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Product Engineerとは?ユーザーへの価値到達にコミットするPKSHA Associatesのエンジニア

近年、一部の先進的な企業で「Product Engineer(プロダクトエンジニア)」という職種名が使われ始めています。しかし、その概念はまだ広く世の中に浸透していないのが現状です。

弊社、PKSHA Associates(パークシャ・アソシエイツ。以下、Associates)は『ロボオペレータ』というAI-RPA(業務自動化)ソフトウェアを自社開発して2,500社以上に展開しています。

その過程で、UXリサーチを徹底的に行うなど、「ユーザーにとって本当に価値あるプロダクト」の開発を追求しており、単なる「Software Engineer」ではなく「Product Engineer」の存在が不可欠となっています。

今回は、AssociatesのCTOである砂塚さんに、「Product Engineer」の定義や役割、そして実際のプロダクト開発の現場についてインタビューし、Associatesの開発文化を紐解いていきたいと思います。

砂塚紀彦(執行役員CTO)

砂塚紀彦(執行役員CTO)
ERP開発を行うベンチャー企業で不動産管理システムなどの開発に従事。その後、BPO領域でスタートアップを創業し、定型作業を自動化する技術を開発。2019年、PKSHA Associatesに参画し、開発チームを率いる。


Product Engineerとは?

ー最近、「Product Engineer」という職種を積極的に打ち出していると伺いました。まずは、一般的な「Software Engineer」と「Product Engineer」の違いについて教えていただけますか?

一般的なSoftware Engineerは、「要件や仕様がある程度決まっていて、それに沿ってソフトウェアを実装する」ことがミッションになるケースも多いですよね。一方、弊社ではProduct Engineerを「プロダクトが提供する価値を最大化することを目指すエンジニア」と定義しています。

プロダクトの価値を最大化するには「テクノロジー」だけでなく「ビジネス」「デザイン」など複数領域をまたぐ課題解決が必要で、それらのバランスを取りながら開発する必要が出てきます。

例えば、要件を満たす機能が存在していても、ユーザーが機能の存在に気づかなかったり、難しくて使いこなせなかったりしたら、価値を届けられないですよね?

つまり、Product Engineerは「単に機能を実装する人」ではなく、ユーザーの業務や抱える課題を理解して、それらを解決する機能を企画し、実装した機能をユーザーリサーチ等を通して本当にユーザーに使って効果を感じてもらえる機能に磨き上げ、ユーザーに価値を届けるところまでにコミットする存在なんです。

なぜProduct Engineerが重要なのか

ーなるほど、いわば「プロダクトを成功させるために、領域横断で動くエンジニア」というわけですね。では、なぜ「Product Engineer」に力を入れているのでしょうか?

一般的なRPAソフトはエンジニア以外だと難しくて使いこなせない場合が多く、どうしてもIT部門頼みになってしまい、なかなか業務効率化が進まないことが多いんです。

例えば、自分がやっている複雑な業務の手順を正確にIT担当に説明しないといけない、少しでも業務手順が変わる度に再度IT担当を呼ばないといけない、そうなると自動化ロボを作って維持し続けるのも大変ですよね?

弊社では、現場の業務を一番熟知している担当者本人が、ロボオペレータを使いこなして自ら面倒な業務を自動化していく「現場主導型アプローチ」がDX成功のカギだと考えています。

私たちはそんな現場ユーザーが使いこなせるソフトを開発するため、何百時間にもわたる徹底的なUXリサーチ(※目の前でプロダクトを利用してもらい、反応を観察したり、感想・意見を聞いたりするインタビュー)を行い、「現場ユーザーが本当に使いこなせて、価値を感じられるプロダクト」に磨き上げています。

単なる実装者ではなく、ユーザーや業務を深く理解し、企画からリリース、改善まで一貫してコミットする「Product Engineer」の存在が不可欠なんです。

そんなProduct Engineerの努力もあり、弊社ユーザーの7割以上は情シスではない現場業務部門の方が占めています。

Product Engineerの5つの行動指針

ーユーザー視点を徹底し、ビジネスとデザイン、技術をバランスよく組み合わせる点が重要なのですね。そのうえで、Product Engineerに求められるマインドセットがあれば教えてください。

弊社では、Product Engineerの5つの行動指針を掲げています。

  1. Passion:ユーザーや業務課題に関心を持ち、より良いモノを作って届けることにこだわる

  2. User First:技術は手段であり、常にユーザーに価値を届けることを最優先にする

  3. Deep Dive:業界・業務・ユーザーのこと深く理解し、本質的な解決策を提案する

  4. Feedback Driven:社内外の声や反応などを取り入れながらプロダクトを磨き上げていく

  5. Borderless:技術だけでなく、ビジネス・デザインなど全体最適の目線でプロダクトの価値最大化を目指す


Product Engineerの行動指針

要するに、技術だけでなく、プロダクトの先にいるユーザーのために何が必要かを考え、領域を横断して動けることがポイントですね。

プロダクト開発へのこだわり

ー具体的にはどのようなプロセスでプロダクト開発を進めているのでしょうか?

