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【数検】数列・3項間漸化式の2つの解法と公式

 早朝7:30からの社会人授業。

$$
a_1=1,a_2=32 \\
\dfrac{a_n^6 a_{n+2}}{a_{n+1}^5}=1 のとき a_nを求めよ。
$$

 見るからに$${\log_2}$$で足し算に変換しろと言わんばかりだ。
 $${b_n=\log_2{a_n}}$$として、

$$
b_1=1,b_2=5\\
b_{n+2}-5b_{n+1}+6b_n =0
$$

3項間漸化式となった。
特性方程式$${x^2-5x+6=0}$$の2解$${2,3}$$を利用して変形するが、ここで2つの方法がある。

1. 連立方程式法

1つ目は、2解を入れ替えて2本の等比数列を作り、連立方程式を立てて解く方法。

$$
b_{n+2}-2b_{n+1}=3(b_{n+1}-2b_{n})\\
b_{n+2}-3b_{n+1}=2(b_{n+1}-3b_{n})
$$

解釈により(ここが高校生が苦手とするところ)、この2本の式は以下の等比数列を意味することとなる。

$$
b_{n+1}-2b_{n}=3^{n-1}(b_{2}-2b_{1})=3^n\\
b_{n+1}-3b_{n}=2^{n-1}(b_{2}-3b_{1})=2^n
$$

美しい。上式から下式を引き、遡って一般項$${a_n}$$を導く。

$$
\log_2{a_n}=b_n=3^n-2^n\\
a_n=2^{3^n-2^n}
$$

解答を得た。検算すると、$${a_1=2^{3-2}=2,a_2=2^{3^2-2^2}=32}$$で大丈夫だ。

2. n乗除算法

もう一つは、一方の等比数列から作られた$${3^n}$$を含む2項間漸化式全体を$${3^n}$$で割って$${3^n}$$の消えた新しい2項間漸化式を作る「n乗除算法」だ。常套手段である。

$$
b_{n+1}-2b_{n}=3^n\\
3\dfrac{b_{n+1}}{3^{n+1}}-2\dfrac{b_{n}}{3^n}=1\\
c_n=\dfrac{b_n}{3^n} として,\\
3c_{n+1}-2c_{n}=1\\
$$

2項間漸化式の特性方程式の解は1、
$${c_{n+1}-1=\dfrac{2}{3}(c_n-1)}$$と変形され、

$$
c_n -1 =(c_1 -1) \left( \dfrac{2}{3} \right)^{n-1}=-\left( \dfrac{2}{3} \right)^{n}\\
c_n = \dfrac{3^n -2^n}{3^n}\\
b_n=3^n -2^n\\
a_n=2^{3^n -2^n}
$$

特性方程式が重解を持つ場合

連立方程式法とn乗除算法のいずれを選ぶか。
通常は前者の方が手間がかからない。
但し、特性方程式が重解を持つ次の様な場合は、連立方程式が立たないので後者一択となる点に気を付けたし。

$$
a_{n+2}-4a_{n+1}+4a_n=0
$$

特性方程式の解を用いた一般項の公式

特性方程式の2解$${\alpha,\beta}$$を用いて、3項間漸化式は一般化できる。
連立方程式は以下のようになる。

$$
a_{n+1}-\alpha a_{n}=\beta^{n-1}(a_{2}-\alpha a_{1})\\
a_{n+1}-\beta a_{n}=\alpha^{n-1}(a_{2}- \beta a_{1})\\
$$

$${b_{n+1}}$$を消去し整理すると、

$$
a_n=\dfrac{1}{\beta-\alpha} \left\{ (a_2-\alpha a_1)\beta^{n-1}-(a_2-\beta a_1)\alpha^{n-1} \right\}
$$

 公式の適用はこのようにする。

  • 必ず$${B\beta^{n-1}-A\alpha^{n-1}}$$という形になるのが重要。あとは$${B,A}$$の値を特定すればよい。

  • $${\alpha \lt \beta}$$とし、以下を計算して$${A,B}$$とする。

    • $${B=\dfrac{a_2-\alpha a_1}{\beta-\alpha} }$$

    • $${A=\dfrac{a_2-\beta a_1}{\beta-\alpha} }$$

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