アスガー・ファルハディ監督『別離』を観た 2022年4月23日(土)
アスガー・ファルハディ監督の『英雄の証明』を観て興味を持ったので、同監督の名作と言われる『別離』をAmazonプライム・ビデオで観た。
2011年・第61回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞と男優、女優陣のアンサンブルに対して銀熊賞(男優賞・女優賞)が授与され、ベルリン映画祭史上初の作品および男優、女優賞の3冠を達成したイラン映画。第84回米アカデミー賞でもイラン映画として初の外国語映画賞を受賞したほか、脚本賞にもノミネートされた。離婚の危機を迎えた夫婦を軸に、両親をつなぎとめようとする娘や、彼らの問題に巻き込まれてしまうもうひとつの家族の物語が絡み合い、複雑な人間心理を描き出していく。監督は「彼女が消えた浜辺」(09)でもベルリン国際映画祭の銀熊賞(監督賞)を受賞したイランの新鋭アスガー・ファルハディ。(映画.comより)
揉め事がボタンの掛け違いやほんのささやかな嘘によって収拾のつかない事態に発展していく。
介護や貧困、法の問題、宗教、自分はまったく詳しくないがイラン特有の政治的な問題からくる背景もたぶんあるのだろう、拗れに拗れまくる。
特に法の問題は『英雄の証明』でも思ったけど、弁護士という存在がいないのか雇えないのかわからないが、当人同士が判事の前で争うのでまとまる話も当然まとまらない。
で、すぐに拘置されてしまい、保釈金を出せばすぐに出れるみたいな感じなのだ。
そういう複雑な社会の仕組みにさらに複雑な人間の心理が作用するので、どこに話が進んでいくのか予想がつかない。
見事なストーリーテリングである。
是枝監督やポン・ジュノの作品とも共通しているところが多いと観て思った。
家政婦としてやってきた女性が主人公の父親(認知症)が粗相をして下の世話をする場面で宗教的に問題がないかを電話で確認するなど日本では考えられない風習があるのには驚いた。