弊社の機能開発は大きく「企画 → α版 → β版 → 正式版」という流れで進みます。

  • 企画フェーズ:誰のどんな課題を解決したいのか、何の機能を開発してどんなメリットを提供したいのか等を定義した企画書を作成します。

  • α版フェーズ:企画で定義したコンセプトを最小限のプロトタイプとして実装します。それをユーザーや社内関係者など複数人に触ってもらい、「コンセプトが伝わるか」「価値を感じてもらえるか」などを検証します。

  • β版フェーズ:α版で得たフィードバックを踏まえ各種機能を実装し、実用に近い形に仕上げます。実際の業務シナリオを想定したUXリサーチを複数人に実施し、使い勝手や効果を検証します。

  • 正式版フェーズ:β版で見つかった課題を最終的に解消し、品質を高めて正式リリースします。

このように、α版・β版の2段階のUXリサーチを実施することで、ユーザーが本当に「使える・役立つ」と感じる機能に仕上げてリリースすることができています。

ーまさに「ユーザーファースト」を体現した開発プロセスですね。UXリサーチにはとても力を入れているようですが、エンジニア自らがユーザーインタビューを行うのでしょうか?

はい、Product Engineerは自らリサーチも実施しています。機能開発を担当するエンジニアが直接ユーザーと対話することで、「なぜ使いづらいのか」「何に迷ったのか」を肌感覚で理解できます。

30分から1時間程度のUXリサーチを数人に対して実施すれば、UI/UX上のクリティカルな問題の多くは発見できます。これをα版・β版と2回繰り返すことで、エンジニア目線だと見落としがちな問題を発見して改善し、正式版で「ユーザーが確実に使えて役立つ」状態を目指しています。

Product Engineerの先のキャリアパス

ーユーザーの声を開発担当者が直接聞いて改善する。そのサイクルが「Product Engineer」たる所以なんですね。ちなみに、Product Engineerの先のキャリアパスはどのように設計されているのでしょうか?

弊社ではProduct Engineerの先のキャリアとして大きく3つの方向性を用意しています。

  1. Engineering Manager(EM)
    メンバー育成や組織強化に注力するマネジメント志向のキャリアパス

  2. Product Lead(PdL)
    プロダクト全体の方向性を描き、価値創出をリードするスペシャリスト志向のキャリアパス(いわゆるProduct Manager)

  3. Tech Lead(TL)
    技術領域のエキスパートとしてプロダクト開発をリードするスペシャリスト志向のキャリアパス

EMをメンバーマネジメントの責任者(=Manager)、PdL・TLをスペシャリスト(=Lead)と位置づけていますが、この3つのほかにも個々人のWillに応じて柔軟にキャリア形成をサポートしています。

実際、社内にはメンバーマネジメントもやるProduct Leadがいたり、プロダクト開発をやりつつ営業・マーケもやっているProduct Engineerもいたりします。また、プロダクトの企画・開発をバランス良くやれるProduct Engineer自体が理想のキャリアだというメンバーもいます。

このようにマネージャーからスペシャリストまで多彩なキャリアがありますが、全員に共通するのは「ユーザーに価値を提供する」という目線で取り組んでいる点ですね。「コードを書く」だけでなく、「価値を届ける」という視点で成長したい方には、まさに理想的な環境を提供できると思います。

ーありがとうございます。「Product Engineer」という新しいエンジニア像が非常によくわかりました。ユーザーに寄り添い、プロダクト視点で価値創出をリードしていくことに興味がある方にとって、最高のフィールドになりそうですね。

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技術的なスキルはもちろん大切です。しかし、弊社のProduct Engineerは、顧客課題やビジネス、UXデザインまでを視野に入れ、ユーザーに価値を届けることにコミットしている存在です。

「本当にユーザーの役に立つプロダクト」を本気で生み出したい方には、これ以上ない環境です。もし弊社のProduct Engineerにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひカジュアル面談でお話ししましょう!

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