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あしながおじさん

"あのねえ、おじ様、私は誰をとっても最も必要な要素は想像力だと思いますのよ。想像力は私たちをほかの人の立場に置きかえさせてくれます。そうすれば誰でも親切で同情深くて理解を持つことができます。"1912年発刊の本書は世界中で愛されるシンデレラストーリーの傑作にして生き生きとした書簡体小説。

個人的には、幼少の頃に世界名作劇場で【アニメ化作品を見た記憶があって】あらすじこそ知ってはいましたが。原作は未読だったので手にとりました。

さて、そんな本書は冒頭からの導入部以外は、孤児院で育った少女、ジュディが資産家"あしながおじさん"の目にとまり、大学進学の援助のための条件として毎月手紙を書くことになったという設定により【全編がジュディの手紙のみで構成された書簡体小説】として、女子大生としての日々の生活が一方的かつ自由奔放に紹介されていくわけですが。

まあ、最初に印象に残るのは著者自身の描いた(作中ではジュディですが)味のあるイラスト、それと決して判で押したような優等生ではなく、ユーモラスかつ感情豊かな(時に可愛らしく反抗的な)ジュディの文書でしょうか。【100年以上前の作品なのに瑞々しく】とても驚かされました。

また、情報の多い映像化作品と違って、本書では読み手は言わば【手紙を受け取るあしながおじさん】の立場に置かれるわけですが。ジュディを『信頼できない語り手』として色々と抜け落ちた余白部分をイメージしたり、受け取った『あしながおじさんの心境』を考えてみたり。そんな自由な楽しみ方ができる余地が許されるのも良いです。(後、ジュディが小説家志望というわけで作中で紹介される、当時流行の文学作品の感想も新鮮でした)

100年前のアメリカ女子大生にトリップしたい誰か、上品でユーモラスな作品を探す人にオススメ。

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