用することによって「わたしは論文が書けるんですよ」と匂わせることが可能です。
まずは、「この言葉使っていいのかな?」と思うこと。
手間でなければ、調べて正しい語句に変えてください。
よく使う単語や接続詞はそこまで多くありません。自分の良く使うものをリストにするのがベストですが、それも面倒という方には、一覧にまとめたものがありますので、後日アップしようと思います。
購入について
この記事は有料でも見たいという本気の方のみに見てほしかったため、有料設定にしていますが、ありがたいことに購入された方もいらっしゃるため、購入特典として、試験で使用される原稿用紙に少し手を加えた練習用の原稿用紙をお付けすることとしました。
東亜大学大学院法学専攻の入試問題は論文試験ですが、原稿用紙が先生の手作り?な感じで市販されていないタイプの原稿用紙なのです。
問1~問3まであっても、解答用紙は空白の原稿用紙のみです。解答欄があるわけではありません。本番でおろおろしないためにも、この原稿用紙でぜひ練習をしてください。
構成メモの書き方はコチラからご覧ください。
清書の仕方はこちら↓
※過去問攻略は新しいものから随時執筆しております。古いものは民法が題材ではなく会社法なので、少し毛色が違います。民法が題材の新しい過去問に着手することをお勧めします。
(つづく)
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