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~HANGOUT PLUS~不登校でも生きていける社会
1、不登校を不幸にしない
今回のHANGOUT PLUS、ゲストは小幡和輝さんです。ムーブメント『#不登校は不幸じゃない』発起人であり、全国で座談会イベントを開催。不登校の子どもを持つ保護者や、不登校の経験がある人との交流の場を広げていらっしゃいます。また、7月に健康ジャーナル社から、著作『学校は行かなくてもいい---親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』を発表されているため、そちらもご参照いただけると幸いです。
小幡さんはご自身のブログ(http://www.obatakazuki.com/23624735)に、こう記しています。
「感情的に『辛かったら行かなくていいよ』というのは簡単だけど、僕は論理的にも『辛かったら行かなくていいよ』って言いたいです」
今回の放送では、日本の公教育の現状から、小幡さんの今後の展望までが語られました。
【小幡和輝さんの最新著書はこちら】
『学校は行かなくてもいい---親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』
https://www.amazon.co.jp/dp/4907838905/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_yOwYBbFMQBGT4
2、「合わない」ことを強要する学校
宇野さんの学校時代の思い出として、「好き嫌いが多くて、五時間目が終わってもずっと残されて『冷えた給食をすべて食べるまで帰さない』ってことをされた」というものがあります。小幡さん自身も給食が苦手だったそうです。
「合わないことを無理矢理やらされるのが本当に無理で、ちょこちょこ休みがちになったんですよね。そうしたら『ずる休みか?』といじめられたり、殴られたりするようになった」それが、学校に行かなくなる最初のきっかけになったそうです。
宇野さんは現在の学校教育を、以下のように整理しました。
「特に地方の、公立の小中学校の教育では『鈍感なふりをしなさい。それが大人なんだ。空気を読むことなんだ』ということしか教えていない」
「単に殖産興業のことだけを考えるなら、歯車みたいな人間を大量生産するのが正解だった時期があったんだと思う」
しかしその過程で、多くの人間の可能性が失われてきたとも指摘します。一握りの天才やアイデアマンを徹底的に潰す方向性が、日本の教育では長く続いている。歯車のような人間が大量にいてもイノベーションは起きないため、日本社会は20世紀的な重工業から、21世紀的な情報産業への移行に失敗してしまった。これは学校教育のせいである、と。このような意味で宇野さんは、現在の学校教育を批判する立場をとりました。
3、今、求められる先生像
小幡さんは今後、現場の先生と連携していく予定とのことです。
「例えば僕がイベントしたりとか、ブログで書いたりしても、子どもに一回接触できるくらいが限界なんですよね。一年とかずっと近くにいられる大人が、先生だから。その先生が『子どもたちにどれくらい色んな選択肢を与えられるか』はすごい大事」
宇野さんもこの考えに同意していました。
「読み書き計算はもうGoogleでいいんだから、子どもたちに世界の広さを教える。親だけが大人じゃないんだ、家庭だけが社会じゃないんだってことをちゃんと教えられる大人を先生として、再配置していくことが大事だと思う」
先生に求められる能力が変わるので、必然的に教員免許の在り方も変わります。新たな基準で人材を選出し、これまでよりもチューターとしての役割を大きくする。そうして子どもと社会の間で蝶番として機能する教員を作り、学校内部の人材を刷新する必要がある。お二人の対談はこういった結論に落ち着きました。
4、小幡さんの新しい試み
それには多くの反発があるだろうと、小幡さんは危惧されていました。宇野さんによると、それを乗り越える上で重要なのは「小幡くんのような在野の若いプレーヤーが、どういう運動を起こしていくか」とのことです。放送の終盤では、小幡さんの今後のビジョンが話題になりました。
「『#不登校は不幸じゃない』は引き続きイベントをやっていくんですけど、具体的に『不登校になったあとどうするの?』という視点を作らないといけないと思っています」、と小幡さん。現在は、クラウドソーシングを用いて、フリーランスとして自分でお金を稼ぐ体験をするという、中学生に向けた支援プログラムを作ろうとしていらっしゃいます。
中学生を5人ほど集め、メディアを立ち上げる。記事を実際に書くという体験を中学生のときからしてもらい、将来はそのスキルを活用してもらおうというプログラムです。小幡さんは不登校のデメリットを、以下のように整理しました。
「不登校になったあと就職しにくいっていうのは、結局武器がないからなんですよ。学歴があんまりなくて不登校だというのは、採用する立場からしてもなかなか厳しいじゃないですか」
しかし、「不登校で学歴もないけど、私にはこれがあるんです」と言える強みがあれば、状況は変わると小幡さんは言います。冒頭で小幡さんのブログから引用をしましたが、このプログラムはまさしく「論理的に不登校を是認する」ための第一歩なのでしょう。
※本稿は2018年9月13日に放送された「HANGOUTPLUS」の内容をもとに執筆されたレポートです。(URL:http://www.nicovideo.jp/watch/1537341729)
構成:菊地正弥
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