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幻の女
"夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。むこうからやってくる彼の顔が不機嫌なのは、かなり離れたところからでもわかった。それは鬱積してくすぶりつづけ、時に何時間も続くことがある。あのしつこい怒りのせいだった"1942年発刊の本書は"サスペンスの詩人"とも評された著者による冒頭からの美しい一文で知られる不朽のミステリー傑作。
個人的にはあまりミステリーを手にとらないのですが"とにかく最初の書き出しが凄い!"と友人に熱烈紹介され手にとってみました。
さて、そんな本書は妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよった男が、風変わりな帽子をかぶった見ず知らずの女性と出会って殺人事件に巻き込まれていくのですが。いやあ、今さらかもしれませんが。多くの方が絶賛し引用されてるように最初の1ページから続く流れは【文学的かつ本当に魅力的】ですね。ぐいぐいと作中世界に引き込まれてしまいました。(翻訳の方々の仕事ぶりも素晴らしい!)
また、本書は各章のタイトルが『死刑執行前(まで)何日』という形で【刻々とタイムリミットが近づいている】事を読者に伝える形で緊張感をもって進んでいくのですが。江戸川乱歩も絶賛のどんでん返しの本書、映画化や何度も日本でもドラマ化されているので、ミステリーファンには既知の方は多いと思いますが、初見かつ【ミステリー初心者の私はまんまと騙されてしまって】あ!そうくるか!と最後までドキドキしながら楽しませていただきました。
ミステリーの古典として、また美しい書き出し文好きな誰かにもオススメ。