常識のない喫茶店
"わたしは小さな喫茶店で働いている。ここでは世間の常識など通用しない。働いている者がルールなのだ。自分が嫌だなと思う客には『いらっしゃいませ』も『ありがとうございました』も言わない。"2021年発刊の本書は"店だって客を選び権利はある"と抵抗を続ける溜飲下がるお仕事エッセイ。
個人的には飲食を提供する場づくりに関わっている事から"出禁のカードを振りかざす"といった帯コピーに興味を惹かれて手にとりました。
さて、そんな本書はWEB連載に加筆・修正した第一部約120ページに、書き下ろしの第二部が約50ページされていて。新卒で『大企業だから』と就職するも、二年間で【身も心もボロボロになって辞めた著者】が『働いている者がルール(お客さんと喧嘩してもいい、出禁扱いも自由)』と、どこまでも"お客様は神様だ"を一方的に強いられる環境、感覚だと確かに『常識がない』と感じるも、冷静に考えたら(チェーン店ならとにかく)『個人店なら当たり前』を貫く喫茶店で働く中で自分自身を取り戻した日々が赤裸々というか【ストレートなエピソードと共に】綴られているのですが。
まあ、運営する自分が『ストレスや負担を抱えない』を基準に毎週、平日3日間の夜だけフリーペーパー専門店というマニアックなお店もしている立場としては、共感しかない。というか、実際に著者ほど激しくはなくも、自分も前述の理由から割と露骨に【相手によって接客レベルも変えて】塩対応だったり、過剰サービスしたりしてるとニヤニヤしてしまった。
一方で著者が若い女性ということもあってか、本書で、しょーもないことで絡んでくる態度の悪い客の多くが同年代の【中年男性】という事もあり『自分はし、してないよな?』とビクビクしながら、中年男性を代表するような気持ちで、すいません、すいません。。とか読みながら思ってしまった(笑)
接客業、飲食店で働いている全ての人へ。またお店でしょーもないクレームや土下座しろとか言ってくる人にやれやれとか思っている人にもオススメ。
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