梅棒 14th WONDER 『おどんろ』 のことをどうにか書き残したかった観客の長い感想文
これは梅棒 14th WONDER 『おどんろ』の感想文です。
まずはお礼を。
この舞台を届けてくださった梅棒並び演者の皆様、スタッフ等関係各位の皆様へ。そして何より、惜しくも開演とはならなかった、12th WONDER 『おどんろ』に関わられた全ての皆様へ。素晴らしい作品を世に出してくださり、本当にありがとうございました。
おどんろを見るだけの仕事に転職したい
前説
まず、梅棒公演は前説があります。舞台の基本はノンバーバルですが、導入の意味合いとお客さんとの一体感を生むためもあるのか、前説だけは台詞があります。(途中、鉤括弧の表記で台詞が書かれている所がございますが、それは私が演者さんの口の動きと表情を見て、推測して当てはめた台詞です。)
今作は、物語の舞台となるタイトー区にある『瀬賀寺』の住職を務める、瀬賀三四郎(演:櫻井竜彦)の生配信から始まります。
生配信にスパチャするのは、警察官の那夢子(演:大西桃香)。結構な額投げてた気がしました。実は瀬賀さんファンだったのかしら。だとしたら仲良くなれそうです。
そんな生配信の途中、エリマキトカゲのNEO妖怪・エリゴルゴン(演:鶴野輝一)が乱入してきます。配信中は緑色の尻尾が見切れておりましたね。
日大の先輩後輩ライン大好きだ!!
配信中に邪魔をしてきたエリゴルゴンを注意する瀬賀さん。その話を聞きたくないとばかりにふざけ始めたエリゴルゴンの日替わりネタ。
・野球(ガムめっちゃ噛むので助っ人外国人)
・サッカー(フリーキック)
4回見ましたが、私が見れたのはこの2つでした。どちらもお見事でした。
さらに、滑りやすい🤮で転ばせたりなど、おイタをしすぎて瀬賀さんに「大人しくしろ!」と御札を貼られちゃうエリゴルゴン。そんな御札を貼られたエリゴルゴンを、うっかり大量の参拝客(観客)に見られてしまう瀬賀さん。場を取り繕うために例えたもの(日替わりネタ)。
・まりも
・ヨギボー
・ユニク◯コラボのサステナブルなドラ◯もん
・ホース
例えが独特。
うっかり見てしまった我々に、タイトー区で悪さをしている、NEO妖怪についての指南書を売りつけようとする瀬賀さん。言い値で買いたかった。
そんな瀬賀さんが特別に、参拝客へNEO妖怪たちを紹介してくれるとのこと。しかし、出てこいや!と叫んだり、ご飯で釣ろうとしても出てこないため、瀬賀さんは彼らが街へ出てしまったことに気づきます。
前説終わり「あいつら〜!!」と叫んでNEO妖怪たちを探しに行く瀬賀さんに苦労人属性を感じました。
M1_Ado「踊」
文章で書いてたら際限がないので、ここからは箇条書きで参ります。
NEO妖怪たちがかっこよすぎる。
妖怪たちの少し不思議さを醸し出す暗めの照明から、一体ずつパッとスポットライトが当たっていく演出が最高。インパクトがすごい。
例えば、自分の好きな人が出ているからと梅棒を初めて観にきた人がいたとして、更にその人が事前に共演者を調べてなかったとして、初っ端からBENZO(演:パイレーツオブマチョビアン)をくらうんですよ?いいぞもっとやれ。
市井の人々にいたずらを仕掛けていく妖怪たち。タイトー区民にとっては大変だろうけど、端から見てる分には面白そう。
市井の人、ちょいちょいキャラが濃い。
妖怪たち、全員ビジュアルと技量が半端ないんですよね。妖太郎(演:小越勇輝)も、パンフレットで中の人が「ダンスは苦手」と述べていましたが、ダウトやろ。
たぴりす(演:RiNnA)ちゃん身体柔らかいなぁ。関節どうなってるんだ。ボールとか長いポニテとか装飾付きまくりの衣装で、さらに足元ヒールで、なぜあれほど自由に動けるのか。
二千GENJI(演:NANOI)さんは妖怪の中で特にお気に入りです。能力的にも強力ですし。動きのロボット感が好きです。あと何よりサイズ感がかわいい。
キャラ濃いめ、というより濃縮還元の妖怪たちに対して、一切興味がないサラリーマン萬代(演:梅澤裕介)。エリゴルゴンの🤮に滑ってもほぼリアクションなし。BENZOのおならも、ハンカチで鼻と口を抑えるだけ。
それを見てさらに仕掛けようとする妖怪たちに「行くぞ!」と声を掛ける妖太郎。リーダーシップ発揮してますね。おでこにある第三の目で、時を止めるチート能力持ちですからね。
M2_ウルフルズ「泣けてくる」。
満員電車に乗って、息の詰まる会社で働いて、帰ったら一人ゲームをする。私を含め、おどんろを見に来たお客さんの多くは社会人だと思うので、萬代さんを見て胸がキュッ!てなっただろうと思います。
満員電車から会社へと向かう萬代さんのくたびれ具合がすごい。
ここでは天堂製薬がメイン。自身より年下であろう邪礼子(演:Kurumi Shiina)には仕事で怒られ、若手の阿多利(演:多和田任益)には気を使われる萬代さん。不憫。
そんな中にさっそうと現れる天堂社長(演:塩野拓矢)と祖煮博士(演:天野一輝)。仕事もそこそこに、社員を飲みに誘う天堂社長を見ての感想は「この会社で働きたくね〜〜〜!」です。
飲みの誘いを断ってまで仕事をしている萬代さんの傘を、勝手にパクる天堂社長。おまけに道すがらで捨てていく。ううん、嫌な上司!
