『それから』の大阪
"私はその表面的な大阪らしさの内側に隠れた、もっと普通でありふれた、いわば"平熱の大阪"を知ってもらいたいと思った。"2022年発刊の本書は東京から大阪に移住した著者が綴る、新型コロナ禍でも力強い大阪の日常記録。
個人的に縁の深い大阪は『生活者』として移住してきた方からはどう見えるのだろうか?と興味を持って手にとりました。
さて、そんな本書はWEB『集英社新書プラス』連載分に加筆修正されたもので。大阪にいる義母が家業の後継者を求めているタイミングで【生まれ育った東京を離れ大阪へ移住】また勤めていたIT会社を辞めてライター業を始めた著者が、引っ越してくる前にイメージしていた『お笑いの町』『コナモンの町』『おばちゃんが元気な町』に【大げさなデフォルメさ】違和感を感じて【普通でありふれた"平熱の大阪"】を描こうと、新型コロナ禍の中、天満橋筋商店街、万博開催予定地、と各地を巡って話を聞いていくのですが。
まず、2022年現在。大阪は北区、中津でフリーペーパー専門店をコロナ禍でも何とか開け続けつつ、一方で、同じく飲食店はもちろん【大阪で場所を運営している】他の方々はどんな思いを抱いているのだろうか?そんな事を思っていたので。本書で紹介されるお店の方々の『力強い姿、言葉』に大変勇気づけられた。
また、著者が『観光ガイドブック』的な大阪をめぐるのではなく、あまり【メディアで報道されないエリアやお店】を取材しているのも新鮮で。今は大阪を離れた身で『生活者』としては気軽に訪れるのが難しくなっている【あの場所は今はこんな感じなのか】追跡リサーチ的に知れたのも良かった。
大阪好きな方はもちろん、ステレオタイプにはめられた大阪ではなく『日常の大阪』を知りたい方にもオススメ。