銀河鉄道の夜のような夜
読めない本、というものがある。
古い本の印字が潰れていて見にくいもの、ギリシャ神話のように覚えにくい名前の登場人物が多く関係性も複雑で読むのを断念したもの、シンプルに自分に合わず飽きてしまったものなど。
一言で読めない本といっても様々な理由があるけれど、好きで興味があって読みたいにも関わらずなかなか読むのが難しい本がある。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜が、ここ10年ほどまともに読めていなかった。
あの物語の結末がどうなったかについて考えるといつもぼんやりしている。では読んで確かめてみようと手に取ってみるとのの、読み始めると毎回うとうとと眠たくなる。
外国の児童書を日本語に訳したみたいな文も、子供の汗や昼の草の香りがしてきそうな描写もとても好きで読んでいても、頁が進むにつれてどんどんどんどん眠たくなってしまう。
銀河鉄道に乗り込んでジョバンニとカムパネルラが話している時にはもう、私自身も銀河鉄道にうっかり乗車してしまったのではないかと錯覚するほど半分夢に入っている。
ミルクを溢した天の川のことも、牛乳をもらいに行くジョバンニも、カムパネルラと二人きりで浮き足立っているのも、鳥どりに出会うのも、どれも心が弾んで楽しんでいるにも関わらず、私は本当の幸いの前に眠たくて読み続けられない。
決して長い文章ではないのに、ものすごい勢いで眠気がくる。
そんな中で昨年、あの短い物語をさらに短く毎日少しずつ読み進めてようやく最後の一文まで読むことが出来た。
10年近く私は銀河鉄道から降りることなくオチを引っ張り続けたので、読み終えた時もしかしてがっかりするかもしれない、と思ったけれどそれは余計な心配だった。
ああ最後まで読めてよかった、と思うのと同時にやはりらとても眠たかった。
むかし何かで、「好きで読みたいのに、読んでると眠たくなる本は自分と相性がとても良い」という言葉を目にしたことがある。
理屈はわからないけど、あながち間違っていないのかもしれない。
私の大好きなラーメンズの単独ライブTEXTの中のひとつ、銀河鉄道の夜のような夜、というコントを観ていても眠たくなる。
2回は途中で寝落ちしてる。
内容は銀河鉄道の夜に準えてる部分も多く、大きく笑ってしまうところもあれば、見入ってしまう瞬間もとても多い。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜同様、面白くて大好きなのに眠たくなってしまう。
今こうして、銀河鉄道の夜について書いていてもものすごく眠い。
いやこれは、単に私がいつも早寝であってもう寝る時間だからかもしれない。
銀河鉄道の夜/GOING STEDAY
https://open.spotify.com/track/3gjTlJclAZCTa2IP2tn6wW?si=Rxtp_oBcQX-Poauso21W5A