邪礼子ちゃんの酔っ払い演技、ヒールで千鳥足の演技がお見事。体幹どうなってるんだ。
雨の中、傘をパクられて帰る萬代さん。捨てられていた自身の傘を拾い上げたところで、赤ら顔のガテン系おじさんに殴られる。おまけに傘を踏み潰される。不憫(2回目)。
そんな一部始終を目撃した那夢子ちゃんが駆けつけてくれるも、ガテン系おじさんはすきを見て逃亡。それを追う那夢子ちゃん。置いていかれた萬代さんは、壊れた自身の傘を直し、帰路につきます。
オープニングで大泣きした方へ。貴方だけじゃないよ。
M3_UVERworld「一滴の影響」
おどんろというお話が、不運で冴えない中年男性が幸せを手にするためのお話だと考えたら、とてもしっくりくるのです。
この曲を聞いて、歌詞を見返して、強く思いました。
萬代さんの傘に、不思議な力がやどり始めます。
なにか異変に気づいたのか、外へ出る萬代さん。そこにいたのは自身のビニール傘ではなく、NEO妖怪の傘児童(演:野田裕貴)でした。傘児童はいきなり、彼に抱きつきます。
暗転後に映し出された「おどんろ」の文字を見て、思わず泣いてしまいました。
ストーリー中は、ダンスの振りより、演技がメインの場面もあります。オープニングでのソロダンスが一番、演者さんのスキルがぶっ放される時間であります。
観劇後に気づきましたが、野田さんは傘児童という役柄上、幼さを強調させるためかずっと体勢を低くして踊ってました。このオープニングがほぼ唯一、彼の素のダンスが見れる場面だったのではないでしょうか。
オープニングで梅棒メンバーは揃いのコスチュームで踊ります。前回公演の「風桶」ではコンセプト上、劇中の衣装のみだったんですが、今回はありました。
推しがかっこいい衣装着てかっこよく踊るというのは、それすなわち最高。
私は櫻井さんのダンスが好きです。語彙力ないので、表現が難しい。感情がグワッと出ているところとか、ちょっと他の人と違うんですよ、うまく表現できないんですけど、なんか、ね!!(何)
一人一人、振りが次のメンバーへ繋がるような構成で、本当そういうところ最高。ずっと最高。
遠山さんは本当に楽しそうに踊るんですよ。良い、好き。
梅棒ファン(通称:ごはんつぶ)はこの時点で勘付いている。多和田さんは今回、早着替えが多いだろう、と。
萬代役である梅澤さんが登場する際の歌詞に、ギュッと掴まれました。この曲をオープニングに持ってきたのは本当もう、天才。
役のスーツ姿で踊る梅澤さんと、他の梅棒メンバーとの対比が、この物語の主人公が彼であることを際立たせていました。
12thの公演中止から、おどんろはキャストと配役、一部曲が変更となり、14thに向けて新しく作り変えた部分も多かったそうです。パンフレットを見比べてみると、萬代さんのキャラクターには悲観と諦観が足されたのではないかと思います。
M4_BTS「Dynamite」
観客が号泣してる中で大ボケかます劇団がどこにいる。そういうところが大好きだ!!
めちゃくちゃかっこいいOP終わりにぶち込まれる
高須クリニック天堂社長のプロモーション。この容赦ないコメディが梅棒の醍醐味の一つでしょう。祖煮博士の激まずドリンクにやられる天堂製薬社員。ナイス顔芸。
萬代さんを振り回す傘児童がかわいいなと思う反面、頭の片隅で「野田さん今年何歳だっけ……?」がよぎる。
瀬賀寺に代々伝わる数珠のおかげで、傘児童を見つける瀬賀さん。保護のために捕まえようとしますが、傘児童は萬代さんと離れたくない様子。
そら、クラウチングスタートをして向かってこられたら、怖いだろうよ。瀬賀さん。
M5_東京スカパラダイスオーケストラ「Samurai Dreamers -サビレルナ和ヨ- feat.TAKUMA(10-FEET)」
本来、梅棒の公演は観客の笑い声も多く、演者さんのダンスに歓声が上がることもしばしばありました。しかし、今のご時世では控える必要がありました。M4での高須院長天堂社長でも我慢していたのですが、続けて、笑ってはいけないM5が始まります。
那夢子ちゃんの「事件ですか?事故ですか?それとも……妖怪ですか?」という台詞から始まるM5。
妖怪体操が流れるのかと思った。株根警部(演:Q-TARO)のあのビジュアルで出落ちを狙っていないとは言わせない。イントロも相まって笑うしかなかった。パンフレットを見た限り、12thから一番ビジュアルが変わっていると思う。
中(演:遠山昌司)のあのビジュアルで、出落ちを狙っていないとは言わせない。
ごはんつぶはすでに勘付いている。風桶の反動か、遠山さんはきっと今回ふざけ倒すだろう、と。何なら、M1の段階で気づいている。
湖南(演:YOU)さんはシスター服を着ているのに、妖太郎の手配書を破いてみせる過激派でした。
那夢子ちゃんは一番若手で、末っ子というより、不思議犯罪対策課の中では娘のような雰囲気でした。
場面切り替わって妖怪たちが出てくるときの音楽と、はっちゃけ具合がバチコーーーーーンってハマってましたね。
