なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?
"この本は、お金をめぐる僕の思索と実践、それからお金の歴史と進化を踏まえて、これからの時代を幸せで自由に生きる方法を伝えたいと願い、書いたものだ。"2013年発刊の本書は、外資系コンサルを経て起業した著者による"お金がお金を生む世界"ではない未来をわかりやすく提案している。
個人的には、真摯さやスケールこそ違うものの。同じく金融業界にて何度かのバブル(と崩壊)に一喜一憂する人たちを眺めながら、ますます何倍も乖離していく【実体経済と金融経済】にため息をついて起業もした立場として、著者の冒頭に書いている事に共感したことから本書を手にとったのですが。
本書ではタイトルにもなっている『ゴッホとピカソの(お金の世界における)比較』エピソードなど、専門的な用語を極力使わずに、誰にでもわかりやすく丁寧に【金融の本質を説明していて】好感を持ちました。(業界の立場として補足すると、意外に?こういった"当たり前な事をちゃんと"説明している本は少ないのです)
また本書では、その上で国民国家の【枠内における国民経済】には、無国籍化しているグローバル企業の存在により、とっくに【限界が来ている】ことを指摘した上で、個人個人がSNSや多層なつながりの中で、共通価値としての【通貨としてのお金】を否定せずとも、信用やネットワークをベースにした【有機的な経済】がつくれる事をバランス良く提案しているのですが。こちらも【極端にわかりやすく(なので危ない)】投機本(以前ならFX、今ならビットコイン界隈ですね)が溢れかえる中、一服の清涼剤のような誠実さを感じる読後感でした。
ボーナスを考えて、ちょっと【お金についてゼロから学ぼうとしている】若手ビジネスマンやウーマンの最初の一冊に、また俯瞰的に【お金の本質をわかりやすく掴みたい】誰かにもオススメ。
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