『コレクティブ 国家の嘘』を観た 2021年11月3日(水)
シネリーブル梅田に『コレクティブ国家の嘘』を観に行く。
祝日ということもあり、結構入っていた。
ライブハウスでの火災事件を発端にルーマニアの医療・政治の腐敗した実態が描かれるドキュメンタリー映画。
前半、火災が起こって軽症で入院した患者が感染症で次々と亡くなっていること。
この実態についてスポーツ新聞(!)のジャーナリストが調査報道で迫る。
ある疑惑が浮かび政府の関与が見えてきたら大臣に対して更問いを次々に行い、権力を監視することが役割と言い切って追い込んでいく。
途中、消毒液の会社の社長がクルマで事故を起こして亡くなるが、はっきり描いてなかったが他殺と思われる事故だった。
政府や病院の癒着を追いかけるジャーナリスト側もかなりの恐怖があったと思う。
後半になると辞任に追い込まれた保健大臣に代わり、新たに就任した保健大臣が登場。カメラは彼を追いかける。
新大臣は誠実な態度でこの事態を収束させようと奔走する。記者会見でも最初に政府は「嘘」をつかないようにしないといけない、と宣言する。
カメラは大臣室にも入って会議や電話している大臣の姿を描く。
オープンな姿勢はルーマニアの腐敗政治の中の一筋の光のように思えた。
衝撃だったのはこういう事件があり、報道がされているのに直後にあった国政選挙の投票率が異常に低いこと。若い世代の投票率は確か一桁だったと言っていた。
これを見て日本のことを思った。投票に行かない、政治に関心がないといういうことは、ルーマニアのように腐敗と癒着を生み出すということを。
日本でも不正会計、公文書偽造など疑獄事件がこのところ多く発生している。
構造はほぼ同じように思える。
少し前にルーマニア映画『雪の峰』をNetflixで見た。
雪山で遭難した息子を探すためになりふり構わずあの手この手を尽くす父親を描いた映画だったが、この映画でも父親はコネを使って警察を動かしていた。
作劇映画だから大袈裟に描いているんだなとその時は思ったが、今作『コレクティブ 国家の嘘』を観る限り本当にそういう国だったようだ。