終盤で、パトロール中に瀬賀さんたちを発見した那夢子ちゃんが、単独で尾行を始めます。
M6_米津玄師「百鬼夜行」
どうしても瀬賀さん中心の感想が多くなってしまいます。許しておくれ。
曲が先か、設定が先か。NEO妖怪たちと歌詞の「我らは現代の妖怪だ!」がリンクしすぎてて脱帽。
上手いこと傘児童を誘導し、瀬賀寺まで連れてきた瀬賀さん。状況を訝しみながらも着いてきちゃっている萬代さん。そういうところだぞ、知らんけど。
櫻井竜彦推しとしても、我ながらニッチだな〜と思う萌えポイントは、瀬賀寺の門に掛かっていた封印的なやつを解除する際の瀬賀さんの手首のひねり方、です。
はっちゃける妖怪たちが可愛い。エリゴルゴンと妖太郎は肩を組んでスキップしているし、二千GENJIは一人お茶をすすっているなど、個々のキャラが立った動きをしている。だから梅棒公演は何回も見たくなるんです。
瀬賀さんに御札で脅されつつも、なんだかんだ言うことを聞いて座布団の上に座る妖怪たち。彼らの関係性が伺えます。
傘児童を温かく受け入れたのに対し、人間である萬代さんへのアタリが強すぎる妖怪たち。妖太郎にいたっては、萬代さんのほっぺを掴んでましたね。
傘児童を紹介した際には、妖怪たちと同じポーズ(おでこの辺りで親指・人差し指・小指を立てる)で迎え入れたり、いじめられる萬代さんを庇ったり、瀬賀さんは一貫して立場は中立でした。
皆仲良くすればいいのにって、ずっと思ってたんだろうなぁ……。
ぶっちゃけ観劇2周目からはずっとつらい。そんなてんやわんや状態に、銃を抱えた那夢子ちゃんが割って入ってきます。
一触即発の事態に「いい加減にしろ!」という様子で、前説で売りつけようとしていた指南書を取り出す瀬賀さん。
特と御覧じろと、指南書を見せつける瀬賀さんの後ろで、妖太郎も「よく見とけ」とハンドサイン(Vサインで自分の目を指した後に相手の目の方を指す)していましたね。あれは小越さんのアドリブっぽく見えました。
M7_King Gnu「どろん」
ここから、NEO妖怪たちが何故生まれたのか、それぞれにスポットを当てて掘り下げていきます。
妖太郎は肩にファー○ーを乗せたり、ルーズソックスを履いていますが、昔流行ったものの化身であるNEO妖怪のため、最初はほぼ装備がありません。
90年代後半から令和にかけて、流行り廃りを繰り返す人間たち。ブームが去れば容赦なく捨てられることに苦悶する妖太郎。そりゃあ、人間嫌いにもなりますよね。
ファー○ーからAIB○に乗り換えていた小学生、すごくどこかで見た気がするな〜!
「小越勇輝にルーズソックスを履かせ、肩にファー○ーを乗せ、マントを羽織らせて角も生えてるんだけど、めちゃくちゃかっこいい」と説明してもポカンとされたのですが、苦しみながら踊る妖太郎は、それはそれはかっこよかったです。
M8_GO!GO!7188「とかげ3号」
過去を思い出して苦悩する妖太郎に、エリゴルゴンが「お前だけじゃない」といった表情で引き継ぎます。
エリマキトカゲのNEO妖怪であるエリゴルゴン。ある少年は友人にペットのエリマキトカゲを見せびらかします。
飼い主の少年を遠山さん、友人の少年を櫻井さんが演じているのですが、ここは希釈なしのどストレート梅棒だと感じました。
エリマキトカゲの尻尾は再生しません。
こちらはエリゴルゴンの姿で見ているので、尻尾を切ろうと飼い主の少年がはさみを出した瞬間に「やめてあげて!!」ってなる。
尻尾を切られたエリゴルゴンは失意の中、外の世界へと出てしまいます。道路を走る車の音。嫌な予感しかしない。
無慈悲でありますが、曲とエリゴルゴンが車に轢かれるシーンが合いすぎてて感動しました。個人的にこのナンバーは、おどんろの中で1,2を争うハマり具合だと思ってます。
鶴野さんは何であんなにダンスでの心情表現が上手いのか。
M9_きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」
たぴりすちゃんはタピオカミルクティーのNEO妖怪。可愛いんです。ずっと。本当、まじで。
多和田さんと踊るたぴりすちゃんが楽しそうなんです…本当…。たぴりすちゃんが可愛いんです!!
妖怪というよりはフェアリーみがありますよね。
タピオカミルクティー屋に現れる『EXIT』っぽいチャラ男の二人、めっちゃ既視感〜。
チャラ男の一人が、スミノフっぽい瓶のお酒を浴びるようにしながら舞台袖へと捌けていきましたが、絶対自分で考えただろう櫻井さんよ。
12thのパンフレットには妖太郎のことが好きと書かれてありましたが、14thのたぴりすちゃんには書かれてないんです。少しキャラクターも変わったようです。
ミルクティー屋の店長である多和田さんが顔芸しまくりでした。白目の向き方が上手。
M10_光GENJI「ガラスの十代」
二千GENJIのネーミングが先か、選曲が先か。ダジャレ?
