戦場のコックたち
"僕は賢くもなければ、交渉が上手いわけでもない。銃撃も下手だから戦場の英雄にもなれないだろう。けれど覚えているレシピだけはたくさんあるんだ。"2015年発刊の本書は、様々に話題となった第二次世界大戦中のヨーロッパの戦場という非日常を舞台にした日常謎ミステリー、反戦小説。
個人的には合衆国軍の特技兵(コック)たちが主人公という目新しさと表紙の食イラストにひかれて手にとったのですが、これが予想以上に面白かった。
その理由の一つは読んでいるだけで実際の映像が浮かんでくるような人物や風景の【描写の厚さ、細かさ】これにより、主人公たちを架空の薄いキャラクターや絶対的ヒーローでもなく【あくまで等身大の若者たち】として説得力をもってリアルに描く事に成功していて、人気ドラマ『バンド・オブ・ブラザース』の様な群像劇好きな私にとって、ペーパーをめくるのが止まらない面白さでした。
また、ノルマンディー上陸作戦から始まり、ホロコースト、ドレスデン爆撃など第二世界大戦で何度も映画や作品となった場所や出来事を本書はまるで【俯瞰的な歴史ダイジェスト】の様に主人公たちの【謎解きと共に追体験させてくれる】のですが。こちらも舞台が変わる都度に他作品を思い浮かべたりしながら、一冊の本として【バランスよく収める事に成功している】と感じました。
第二世界大戦を舞台にした群像劇好きへ、また映像的な作品が好きな人、もちろんミステリー好きにもオススメ。
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