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眼球譚

"『お皿は、お尻をのっけるためにあるのよ』シモーヌが言い出した。『賭けをしない?あたしはこのお皿の上に座ってみせるわ。』1928年に地下出版された著者最初の小説にして、サド以来の傑作と言われる本書は、眼球、卵、睾丸の連想ドラマにして、欠落感と躍動感溢れるエロティシズム作品。

とはいえ、最初に紹介すると。全く予備知識なしに手にとってしまうと、本書は一般的には特殊とされるであろう性行為【排泄やネクロフィリアを10代の若者たちが延々とやり続ける内容】で【単なる変態小説】と切って捨てられてしまうかもしれないかもしれない畏れのある作品だと思われるのですが。

でも、ちょっとまってほしい。せめて小説部分が終わってから始まる『第二部 暗号』。独白形式で語られる著者と【父親や母親との関係性について】そして【神との対峙】といったところまで読み終えてほしい。(もしくはWEB検索してほしい)

すると、著者の実体験が濃く反映されている、このフランス語で『ウユ』『ウフ』『クユ』と似た音になり、楕円的球状としても類似点のある眼球、卵、睾丸という3つを背徳的に弄びながら【他者への同情は皆無】にして、排泄行為をしつこく描く著者の行為自体に、執筆当時20代だった著者の【言葉にすることが出来ない感情と絶望が詰まった小説】として、文面の裏から狂気と紙一重の【突き抜けた絶叫が伝わってくるような切実感】が感じられて何とも強く胸をうつのです。(とはいえ、どうしても表面的な性描写に嫌悪感を覚える人がいるのも理解はできます)

人を選ぶ作品ですが。あえて表面上のエロティシズムにはビクともしなくなった大人な誰か、あるいは生(性)と死を鮮やかな躍動感で描いた作品を探す誰かにもオススメ。

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