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風の影

"その本は、ある書棚のいちばん端で、遠慮がちに顔をのぞかせていた。ワインカラーの表紙で、ささやくようなタイトルの金文字が、丸天井の高みからこぼれおちる光のなかで燃えていた。"2001年発刊の本書は《忘れられた本の墓場》シリーズ第1部にして、全世界37ヵ国で500万部突破のベストセラー。

個人的には随分前に買ったまま、積ん読状態になっていたのですが。自宅待機が続く中、ようやく手にとったのですが。。ごめんなさい!?最初に言っときますが【この本とても面白いです!】上下2巻で計約800ページあるのですが。面白すぎて一気に読み終えてしまいました。

さて、そんな本書はスペインはバルセロナを舞台にしてダニエル少年が古書店を営む父親に連れて行かれた『忘れられた本の墓場』で謎の作家フリアン・カラックスの『風の影』という本に出会ったことから、混乱の中にあったスペインの歴史を背景にした愛と憎悪の物語が次々に展開していくわけですが。

まず最初の導入部『この世から失われた全ての本がたどりつくところ』忘れられた本の墓場。そこでの謎に満ちた作家との出会い。に【本好きとしてはまんまとそのミステリアスな設定にぐいぐいと引き寄せられてしまう】わけで。この時点で早くも作中世界に容易く連れ込まれてしまいました。

また、そうした導入部からの少年の成長・青春物語、ミステリー、ホラー、文学オマージュといった盛りだくさんな要素を贅沢に詰め込みながら、また様々な魅力的な人物たちが登場するも決して破綻することなく【全てが多重奏の様に絡まって大団円を迎える】終わり方もとても読後感がよく、素晴らしいと感じました。一級のエンタメ作品ですね。いや本当によく出来ています。

全ての文学、読書好きな皆様へ。またスペインはバルセロナを舞台にした作品を探す人にもオススメ。

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