石の向こう側から覗いた色とりどりの世界
これは日記だ。
あのみんなが高揚したnoハン会の中でちょっとだけ別の視点から見て観察していた人間の、ちょっとした記録。
「千羽はる」は今回のnoハン会で、「ひかりのいしむろ」ベースのお手伝いをさせてもらった。
noハン会の感想を見るとみんなが言っている。「千羽はるさんは天然石と文芸部の話で目をキラキラさせていた」と。
もっとはっきり言っちゃおうかな。私は「石」と「文章」に守られていたんだよ。
正直なところ、どこまで行っても私は人見知りで。
人と話すことって結構労力が必要で。ただしnoハン会の参加者と話すとき、その疲労はだいぶ軽減されるのだけれど。
でもやっぱり最後の方はへばっちゃって。
はるさんにも「疲れちゃった?」って聞かれるぐらいには「ひかりのいしむろ」ブースにはずっといて。
その間、ずっと石の勉強をしていた。
売り子なんて人生で初めてのことで、緊張しっぱなしだった。
ひかむろさんの石はすべて魅力的だけれど、魅力的であるがためにみんな悩んでしまうことが多い。
私の役割は、その背中を少しだけ後押しすること。「人が石を選ぶ」というより、「石が人を選ぶ」ようにすること。
もちろん、矢御さんのような「占い」ではないんだけれど。
「ひかりのいしむろ」ブースに来てくれた人みんな。石を購入してくれた人みんな。
――ああ、この人とこの石は一致したな。
雰囲気が一致する。石が喜んでいる気がする。
noハン会に参加した人たちの空気は、私が思うにそういう気配が強くなるらしい。
noハン会に来るのは文章を書く人たちだ。なんであれ、感性が豊かな人たちだ。
そういう人と石は呼び合うのかもしれないな、と思う。
もう一度言おう。私は「石」と「文章」に守られていた。
石と文章を通じて、私は初めて人と話せる。逆に言えば、私はあの場で喋る必要性をあまり感じていなかった。
だって、私のいいたいことは、全部noハン会の小冊子に詰め込んだから。
だから、話したのは石のことと、文芸部の事。
私はみんなの笑顔が見れたらそれでよかった。
「石」と「文章」に守られながら、私はみんなの笑顔が見れた。
そこに会話は必要なく、私という存在が会話に入る必要もなく。
それで満足してしまっているのだから、なんともまぁ、人間失格(笑)
特に今回のnoハン会では、スタッフとして参加させていただいたので、他の皆さんが頑張っている姿も見れた。(一応私も頑張った、つもり)
これでもう、「千羽はる」としては大満足。
「千羽はる」は対話する必要性を感じないから、余計にそう思ってしまう。
懇談会は別。あれは「素の私」。
能天気に喋り、笑い、浮世のことは忘れて笑う。それが「素の私」。
ただ、お礼の言葉は言わなきゃね。
司会をしてくれたおまゆさん。綺麗な声で会場を楽しませてくれた。翌日のランチ会でも素敵な声が聴けて嬉しかったな。会場ではお揃いのネックレスをつけているおまゆさんと写真を撮れてうれしかったよ。
店長あゆみさん。なかなか手際の悪い売り子でごめんね。けど接客という初めてのことをやらせてもらって、すごく感謝しています。あゆみさんとはまた会う機会もあるんだけれど、ここでちゃんとお礼を言います。貴重な体験をさせてもらって、何より石と関わらせてくれて、本当にありがとう。
文芸部神谷さん。なんだか無茶苦茶勝手に一方的に喋っちゃってごめんなさい。私、やりたいことがあると周りが見えなくなるんです。許してね。神谷さんは文芸部の話をしたらすっと雰囲気が変わって、「本気モード」に切り替わるのを見て私も俄然やる気が出ました。どんなことでも協力させてね。
作家と占い師矢御さん。紫の淑女とお呼びしてよいでしょうか? 胸元で嬉しそうに輝くアメジストを見て、やっぱり二人はお似合いなのだなと思ったりしてました。アメジストは「神の葡萄酒がかかった愛の守り石」。同時に古来から続く高貴なる紫の色。占いも作家も両立させる矢御さんにはピッタリだと思います。
エリオさん。初めての接客のお客様。シーグラスは「奇跡」の石言葉を持つと言ったらとても楽しそうに笑ってましたね。どんな「運命の出会い」が訪れるのか、とても楽しみです。
一伽ちゃん。懇談会で酔っ払いに付き合ってくれてありがとうね。いやもうほんとに。一伽ちゃんとはまたお茶をしたいなぁ。私、ハーブティーとかもすごく好きなんだ。今度付き合ってやってね。
はるさん。密かに用意していたはるさんモデルの小説を渡したら泣いちゃって結構びっくりしました。私の書いた小説で泣いてくれる人は生まれて初めて見たので、私も思わず泣きそうになっちゃった。また飲みましょうね。今度は両方笑いながら泣いてもいいね。
しをりちゃん。貴女の合同エッセイを書いている横顔が素敵でした。もうあれは「作家」としか言いようのない独特の空気感を、いろいろな音がする中で一気に周りを自分の世界にしていった。その姿にあこがれます。最後にひかむろのお片付けの手伝いもしてくれて、その時の表情が無茶苦茶可愛かったのを知っている人は少ないでしょう。
そしてkojiさん。もうお疲れさまでしたとしか言葉がありません。最初に私が小説を書くきっかけをくれた人。実は私にとってはめちゃくちゃ恩人なんだよ、伝えきれてるかな? kojiさんのおかげでnoハン会は、数々の色彩がまとまり切っていました。すごいとしか言いようがない。そして素敵な栞をありがとう。
他にも他にもお礼を一杯したい方はいるけれど、それだと3000字を余裕で越えそうなので、ここでお礼を。
私はちょっと異色の立場で、ちょっと異質な空気を醸し出していたかもしれないけれど、それさえ受け入れてくれた皆さんに感謝しています。
「喋る必要がないのに人と関われる」、その空間があったことが、私にとっては何よりもうれしく楽しいことでした。
無色の空気が様々な色に彩られていく。
彩られた輝きは前回よりもより溶け合って、また新しい色を生み出していく。
私はそれを見る観察者に徹したけれど、それでも私の色でさえ少しばかり会場の中には滲み出て、溶けていった。
noハン会とはそういうところ。
noteに関わる作家さんたちの色が溶け合って、広がって、より上に、より花開こうとする力が生まれるのだと、私は思います。
(写真撮影・だいすーけさん)