キャラのビジュアルとロボットダンスが相まって、かなり妖怪らしい仕上がりの二千GENJI。でも可愛い。
NANOIさんのダンスはカクカクというより、なめらかな動きだなと思いました。なめらかかつ、キレがある。
多和田さん、鼻ほじっちゃダメ。自動販売機で使えず、小学生にくしゃくしゃにして捨てられる二千円札。
「壊れそうな物ばかり集めてしまうよ」のしまうよ、というフレーズに合わせて、着物に二千円札をしまう二千GENJI。そこに合わせるのか!?と思って、特に好きな振り付けです。
最後に、ローラースケートで現れる小学生たち(塩野さん、多和田さん、YOUさん)を見た初見の感想は「気をつけて!!」でした。コケる人いなくてよかったです。
M11_植村花菜「トイレの神様」
M8あたりから、今回は丁寧にキャラ紹介するんだなぁと感じていました。
梅棒の作品は客演にも見どころが多く、メインじゃなくても伝わるくらいキャラが濃いのですが、限られた公演時間で全員を掘り下げることはなかなか難しい。今回はキャラごとに一曲ずつ使用していたので、説明が行き届いているなと感じました。これが盛大なフリだなんて思いませんでした。
パイレーツオブマチョビアンにこの曲でこられたら、こちらは笑うしかないんですよ。
またしても見たことのある小学生が登場。多分ちょっと貧乏なご家庭の子だと思います。
Q-TAROさん演じるおばあちゃんも大変な面白キャラ。膝が笑いすぎている。
きれいな女神様≠BENZO
勝手にやってきた水道業者的な人に、洋式便器との取替えを勧められるおばあちゃん。しかし、おばあちゃんは取り合いません。
そんなおばあちゃんを篭絡するため、まずは孫から仕掛けにいった点を見て、この水道業者的な人めっちゃ有能だなと思いました。
ウォシュレットシーン(それ以外の説明の仕方が分からない)でのQ-TAROさんの表情は、完全におばあちゃんが女を思い出してましたね。言い方悪いですが。流石でした。
ウォシュレットシーンの水道業者的な人(天野さん)の感情を聞きたい。
誇大表現かもしれませんが、梅棒好き=パイレーツオブマチョビアン好きだと思います。見た目の奇抜さだけじゃない、観客を沸かせるダンススキル。今回もお見事でした。
足で拍手求める人初めて見ましたよ。今作はNEO妖怪だけども。
今まで黙って見ていた那夢子ちゃんが銃を瀬賀さんに押し付け、妖怪たちと肩組みながら歌う姿に、梅棒王道ヒロインの姿を見ました。
妖太郎だけは那夢子ちゃんからのハグを拒んでいたので「あ、双方のファンに配慮されてるな」と思っちゃってゲフンゲフン
M12_sumika「フィクション」
ここからは萬代さんの場合。彼がうだつの上がらないサラリーマンになるまでのお話。
あまり裕福ではない家庭なのか、つぎはぎだらけの制服で登校する萬代少年。ここに、彼が傘児童や他の妖怪たちに懐かれた背景があるのではないかと思います。
他人に踏みつけられても新しい傘を買わず、手直しして使うような物を大事にする萬代さんだから、人間に捨てられた過去を持つ妖怪たちは懐いたのではないでしょうか。
サビで豹変する萬代少年。妄想の中で同級生たち(天野・遠山)の頭を引っ叩く。梅棒メンバー相手だからでしょうか、容赦なく当たってた気がしました。
しれっとカップルになっている遠山夫妻。
EXITの二人、ビンボくん、遠山夫妻と、ごはんつぶの心くすぐるニクい演出だな〜と思っていたんですが、これは来るべきオチのためにテンション上げるためだったのではないかと。
上げて下げる。成長してサラリーマンになった萬代さんも、同級生たちにからかわれていたときと変わらず、孤独でした。
サビで豹変する萬代さん。相変わらず梅棒メンバーへは容赦がない。
4回見た感想「阿多利そこまで悪いことしてなくない?」
天堂社長は心臓握りつぶされていましたが、あれは仕方ない。捌けていくとき、少し胸の辺りを気にしている天堂社長の演技は芸細かいな〜と思いました。そう、梅棒は芸が細かい。好き。
萬代さんの過去を聞いた妖太郎は、どこか自身と重なる部分があったのか、彼を抱きしめます。那夢子ちゃんからもハグされる萬代さん。良かったね…。
ラストのサビ部分のダンスが本当に梅棒らしくて、明るくて、楽しそうすぎた。歌詞の「お生憎、見当はつけない」と妖怪たちのポーズがベストマッチ。
一滴の影響もおどんろを表している歌だと思いますが、この曲も世界観によく合っている曲だと思いました。
薄々感づいていたけど、もしかして折り返し地点?
M13_竹原ピストル「あ。っという間はあるさ」
NEO妖怪 in 天堂製薬。
何故か仕事ができるエリゴルゴン。ずっと眼鏡かけてデキる人風だったのですが、目が行って仕方なかった。エリゴルゴンの立ち位置は舞台端だったのですが、注目するなというのが無理ではないか?
天堂製薬の社員相手にいたずらし放題の妖怪たちを連れ帰るため、瀬賀さんもやってきます。御札の力はすごいぞ!
ここでうっかりエリゴルゴンが尻尾を落としてしまった上に、瀬賀さんも御札を落としてしまいます。瀬賀さんの御札については、初見時、本当にうっかりミスだと思いました。
改めて思い返すと、エリマキトカゲらしき謎の生き物の一部をペロッと舐めた祖煮博士は、間違いなくヤベー奴です。
M14_D-LITE(from BIGBANG)「違う、そうじゃない」
那夢子ちゃんはもう、妖怪たちとお友達なんですよ。
そんな那夢子ちゃんに妖太郎の指名手配書を踏ませようとする湖南さん。踏み絵か?
思わず株根警部に銃口を突きつけちゃう那夢子ちゃん。違う、そうじゃない。
那夢子ちゃんの様子がおかしいと思って尾行を始める中さん。
誇大表現ではなく、もう今回、おおむねずっと、遠山さんはギャグです!
