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My Humanity

"『人間が選択の最後のボタンを押すとき向き合うのは、科学じゃない。科学に従事する俺たちが、働いている動機の問題だ。人間性の問題だよ』"2014年発刊の本書は著者初の作品集にして、それぞれテクノロジーによって変容を迫られる人間性を描いた物語。

個人的には日本人作家のSFが読みたくなったので、アニメ化もされた『BEATLESS』の作者の初短編も手にとってみました。

さて、そんな本書はタイトル通り『人間性(ヒューマニティ)』をテーマにした作品が4作品収録されているわけですが。

中では『経験そのものを他者の脳に再現する』擬似神経制御言語ITP開発を巡る技術者たちの葛藤を描いた『地には豊穣』にはグローバル化が進み、一方で存在感の低下からデバイスやソフトの多くを"日本製"ではなく、【海外製品を使用せざるを得なくなった現状】を重ねたり、また、書き下ろしとなる、原子力発電所の除染作業に有効とみられていたナノマシンが暴走し、進化する『父たちの時間』には、やはり【フクシマ原発の廃炉作業やコロナ禍】をイメージしたり、と、フィクションとはいえ、絶妙に『現代日本とも地続きで繋がっている感じ』が印象に残りました。

また、少児性愛の犯罪者を矯正する為に前述のITPが使用された顛末を描いた『allo.toi.toi』も、性犯罪者の再犯罪率の高さが問題となる中、リアリティがある内容で。結末こそ【必然的なグロテスクさ】で終わるとはいえ、本当に『子どもたちを理解しているのはどちら?』も含めて考えさせられる良作でした。

読みやすく面白いSF短編集を探す方へ。またSFギミックに頼りすぎず、人間に寄り添った作品が好きな方にもオススメ。

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