
不良のための読書術
"いかに人生を無駄にするかが、人生をおもしろく楽しく過ごす秘訣である。すなわち、ためにならない本、悪い本、無駄な本をたくさん読むほど人生は豊かになる。ためになる本ばかり読んでいると人生は貧しくなる"1997年発刊の本書は本好きには有名な著者が【情報に振り回されない】読書の楽しみ方を教えてくれる一冊。
個人的には"何が不良のためなんだろう?"とタイトルにひかれて本書をタッチ・アンド・バイと直感的に手にとりました。
さて、そんな本書では業界事情もあり【毎日200点以上の新刊、年間出版点数6万点以上】の"新刊大洪水状態"の中でベストセラーに便乗した本、似たようなサラリーマン向けの自己啓発書といった8割のクズやゴミ本にマジメな多数派、良い子として振り回されるのではなく『ま、いいか』『しょうがない』と不良として【遭難している本】に手を差し伸べる態度やテクニックを紹介しているわけですが。
普段から話題やベストセラーにこだわらず、むしろ古本屋の一人として【古き良き良書達や知られざるリトルプレスを発掘する】ような日々を過ごしている私には【みんなが読んでいる本は、死んでも読むもんか!】とする本書は概ね共感するところが多数ありました。
とはいえ、1997年発刊なので本書で紹介されている本界隈の電子出版やオンライン化による変化といったものへの言及は【流石に情報として古い】のですが。それでも、どの時代を切り取っても日本の本屋事情や読書環境は良くも悪くも本書でも指摘されるようにずっと逆風で。他人事と言えない立場としては、そろそろ本気で何とかしなければ!そんな気持ちにもさせてくれました。
気軽な読書術として。また出版事情や流通までさかのぼって【本をとりまく環境】を考えたい誰かにオススメ