自助論
"自助という言葉をより深い意味でとらえれば、そこには、自分だけでなく周囲の人たちを助けることも含まれる。"1859年発刊の本書は"天は自ら助くる者を助く"でも知られる300人以上の欧米人の成功談を集め明治日本の進展に大きな影響を与えた名著。
個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。
さて、そんな本書は著者いわく若者達の勉強会の講師として偉人たちの功績を紹介しつつ【各人が自分の力を発揮すればどれだけのことができるか】という実例を話していたことがきっかけかとして書かれたもので。
冒頭に普遍の真理、金言として掲げられる【天は自ら助くる者を助く】つまり、国家や誰かに頼る前に【自助努力をすることが何より大切】ということを、発明家や技術者、研究者や芸術家、商人や軍人と様々な職業で功績を残した人物たちの【多くが恵まれていない環境だった】ことも紹介しながら繰り返し伝える内容になっているのですが。
発刊された時期が産業革命に沸く大英帝国『当時の覇権国家イギリス』にあたるため、特に発明者にはワットやアークライトなど蒸気機関や紡績機といった歴史で学んだ人物も多く、開発自体はもちろん、ライバルや発明により職を失う心配をした手工業者や権力者による妨害などもあったことを知ったりと、復習や補完されるような読後感でした。
また、個人的には芸術に関心があるため、レイノルズやターナーといった英国の芸術家はもちろん、ミケランジェロやティツィアーノ、ロランやプッサンといった引き合いに出される芸術家たちのエピソードはとても興味深かった。
明治維新まもない日本で翻訳出版され、福沢諭吉の『学問のすすめ』とならび称された当時のベストセラーとして、また普遍的な啓発書としてもオススメ。