その女アレックス
"『まあ、真実、真実といったところで‥これが真実だとかそうでないとか、いったい誰が明言できるものやら!われわれにとって大事なのは、警部、真実ではなく正義ですよ。そうでしょう?』カミーユは微笑み、うなづいた。"2011年発表の本書は2014年国内外のミステリー賞総7冠の大逆転サスペンス。
個人的にはあまりミステリーに詳しくないことからちょっと触れてみようと、ミステリー好きから傑作!と紹介された本書を始めて手にとりました。
さて、そんな本書は美人なのにコンプレックスを抱えた孤独な女性アレックスが突然パリの路上で誘拐、檻に監禁されたのを【ミステリー史上最小の犯罪捜査官?】カミーユ他、ハンサムで金持ちのルイ、どけちですぐたかるアルマンという個性豊かな警察陣が捜査に乗り出していくのですが。。
いやあ。驚かされました。3部構成になっている本書ですが、最初の1部からの流れや視点が【まるでカメラを切り替えるように】2部、3部とアレックスを軸に次々と変化していって、物語的な展開の面白さはもちろん【アレックスに寄せる感情】があちこちに持っていかれて唸らされました。
ただ、警察のカミーユが登場する著者作としては本来は前作の『悲しみのイレーヌ』に続く2作目らしかったので(国内紹介は本書が先ですが)せっかくなんで【前作から読み始めたかったかな?】とも思いつつ。カミーユはもちろん、部下であるルイの知的な話題提供、アルマンのご飯のねだり方など【警察陣がとても魅力的で良かった】です。
もちろん海外ミステリーの傑作として、また本好き、映画好きな方全てにオススメ。