若かった日々
"このごろ天国のことを考えるのは、両親が死んで以来、私はずっと思ってきたからだー二人がそこにいるのを思い描けるような場所がどこかにあるんだと信じられたらいいのに、と。"2004年日本発表の本書は自伝的要素の強い、シンプルで力強い連作短編集。
個人的にはラムダ受賞の『体の贈り物』がとても良かったので本書も手にとりました。
さて、そんな本書は前述の通りに自伝的要素の強い【『家族と自分との関係』をテーマにした作品たち】時間が過ぎて父親を肯定し祝福したり、母親の最後を看取ったり、自らのレズビアンであることの目覚め。といった内容の短編が13篇、約200ページで収録されているわけですが。
全体的に柴田元幸の翻訳の巧みさを感じるテキストですが。中では『煙草を喫う人たち』が、家族それぞれの関係性や時間の変化が【煙草の銘柄の変化】などで巧みに描かれていて。喫煙するのが普通だった時代を懐かしみながら特に楽しませていただきました。
また、やはり『ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ』『A Vision』の二作は【年上の同性への恋心】がみずみずしく描かれていて、素晴らしい。と思いました(ガードルード・スタインも思わず調べてしまった)
力強く、独特な文章が好きな方、またセクシャルマイノリティな方にもオススメ。
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