毎日毎日丁寧に「授業準備」に追われて疲弊している方は最後まで読んでください
毎日夜遅くまで仕事をしていて、
心と身体を疲弊させていませんか。
特に若い先生は、毎時間の授業に対して、
丁寧に教材準備をされているのではないでしょうか。
中学や高校の先生ならば、教科担任制なので、
複数のクラスで同じ授業をするので、一つの授業をその都度アップデートすればいいのですが、
学級担任制である小学校の先生であれば、
複数の教科を準備しなければなりません。
ある日は国語と算数もあれば、外国語の授業準備をしなければならない。
今後、高学年を中心に一部教科担任制を導入する方向ですが、
それでも小学校の先生であれば、
複数の教科の準備は必至です。
しかし、
丁寧に授業準備をしたのにも関わらず、
子供たちの反応が弱く、
さらに子供たちが授業に集中しない、私語や手遊びをしていて落ち込む・・
そんな経験はありませんか。
もちろん私も若い頃はあります。
なぜ、毎時間、時間をかけて丁寧に授業の準備を取り掛かったのにも関わらず、授業がうまくいかないのか。
これは「木を見て。森を見ず」的な授業づくりに陥っている可能性があります。
授業づくりは毎時間ごとでなく、「単元」全体で授業づくりの準備を進めることが大切です。
今回は、短時間でかつ効率的に授業づくりができ、
子供たちが意欲的に取り組むことができる授業づくりについて、
小学2年算数科「かけ算」の授業を事例にお話します。
1 何はともあれ、学習指導要領&解説書を読む
前述したように、「木を見て森を見ず」的な授業準備を進めては非効率です。
そこで単元全体で見通すことが大切です。
今回の事例の2年生算数科「かけ算」であれば、
第2学年目標(1)では、以下のように記述されています。
(1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方についての理解を深めるとともに,加法及び減法についての理解を深め,用いることができるようにする。また,乗法の意味について理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする
解説書のA「数と計算」の中では以下のように記述されています。
第2学年では,乗法が用いられる場合や計算の意味について理解できるようにする。 例えば,一つ分の大きさを知ってその幾つ分か,または何倍かの大きさを求める計算として意味付けをしたり,同数累加(加法の繰り返し)によって,その結果を求めたりする。第2学年では,乗法九九を知り,1位数と1位数の乗法を確実にできるよう にすることが特に重要である。なお,乗法九九の理解を深めるために,簡単な場合の 2位数と1位数との乗法も扱う。
この2つの記述から、私の場合は以下のような「ビジョン」を立てます、
〇かけ算の意味について理解させるために、一つ分の大きさを知ってその幾つ分か,具体物を用いたり、同数累加(加法の繰り返し)の考え方を用いたりしながら、かけ算を用いる意味を理解できる。
〇かけ算の意味が理解できたうえで、計算を正確かつ迅速に処理できる。
そこで、かけ算の構造を徹底的に理解させます。(戦略)ここでの「切り口」は「一つ分×いくつ分=全体の数」です。
例えば、最初に出てくる「2の段」の学習では
回転ずしの皿にお寿司が2つのっていて、〇皿分だと、全部で寿司はいくつあるか)を個々で理解させると思います。
さらに2+2+2+2=8と計算できたときに、
「これ4皿だからすぐに計算したり、指で数えてでもできるけど、先生のような大食いが100皿食べたらいちいち+を100回したり、目で数えるのは大変でしょう(笑)」と言うと子供たちは「それは無理~」と言います。
そこで、「かけ算」を使う良さについて伝えます。
そしてかけ算は、「一つ分×いくつ分=全体の数」によって求めることができることを理解させます。
これを次の5の段や3の段などでも、
必ず「一つ分×いくつ分=全体の数」を冒頭で提示します。
最初の「2の段」で「一つ分×いくつ分=全体の数」の構造を丁寧に扱います。
それ以降は、教科書の問題の解答を確認したり、〇の段の読み方を確認したりするなどここでは「軽く」扱います。
最初に丁寧に扱い、協働的、対話的な主体的な学習を重視し、
それ以降は教師主導で進めます。
これを若手教師は毎時間丁寧に協働的、対話的な授業にもっていこうとします。
しかし、かけ算で大事な「一つ分×いくつ分=全体の数」を理解させるよりも、
子供たちが主体的に取り組ませるための授業にしようと考えがちになります。
つまり「手段」が「目的化」に陥ります。
何度もくどいようですが、
この単元の目的は「かけ算の考え方、一つ分×いくつ分=全体の数」を子供たちに理解させたうえで、正確に計算処理できることが「目的」なのです。
「目的達成」のためには、
じっくりと課題と向き合い、協働的、対話的な子供の主体性を重視する場面、
考え方を確認させたり活用させたりする場面、教師主導で行う場面など、
単元全体で「軽重」をもつことが大切です。
2 軽重をつけることは決して「手抜き」しているわけではない!?