カレーにおにぎりは入りませんが、大西さんのファンには嬉しい演出じゃなかろうかと思いました。
しかし大オチは中さんの顔芸。
M15_SEKAI NO OWARI「RAIN」
人間とNEO妖怪たちが心を通わせていく、温かいナンバーでした。
妖太郎が餌を上げていたので、多分あのファー○ーは生きてる。
妖太郎も瀬賀寺の門を開けられたようです。やっぱり不思議パワーなんでしょうか?
まるで鶏が生きているようでした。伝わる気がしませんが、本当に櫻井さんの鶏表現はNo.1だと思います。どこのことを書いているのか、見た人しかわからない。
りんごも鶏もまるごと入れて煮込んでいるのに、何故か激辛カレーを生成してしまう那夢子ちゃん。料理下手っぽいもんね(失礼)。
SEKAI NO OWARIと梅棒の親和性の高さよ。
傘児童と心通わせていく萬代さん。素直に傘をさしてもらって、一緒にお家へ帰ります。
隣で眠る傘児童へ、萬代さんは毛布を掛けてあげます。ずっと一人で帰って、一人でゲームをしていた彼にとって、傘児童が大切な存在になっていることが伝わりました。
M16_SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」
同じSEKAI NO OWARIでも、転じて少しダークな雰囲気に。
尻尾を探すエリゴルゴンを、タイトー警察の三人が捕まえようとします。しかし、そこは一枚上手なエリゴルゴン。🤮で華麗にかわします。
このナンバーは特に照明がかっこよかった。曲調も相まって、おしゃれな雰囲気でした。エリゴルゴン、🤮してるけど。
警察をからかうエリゴルゴンですが、その後ろには天堂社長が。
私「エリゴルゴン、後ろ、後ろ!」
瀬賀さんが落としていった御札のせいで、エリゴルゴンは天堂製薬に捕らえられてしまいます。
このあたりから、祖煮博士の目がどんどんヤバい。
M17_天堂社長と祖煮博士 feat.株根警部「タイトー・ファンク」
monologueさん、お世話になってます!!
ここはおどんろオリジナルソングのナンバー。梅棒公演には、オリジナルソングもまたお楽しみの一つ。
天堂社長と祖煮博士にとって夢だったエナジードリンクが完成しました。しかし、それはエリゴルゴンの尻尾が原材料として使われていました。
「妖怪の尻尾を生搾り」「御札銃」など、パワーワードが頻出。
エナジードリンクを飲んだ阿多利と邪礼子はご陽氣にダンス。邪礼子は飲みすぎたのか、凶暴化して阿多利の頭をアイアンクローしていました。酔いやすい質なのかな?
原材料を確保したい天堂製薬と、妖怪を捕まえたいタイトー警察署の利害が一致してしまいます。
上司と警察が癒着している場面に遭遇しながらも、捕らえられているエリゴルゴンを気遣う阿多利。良い子だよ君は。
だからこそ、その狭間で揺れることになるんですが。瀬賀さんの御札と、警察の銃を組み合わせてパワーアップさせていた点では、祖煮博士はヤバいだけじゃなくて優秀な科学者なんだろうなぁと思いました。
M18_YOASOBI「もう少しだけ」
エリゴルゴンと阿多利に友情が芽生え始めます。
お腹が空いているエリゴルゴンに、食べていたコッペパンを分け与える阿多利。良いやつや。
もらったコッペパンを爆速で食べるエリゴルゴン。わんこそばのスピードでした。衣装の隙間に隠したりしてるのかと思って見ていましたが、あれは本気で食べていましたね。
心通わせ、某映画のように人差し指をつなげる一人と一匹でしたが、祖煮博士がエリゴルゴンを連れて行ってしまいました。
場面は瀬賀寺に。傘児童を瀬賀寺へ送り届ける萬代さんの姿は完全に、子供を幼稚園に送り届けるパパでした。
激辛カレーを生成してしまう那夢子ちゃん。レシピ本逆さで見てたらそうな……ならんな。
ようやく美味しいカレーが出来ましたが、みんな「激辛カレーは嫌だ!」と逃げ回ります。それを哀れんだのか、妖太郎が初めて那夢子ちゃんのカレーを食べます。
意外といけるよ、という表情で食べる妖太郎を見て、他の妖怪たちも食べてみることに。結果は「美味しい!」。那夢子ちゃんも大喜び。
ここで、那夢子ちゃんと妖太郎も少しずつですが、関係性が変わっていきます。妖太郎がほだされたという感じでしょうか。
そんな心通わせた人間と妖怪たちを、無情にも引き裂きます。
M19_SEAMO「ルパン・ザ・ファイヤー」
改良された御札銃を用いて、タイトー警察+増員(配役は天堂製薬のメンバー)は瀬賀寺の門を破壊して押し入ります。那夢子ちゃんは株根警部たちを止めようとしますが、聞き入ってもらえません。
選曲も演出も、とても梅棒らしいナンバーだと思いました。しかし、展開がつらすぎる。
個々の力は強くても、御札銃の前に為すすべがない妖怪たち。
妖怪たちが御札銃で打たれる描写が本当に痛そうで……演者さんの表現力の高さと、照明の光量と点滅のさせ方が巧すぎるからなんだけども……いや、つらいつらい辛い!!
