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ベトナムのテト休暇を素敵な家族と過ごして、ちょっぴり羨ましくなった

ベトナムのテト休暇は毎年1週間ほど続く。

至るところで「迎春」の雰囲気が漂っている。花々が咲き誇っていて、多くのお店も開いている。マラソン仲間も、いつも通り早朝から走っていた。素敵な日常と、いつもより少し鮮やかなカントーの街並み。

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ベトナムのシンボルである赤と黄色の国旗と花々は、誇らしげ。なんだろうな、このカッコよさと美しさが共に存在する空間。「誇り」や「尊重」といったものが、集団アイデンティティに及ぼす影響を、もっとこの場で考え続けたい。それはどこか、日本社会が忘れかけているものの気がするから。

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朝の6時。若者たちが、川沿いで真剣に写真撮影をしていた。幸せな生活だ。

「マミ、大晦日に家族で食事するから、マミも来て。一緒に伝統料理も作ろう。」

そう誘ってくれたのは、「この人のことを理解する為にベトナム語をもっと頑張りたい」と思えるほど、価値観や考え方がとても共感できる友人だった。

「車で家まで迎えに行くから。家族に、プレゼントを購入したり、何も気を遣わなくて良いからね!とにかく来てね。家族には、ベトナム北部と南部出身がいるから、両方の料理を説明するよ」と。まだまだ完璧じゃない、意思疎通にも時間がかかる私のベトナム語にも、いつも真剣に耳を傾けて聞いてくれて、辛抱強く、待つ。それでも、「マミと話をしていると楽しい、そして、マミの言葉はいつも考えさせてくれる。自分のことをより深く知ることを、助けてくれる」と言ってくれる。

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迎えられた家は、北部と南部の花々が表に飾られたとても大きな家だった。

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さすが、運動家。自転車と、バイクと、あと部屋の中には全ての運動器具が揃っていた。(隔離に最適な家だな・・と、少し羨ましくなった)

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家族のメンバー、一人ひとりを紹介してくれた。

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最初にご家族や家の中を紹介してくれて、お母さんが焼き春巻き(nem nướng)の作り方を教えてくれて、料理ひとつひとつ、名前や歴史、ベトナムのどの地域の伝統料理なのか、何と組み合わせて食べると美味しいのか・・・等、丁寧に教えてくれる。その場では全部覚えきれないんだけれど、ふとした時に思い返す。たぶん。

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このバインチュンは、ベトナムのテト正月にどの家庭でも食べられている伝統餅料理。正方形の形はバインチュン、あと細長い形のバインテットもある。少し食べただけでも、結構お腹いっぱいになるので、そんなに量は多く食べられないけれど、醤油と一緒に食べたり、豚の角煮と一緒に食べたり、いろいろ味を工夫しながら、独自の最適の味を見出す笑

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この、ココナッツジュースも入った豚の角煮が最高に美味しい。ご飯とも合う。

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バインチュンとも一緒に食す。

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ちょうど、他で見ていたベンチェ省の料理紹介ページにも掲載されていた。

ベトナム南部各地に住む人々にとっての旧正月テトは、ご先祖の為のもの。「過去と現在」を繋げる、精神面でもとても重要な意味があり、大晦日に先祖を出迎える儀式も大切にされている。

「テトを楽しむのはまずご先祖で、その次は生きている人」という考えで、家族は、テトを楽しみながらも、まずはご先祖に、食べ物や果物をお供え。

新年の祭壇の準備は大晦日の早朝から、家族全員が集まって行う。女性たちは、料理を作ったり、祭壇に置く供物を用意し、男性たちは、家を掃除したり、礼拝用具を準備したり。そんな忙しい時に、よく呼んでくれたなぁと思いながら、でも一緒に楽しそうにしてくれていたので、良かった。

楽しそうにしている・・・というよりも、こちらの人々は、「マミと一緒にいると楽しい!もっとマミのことが知りたい!」と言葉にして伝えてくれるから、すごく幸せになるし、感情の言語化の姿勢をすごく学ぶ。

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全部ご先祖様へのお供え物。

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とても素敵な祭壇。300年以上続く家系。なんでだろう、日本もそうであるはずなんだけれど、ここにいると、儒教の教えや道徳がより日々の生活にとても身近に感じる。「水を飲むとき源を想う」(uống nước nhớ nguồn)「親孝行」「足るを知る」(Biết đủ)というように、ここの人々は、多くを求めず、家族の絆を大事にし、助け合う。そうだよね、日本も。そうだったんだろうか?過去のものにしたくないけれど、なぜだろう、少し霞んで見えるのは。

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「マミも写真を撮ってあげるよ」

と言われ、お線香をあげさせてもらった。ここは、もちろんベトナム。しっかり、写真撮影の角度も誘導され(笑)、何枚も撮ってくれた。

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縁起物を意味する5種類の果物を美しく並べて飾る大きなお皿。1年前のテトの前に、ベトナム語の先生からこのフルーツトレイ(Mâm ngũ quả)の話を聞いていて、この5種類の果物の中には「危険」を意味する音があるバナナは使われないこと、パパイヤやイチジクが良く使われること等、なんだか繋がった気がした。これは、南部だけなのだろうか。

祭壇に置かれる供物は、5つの幸福を意味する5本の菊の花と共に。

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そして、友人と話していたら、1階でご家族が更に生きている人々への食事(笑)を作ってくださっていた。繁殖と豊を意味する鶏、煮込みの豚肉、川魚のフライなど南部の伝統的な料理。揚げ春巻きは、自分も一緒に作ったからか、今までで食べた中で1番美味しかった。

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タケノコを使ったスープは、主に北部のテト正月に食べられる伝統料理。

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南部の人々にとって、「ご先祖をテトにご招待する」という考え方で、またご先祖は、生きている家族に幸運や平安を与えると考えられている。

私は、幸せになって、わからなくなった。ちょっぴり、羨ましくなった。これだけ、無条件に愛を与えてくれる人々がいて、「マミに、ベトナムでの忘れられない経験をプレゼントしたい」と、大事な家族の行事へ迎え入れてくれて。でも、私は、何も返せない。「家族が恋しい」という感情を共有できない。いつもここの人々は、私に「本当の幸せとは」を突きつける。この国は、日本では考えなくても素通りできた道へと私を連れていく。異なるエネルギーを使う。なんなんだろう。とても素敵な時間を過ごす毎に、「何も変わらなくても良いんじゃないか」と、ふと虚無感ともいえる感情と、寂しさと、幸せが同時に運ばれる。

日本では、「家族」の形や機能が、変わりつつある。シェアハウス・拡張家族、同性結婚、別居婚など、「あり方」が多様化してきている。その多様化は、便利で、必要なもので、尊重されるべきものではあるものの、同時に、論理的回答はできない、大事な何かが失われつつあるような気もしてならない。

家族、花、愛国心、誇り、愛、幸せ・・・

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日本にいて、参加できなかった2020年のハノイマラソン。ASEAN諸国の国旗が描かれたメダルを頂く。走り続けよう。

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