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煙か土か食い物

"俺は俺がブラフなんて使わないということを事あるごとに示していかなくてはいけない。エヴリバディマストノウフーズインチャージ。"2001年発刊の本書は著者のデビュー作にして第19回メフィスト賞を受賞したスピード感溢れた独特の文体に圧倒されるミステリのふりをした純文学。

個人的には、覆面作家としても有名な著者の『好き好き大好き超愛してる。』に続く2冊目として手にとりました。

さて、そんな本書はサンディエゴで働く腕利きの救命外科医、奈津川四郎が、地元の福井県で起きた連続主婦殴打生き埋め事件の被害者として母親が意識不明の重体となった事から帰国。事件の解明と犯人への復讐に挑んでいくのですが。

まず、誰もが感じるであろう【改行をほぼ用いず、また英文がカタカナ表記される】スピード感溢れる独特な文体は意外にも読みやすくも、主人公の奈津川四郎を含む兄弟達がそろって血気盛んというか、ひたすら暴力的な事もあり【終始圧倒される読み心地】でした。

また本書は奇抜な実験作品が受賞することが多いメフィスト賞受賞作らしく、ミステリの王道らしい謎解きや、序盤にライバルっぽく名探偵が登場するにも関わらず、ある意味でバッサリ捨て去るような後半の【まさかの家族愛】的展開には驚かされました。合う合わないが割とはっきりする作品だと思いますが、個人的には面白かったです。

福井県に縁がある人や、スピード感溢れる展開が好きな人にオススメ。

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