これまで妖怪に出し抜かれていた株根警部が、その経験を生かして彼らを無力化していっていたので、警察はちゃんと仕事してたんだなぁという謎の感慨。
誰が御札銃なんて作ったんだよ。
妖怪を逃がすことが出来ず、しかし、警察として捕まえる事もできない那夢子ちゃん。妖太郎を庇おうとするも、彼にとって、今は那夢子ちゃんも『大嫌いな人間』に見えてしまいます。
瀬賀さんに手助けされて、辛くも妖太郎だけが逃げ延びます。
Kurumiさんがモブ警察役かつ、おそらく男性設定だったのかな〜?とも思いつつ、女性を殴る推しに軽くびっくりしてしまったのは内緒。瀬賀さんは人間なので、何も手出ししなければ無罪だったのでしょうが、そこで見てるだけなんて、するわけないんだよ瀬賀三四郎という男は!!
妖怪たちを逃がすため、警察に抵抗した瀬賀さんも捕まってしまいます。
M20_King Gnu「カメレオン」
何も知らず、傘児童を迎えに来る萬代さんの表情と、誰もいない瀬賀寺を見た後ろ姿の落差がつらい。影を背負う萬代さんの背中。
捕らえられた妖怪たちは、天堂製薬の地下に閉じ込められます。身を寄せ合いながら、二千GENJIは傘児童を後ろ手に庇っていたりと、やはりここにも梅棒公演ならではの丁寧なキャラ描写が見えます。
エナジードリンクの製造機械に入れられる傘児童。エネルギーを搾り取られている凄惨な光景を見て、邪礼子は言葉を失い、阿多利は目を背けます。
地下に閉じ込められた妖怪たちを見つけた萬代さんは、彼らへと駆け寄ります。一番に傘児童の元へ行く萬代さんと、彼を見つけて手をのばす傘児童の姿を見て、もう涙が止まりませんでした。
開放するように懇願しても、天堂社長は萬代さんをはねのけ、天堂製薬の社員証も奪います。
手を伸ばしてくれる傘児童に、何も出来ずにいる萬代さん。エリゴルゴンは「助けて!」と縋るように阿多利を見ますが、彼は救い出すことが出来ません。
追われる妖太郎、誰も助けられなかった那夢子ちゃん、またひとりぼっちになってしまった萬代さん。彼らの切なさや後悔を表現するダンスを、楽曲がより一層引き立てていました。
M21_中田ヤスタカ「NANIMONO(feat.米津玄師)」
大切な存在を見つけた萬代さんは、もう踏みにじられて、何も出来ないままではいられないから。
失意の中、瀬賀寺にいた萬代さん。彼の目に映る妖怪たちの姿は幻かもしれません。それでも、手を差し出してくれた彼らのために、萬代さんを奮い立たせるのには十分でした。
苦悩しながら踊る多和田任益は美しい。
エッッッッッモい!!!!!!!!
良心と現実の狭間で苦悩する阿多利を、多和田さんは見事にダンスで表現していました。あまりにも見事で美しかったので、彼が梅棒に入団してくれて良かったと心から思いました。
小越さんと多和田さんが一緒に踊る、そんな大盤振る舞い大サービスが見れるとは思わなんだよアタクシ。
那夢子ちゃんも動き出します。腹をくくったのか、警察に捕まっていた瀬賀さんを逃し、二人で救出に向かいます。
再び天堂製薬の地下に萬代さんが来ることを、天堂社長は予見していました。妖怪を逃がそうとする彼を再び痛めつけます。
エナジードリンクでパワーアップしている天堂社長と祖煮博士。その力を前に萬代さんが倒れかけたその時、妖太郎が駆けつけます。
妖太郎の激しい呼吸と、社長と博士を睨みつける視線がたまりませんでした。台詞がなくても、それだけで怒りや覚悟が伝わってきて、小越さんの凄みを見せつけられました。ありがとうございました。
あれ、おかしいな?尺が足らないぞ?
M22_THE BACK HORN「コバルトブルー」
うすうす、今までと様子が違うなと思い始めていました。
妖太郎と萬代さんは妖怪たちの救出に向かいますが、それを邪魔する天堂製薬。萬代さんを庇うため、何度も御札銃に撃たれる妖太郎。そんな彼を支えながら、萬代さんは急ぎます。
私「おかしい、味方が少ない」
救出に向かう那夢子ちゃん。その姿を目にし、湖南さんは彼女の味方につきます。M20のあたりから、少しそういった素振りがありました。
タイトー警察署の不思議犯罪対策課は、家族だと思います。
袂を分かった警察と天堂製薬。株根警部と天堂社長のにらみ合いがかっこいい。
邪礼子を止めようとする阿多利でしたが、彼女はその手を振り払います。対して阿多利は、妖怪たちを救うことを選びました。
阿多利とともに、萬代さんは妖怪たちに貼られていた御札を剥がします。開放された傘児童を抱きしめる萬代さん。泣く。
ホッとしたのも束の間、再び天堂社長と祖煮博士の魔の手が。ボロボロの妖太郎を捕まえようとする祖煮博士を、傘児童が背後から傘で殴ります。幼く、誰かに守られていた傘児童が、妖太郎を庇うため起こしたその行動に、成長を感じました。だけど、お願いだから無茶しないで…!!
