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文豪と京の『庭』『桜』

"京都には、日本的な文学的感性の宝庫が明らかにあるということである。我々日本人はこれを大事にした方がいい。文豪の京都は、我々に『文学』と『京都』の価値を、二つながら示してくれている。2015年発刊の本書は、京都の情景について文豪が書いた文書を解説した『入り口的』アンソロジー‬。

個人的には、月1京都は祇園で『豆本と文学バー』吉羊こけしも企画、運営し始めたことから、これを気に京都と文学の関係性を学ぼうと本書を手にとりました。

そんな本書は、平安文学と西洋絵画を専門領域とするベテラン研究者(教育者)が【古典文学への道案内】として、また京都好きの1人として、グルメやショッピング案内ではなく【知的に、あるいは詩的に京都の魅力を、アピールできないか?】と考えて、名刹や庭園を文豪たちが作品内で書いた文章を紹介しながら説明を加えているのですが。

平安神宮の枝垂れ桜を書いた谷崎潤一郎に川端康成、下鴨神社を書いた夏目漱石、高浜虚子。竜安寺を書いた志賀直哉、井上靖などなど。頭に情景を思い浮かぶながら、時間を超えて【文豪たちと一緒に眺めているような追体験ができて】とても楽しかった。

また【京都をあらためて眺め直すことで】日本人の自然観や美意識といった、日本文化の根本的な部分を考えるキッカケももらえてくれた気がして、それも京都で活動を続けるのおいて大切なことだな。とあらためて思いました。

京都と文豪、その両方あるいは『どちらかが好き』な方へ。また京都観光のお供の一冊にオススメ。

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