フルサトをつくる
"フルサトといっても必ずしも実家のこととは限らない。実家がフルサトであることは多いが、地縁血縁が濃い地元はいい面もあるが、同時にしがらみがあってやりにくいことも多い。"2014年発刊の本書は、セーフティネットとしての多拠点居住を『生きる、楽しむ』から自給した実践レポート。
個人的には、何事につけても【始める前からやめる理由を探している】人たちと関わっていると、エネルギーが奪われるというか、多分に感覚が鈍ってしまっている感じがしたので、何かしらとお世話になっているナリワイの伊藤さん、そしてギークハウスのphaさんに『元気とゆるさ』を求めて本書を手にとりました。
さて、そんな本書は『都会か二択かという二者択一』を超える住まい方を考えたい、を動機として、中でも地縁血縁に拘らずに【生きていくのに困らない帰る場所】を"フルサト"と名付けて提案しつつ、著者たちによる現在進行中の取り組みとして、和歌山は熊野の事例を紹介してくれているわけですが。とかく地域の事、公を全体主義的に【何でもかんでも行政任せ、あるいは行政がやろうとしている】のに息苦しさを感じている私にとっては快哉を叫ぶかのような読後感でした。
また、何だかんだと同じく場づくりの実践者の1人として、本書に記された体験レポート的に記されていることは、地域で何かしら風を吹かそうとした際に必ず遭遇する【オーソドックスな足の引っ張り合い】事例なので、熊野に限らず、地域で場づくりをしようとしている、既にしている人にとっても大いに参考になり、また勇気をもらえるのではないかと思いました。
自分たちのセーフティネットとして、また住み方の可能性としての多拠点生活をDIYしたい方へ。また地域で場づくりに取り組んでいる人にもオススメ。