人の道を外れたパワーアップした祖煮博士に、傘児童の攻撃は効きません。博士はターゲットを傘児童に変え、萬代さんを蹴散らし、彼を連れて装置の元へ。「さあ笑え 笑え」の歌詞に合わせて笑う天堂社長が完全に悪役でした。塩野さん、思えば前作の風桶から2回連続の敵役ですが、今作は庇いづらい悪役ですね。
他の皆が止めようとしますが、邪礼子や天堂社長に阻まれます。その間に傘児童は装置に入れられ、祖煮博士はスイッチを上げます。苦しむ傘児童のシルエット。緊張感のあるロックが、嫌な予感を加速させます。
萬代さんが決死の思いで救出しますが、その思い虚しく、エネルギーを吸われ尽くした傘児童は儚く消えてしまいました。萬代さんの腕の中には、一本のビニール傘が残りました。
M23_T.M.Revolution「LEVEL4」
同胞であり、可愛い弟分だった傘児童が消え、妖太郎の怒りが暴走します。他の妖怪たちが、その怒りへの呼応をダンスで表現していたのですが、上手い人しかいないから大変見ごたえがありました。
泣いたりダンスに魅入ったり、私の情緒が追いつかない。
瀬賀さんの御札や呼びかけでも止めることが出来ず、妖太郎は禍々しい姿へと変貌します。凄まじい力に、人間も妖怪も太刀打ちできません。
このとき演者さんたちは、舞台装置を動かしつつ、演技しつつと大立ち回り。更に第三の目から放たれるビームの演出など、見どころ満載なナンバーですが、それを楽しむ余裕はない。少なくとも私はありませんでした。
止めようとする那夢子ちゃんを殴ってしまい、一番悲痛な表情だったのは、己の拳を見ていた妖太郎でした。
ーーもう誰にも止められない。そう思われた妖太郎に、萬代さんが立ち向かいます。暴走する妖太郎を、萬代さんは必死に止め、抱きしめました。それに続いて、瀬賀さん、那夢子ちゃん、妖怪たちが、慟哭する妖太郎を抱きしめます。思いが伝わったのか、まばゆい光に包まれて、妖太郎は元の姿へと戻りました。
M24_BiSH「オーケストラ」
正気に戻った妖太郎を見て、皆は一安心。妖太郎を抱きしめる那夢子ちゃんを、彼がぎこちなく抱きしめ返した、その時。妖太郎の暴走によって傷ついていた建物が崩壊し始めます。
最初はハグを拒み、手を振り払って、怒りに任せて傷つけてしまった妖太郎。そんな彼が、やっと那夢子ちゃんを受け入れたこのシーンは、感慨深いものがありました。また、そんな妖太郎の頭にポンと手を置いた瀬賀さんに、彼らの兄弟のような関係性が表現されていたと思います。
崩壊が進むビル。人間と妖怪たちが、お互いを助け合いながら脱出を試みます。
そんな中、エナジードリンクの材料を取り合う祖煮博士と天堂社長。萬代さんが争う彼らを殴り飛ばして「そんなことしている場合じゃない!」と叱りつけます。初めて人を殴った萬代さんは、痛む己の拳を見つめるのでした。
瀬賀、阿多利と逃げるエリゴルゴン。切り離されていた尻尾を見つけ、それを拾いに向かいます。二人の助けもあり、ようやく尻尾と再会できたエリゴルゴンでしたが、その喜びもつかの間、無情にも崩壊の下敷きとなってしまうのでした。
自身も悲痛な顔をしながら、瀬賀さんはエリゴルゴンに向かって泣き叫ぶ阿多利を奮い立たせました。
株根警部、中、BENZOは瓦礫の中、力を合わせて進みます。
怪力で二人を助けるBENZOでしたが、崩落に巻き込まれた中さんを助けようとして、彼の代わりに崖から落ちてしまいます。最後まで、サムズアップで落ちていったBENZOの姿に、彼の明るさと心根の優しさを感じました。
BENZOが落ちていく様を見てしまった妖太郎。手を伸ばしても届きません。
このサビに合わせて見せられたら泣いちゃうって、梅棒さん。
今回の全体的な感想としては、容赦ないなぁ、です。
人に捨てられ、傷つけられ、それでも分かりあえた妖怪たちが、人を救って消えていく。
妖太郎を支えながら、二千GENJI、たぴりすと逃げる瀬賀、那夢子、萬代たち。止まらないビルの崩落。
落ちてきた天井から人間を庇う妖怪たち。瓦礫の重みに耐えられず、限界が近づく中、妖太郎は「行け!!」と叫びます。妖怪たちに応え、瀬賀さんはなんとか那夢子ちゃんとともに瓦礫から這い出ます。その瞬間、妖怪たちは瓦礫に押しつぶされてしまいました。
泣き叫ぶ那夢子ちゃんと絶望する萬代さんを連れ、瀬賀さんは脱出しました。完全に崩壊した天堂製薬のビル。生き残ったのは、人間だけ。
ビルだった瓦礫を目の前にして嘆いたのは、祖煮博士と天堂社長と、瀬賀さんでした。二人は研究成果や会社への未練が故でしょう。瀬賀さんはきっと、妖怪たちのために泣いていたんだと思います。
以下、瀬賀三四郎という男とNEO妖怪たちの関係性についての
妄想考察。長い歴史の中、瀬賀寺にはNEOじゃない妖怪たちもいたのではないかと思います。瀬賀寺の歴代住職は、何度も妖怪との別れを繰り返したのではないでしょうか。
崩落の最中、瀬賀さんはずっと人間たちを助けていました。それはNEO妖怪たちの意図を汲んでの行動でしょう。けれど、彼の潜在的な意識には、人ならざるものたちとの別れについて、覚悟があったのではないかと思いました。ずっと一緒にはいられない、と。
人である瀬賀さんは、人の世で、人を助けるために行動した。それでも、瓦礫となったビルに駆け寄り、妖怪たちを思って嘆くあの姿は、瀬賀三四郎という人間を表していました。
いいお兄ちゃんだったんだろうな。だって人間嫌いの妖太郎があんなに懐いてたんだから。
ついでに、祖煮博士の感想ですが、マッドサイエンティストとしては完璧だと思いますね〜。これは、ヤベェやつだ!って分かる目つきでした。もしかすると、中の人を知ってるからこそ対比で強く感じてる、というのはあるかもしれません。