かけ算の学習で陥ることは、
すでに九九を覚えている子にとっては物足りない授業に感じるため、教師が丁寧に授業をつくっても、できる子とできない子の差が明確で教室の空気が重くなる・・
その傾向が強い単元です。
そこで、子供たちが熱中して取り組むための「戦術」についてお話します。
① 言語活動の導入と、煽る「仕掛け」
例えば「なぜ2×4=8なのか、説明できるようにする」といった言語活動を取り入れています。(私の授業では「説場面」と言っています)できる子は説を一生懸命取り組みます。
さらに私は子供たちが書いた記述に対して、「OK→good→nice→great→wonderful→great wonderful」と評価します。
もちろんただ評価させるのではなく、
なぜ「wonderful」になれないのか。
「ここの所を詳しく書くと」「この部分にフォーカスすると」と助言させます。
こうすると子供たちは、さらに高い「評価」を得ようと熱中して書き直します。
すでにできた子はまだ解決に悩んでいる子に助言するよう指示します。
② かけ算九九早読(かけ算修業)
かけ算は2の段から始まり5の段、3の段、4の段と進みます。
そこでそれぞれの段を「20秒」で言えるよう「早読みチャレンジ」させます。
2の段を20秒で言えたら「合格」で「ご褒美シール」を上げます。
すでに九九をすべてマスターすれば、
1の段から9の段まで全部言わせます。
2年生の段階では3分以内で言えれば「合格」です。
さらに「修業レベル」では、
60秒以内で言えれば「名人」の称号を与えます。
45秒内で言えれば「師範」の称号を、
30秒以内は「神(笑)」→いい名称がありません
これ一度やってみてください。
45秒で1の段から9の段まで言うのは、
陸上の400m走と同じレベルです。
400mの標準タイムと同じで、
400m走が無酸素状態で走るように
九九45秒レベルでは「無酸素状態です」
7の段、8の段は噛みやすいです。
「名人」、「師範」には認定証を作成し、子供たちに授与します。
これで子供たちは食いつきます。
「かけ算九九早読み」の詳細については改めてお話します。
まとめ~いい意味で「手抜き」をするには~
若手の先生は、まず教材研究の最初に「学習指導要領」「解説書」を読んでください。
読む時間がないという方もいますが、
「学習指導要領」や「解説書」はある意味「地図的」な存在です。
地図を見ないで東京から大阪へ行くようなものです。
「学習指導要領」や解説書を読むことで、
単元全体で授業づくりを行います。
この単元では求める「ビジョン(子供たちが達成している姿)」、「戦略(方向性)」+「切り口(思考を深めるためのポイント)」をもって授業準備をし、
毎時間の授業では「戦術(具体的な手立て)」を考えることです。
私が伝える「3つのフレーム+切り口」をもった授業づくりについては、
当サロンYouTubeチャンネルにて公開しています。
詳しくは↓
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