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アメリカの秘密結社―西欧的社会集団の生態

"本書は、わたしが、西欧文化を任意集団の側面からみるとどうなるか、という立場で書いたものである。その具体例として秘密結社をとりあげ、未開社会のそれとの一系列の中にこれをおいて考えてみた。"1970年発刊の本書は文化人類学への多大な貢献で知られる著者による【米社会の集団性】を秘密結社に着目して分析した良書。

個人的には、主宰する読書会の参加者がすすめてくれた事。またパロディ&諷刺企画として『天ぷら騎士団』を私が長年している事もあり手にとりました。

そんな本書は、著者自身のアメリカ田舎町での秘密結社との出会いから始まり、アメリカ史と秘密結社の密な関係性、そして秘密結社の起源や儀式、1970年当時のアメリカの主な秘密結社を紹介【現代社会が失った『こころの拠り所』として非論理的な秘密結社へと回帰する可能性】を指摘して終わるのですが。

最初に感銘を受けたのは、大阪万博が開催され、アメリカに追いつけ追い越せと高度経済成長を遂げていた時代に【『西洋崇拝心』欧米文化偏重に警鐘を鳴らしている】冒頭の【はじめに】の熱い文章。当時とは逆に経済的には停滞し、かえって冷静に日本という国を見直すことができる現在、あらためて沁み渡る言葉たちでした。

加えて、スマホはもちろん、インターネットや電子メールもない時代に、現地の図書館に通い詰めてはメモを取り続け、また実際に本書で紹介している秘密結社の多くに実際に面談し、日本人の目線でアメリカのコミュニティとしての秘密結社を広く国内に知らせようとした著者の【研究者としての熱心さ】も、手軽にググるのが当たり前になっている今だからこそ敬意を覚えました。

偏見でイメージせず、アメリカ社会に深く根ざした秘密結社の歴史を知りたい誰か。また研究者としての著者の姿勢に刺激を受けたいアカデミック界隈の方にもオススメ。

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