前日譚として、天堂社長と祖煮博士の過去を見てみたいと思いました。祖煮博士が先天的マッドなのか、後天的マッドなのか気になります。
M25_桑田佳祐「明日晴れるかな」
今作は後日談が少ない印象もあります。ヒーローも悪役も、全員置いていかない大団円!!とはいかなかったけれど、これもまた一つのハッピーエンドだろうなと思いました。
どんなに辛いことがあっても、また、一日が始まります。お寺のお掃除を眠そうにしていた瀬賀さんに、パトロール中の那夢子ちゃんと湖南さんが声を掛けます。複雑そうな那夢子ちゃんを励ます瀬賀さんと湖南さん。那夢子ちゃんも気を取り直し、パトロールを再開します。皆の日常が戻りつつあるようでした。
萬代さんはリサイクルショップを開いてました。物を大切に使う人ですから、天職でしょう。NEO妖怪たちと出会い、そして別れた、彼らしい選択だと思いました。
ずっと萬代さんだと思って見ていたので、M24〜25の暗転中にセットをよじ登って配置についていた梅澤さんを見たときは「萬代さんめっちゃ体力あんじゃん」と驚きましたよ。梅澤さんとしても、ここまで踊ってきておいて体力すげえ!なんですけど。
天堂製薬は事実上、破産。阿多利と邪礼子は天堂社長に別れを告げます。晴れ晴れとした表情の邪礼子。本来の彼女の明るさを取り戻していて、本当に良かった。
個人的には、崩れ去った瓦礫を前に、白痴(言い方合ってないかもです)のように人が変わってしまった祖煮博士の姿と、それを抱きしめる天堂社長を見て、もうコレで手打ちだなと思いました。
阿多利もリサイクルショップに転職していました。有能な彼なら、萬代さんを支えてくれるでしょうね。
今日のタイトー警察署不思議犯罪課は平和です。株根警部はプカプカと煙草をくゆらせ、中さんは太極拳をしていました。湖南さんと那夢子ちゃんがパトロールから戻ってきたところで、電話が鳴り響きます。慌てて受話器を取る株根警部でしたが、NEO妖怪関連でないと知り、意気消沈。けれど、不思議犯罪対策課は、今日もタイトー区を守るために働くのでした。
萬代さんのリサイクルショップの屋根には、降りられなくなってしまった猫が。不思議犯罪対策課のチームワークで、無事救出します。
萬代さんのリサイクルショップを見た那夢子ちゃんは、お店の棚にあったおもちゃに目を留めます。それは、妖太郎の肩に乗っていたものと同じおもちゃでした。
人間たちが懐かしむように見つめていると、ピタッと時が止まります。そして、どこからともなくケンケンパをしながら、NEO妖怪たちが姿を表しました。
時が止まっている人間たちを愉快そうに眺める妖怪たち。傘児童は萬代さんの腕にしがみついていました。やめて、泣いちゃう。
歌詞の「I talk to myself」に合わせて、時間を戻す妖太郎が、めちゃくちゃかっこよくて、本当にいい顔していたんですよっ!!!!
止まっていた時間が動き出し、サビに合わせたダンスが始まります。情感を込めて踊る人々を、夕焼け色のライトが優しく、舞台を照らします。この曲は、14thにて新しく採用された曲だったようですが、これほどラストシーンに優しく寄り添ってくれる曲はないだろうと思いました。
そしてまた、皆それぞれの日常に戻っていきます。萬代さんは大事そうに一本のビニール傘を撫で、仕事に戻るのでした。
エンディング_sumika「フィクション」
最後あんなしっとり終わらせて、エンディングにこんな明るい曲を持ってきて、本当に梅棒さんは観客をどうしたいんでしょうか。もうずっと泣いてます!!
NEO妖怪たちの元気な姿をまた見れて、もう、だから泣くって、そんなん。
この曲では踊る萬代さん。
楽しそうに踊る演者さん達を見て、これは間違いなくハッピーエンドだと思いました。
カーテンコールの終わり、憮然とした表情で萬代さんが差し出した手を、傘児童が満面の笑みで握り返して、二人仲良く捌けていきました。これはもうハッピーエンドです。
仲良し那夢子・妖太郎ペアを見て、この役を大西さんと小越さんが演じてくれて、本当に最高だなと思いました。
むせび泣きながらスタンディングオベーションをしたのは、人生で初めてでした。
あとがき
長くなりましたが、以上が14th WONDER 『おどんろ』の感想です。
本当に長くなりました。自分でも、これは終わらないんじゃないかと思いましたが、書き切れたので本当に良かったです。
正直、書いている間に各演者さんが感想を書かれたり、梅棒の振り返りツイキャスも配信され、もう私が書く意味とは?と自問自答しながら書いてました。
思い出しながら書いていたので、細かいところで、実際と違う部分もあるかもしれません。まあ、人の記憶なんてそんなもんです。
だからこそ、おどんろを振り返りたいと思ったとき、資料として残しておきたいと思いました。
素人目ですが、昨今、作品を映像として発信したり、保存したりがしやすい世の中なのではないでしょうか。しかし、梅棒の作品はその場限りのお楽しみです。
いつか誰かが、おどんろを振り返りたいときに、この長すぎる感想文が、少しでもお役に立てば嬉しいなと思います。
最後に、改めて。この舞台を届けてくださった梅棒並び演者の皆様、スタッフ等関係各位の皆様、惜しくも開演とはならなかった12thに関わられた、全ての皆様へ。おどんろ最高でした。本当に、ありがとうございました。
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