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クロスバイクから電動アシスト車に乗り換えたら最高だった
使用前・使用後
2014年頃から10年ほど、Cannondale Quickというクロスバイクに泥除け、リアキャリアを付けて、ハンドルをドロップハンドルに換装して乗っていた。購入当時は、この一台で日常生活の用も足し、たまにちょっとしたサイクリングもこなすつもりだった。10年経ち、10年分オトナな体型になった私は、半ば衝動的に電動アシスト自転車(2024年モデルのPanasonic Timo S)へと乗り換えた。この乗り換えは、結果として大正解だったと思っている。
乗り換え前のクロスバイクは、確かに軽快でスポーティーだった。しかし、振り返ってみれば、その性能を活かせる場面は私にとってはあまり多くなかった。日本の夏は暑すぎ、冬は寒すぎる。春は花粉が飛び交い、強風や雨の日も多い。私のような運動キライ勢の折れやすいスポーツ心を折らずに済む日の方が少ない。振り返ると、私のクロスバイクの利用用途の99%は、自宅から2km以内の駅までの移動か買い物だった。そして、半端にスポーツに寄せた車体のため、荷物を載せづらく、近所のお使い用途では全く使いづらい自転車になってしまっていた。
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意外とオシャレ感あるがリアカゴつけると圧倒的ママチャリ。
一方、Timo Sは、まさに生活のための自転車だった。荷重がかかりそうなところはガッチリ太い。クロスバイクがちょっとスポーティーな車だとすれば、Timo Sはト○タの商用車のような、実用性を突き詰めた結果の機能美すら感じる。重いし、クイックではないがパワフルで頼れる。電動アシスト車を所有するのは初めてだが、アシストは「うおっ」と思わず声が出るほど強力で、激しく楽ちん。坂道、向かい風などの特にトルクが必要な場面でググッとアシストが入るので、体にかかる負荷のピーク部分だけがカットされているような感覚。荷物も前カゴとリアキャリアにたっぷり載せられ、買い物袋がいくつあっても安心。さらに、カゴが深いので荷物が脱落する心配もほぼ無く、ストレスフリーで運転できる。
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しかも、必要なものはほぼ全部「吊るし」で付いてくる。前カゴ、ライト、キャリア、泥除け、リング錠、これらが最初から標準装備。Timo Sに至っては、リング錠と鍵が共通のワイヤーロックまでついてきたのだ。私が追加で取り付けたのは、バイクと共通のQuad Lock自転車用アウトフロントマウントとリアカゴだけ。至れり尽くせりの商品力。
乗り換え前の懸念
重くね?
乗り換え前は、いくつかの懸念があった。車重については実際重い。クロスバイクの約2倍の重量がある。Timo sはアルミフレームとはいえ、バッテリーとモーターの重量は如何ともしがたい。しかし、スタンドを掛けるために車体を持ち上げる時以外は、その重さを感じることはほとんどない。走り出してしまえば、アシストのおかげで重さを感じることなく、むしろスムーズな走行感に驚かされる。おそらく、ベアリングなどもかなりマトモな物を使っているのだろう。体感では走行抵抗がかなり低く感じられ、非常に快適だ。
遅くね?
スピードが出ないのでは?という点については、確かにその通り。変速はかなり低速トルク重視・ローギアードな設定で、内装3段変速しかないということもあり、カバーする速度帯が狭い。アシストなし領域(24km/h以上)では、ただの重くてギアが軽すぎる自転車になってしまう。とはいえ、都心部で移動する用途においては、ストップ&ゴーが多く、のんびりチンタラ走る分にはあまり気にならない。それよりも、信号待ちからのスムーズな発進や、坂道での軽快な走行など、アシストのメリットの方が圧倒的に大きい。他の自転車を追い越す時にスピード不足を感じることはあるが、逆に言うと、そのくらいでしか今のところ不満はない。出せるだけスピードを出したい勢には不向きだろうなぁとは思う。
乗り換え後の違和感
乗り換えてから感じた違和感をいくつか。まず、クランク径が小さく、ちょっと窮屈な感じがする。ペダリングで力を出し切れていないような感覚がある。また、乗り出し直後の旋回は注意が必要だ。アシストがかなりトルクフルなので、初速を絞っての小旋回をアシストオンでやるのはほぼ無理。アシストを切って操作した方が安全だ。そして、リアカゴを取り付けたことで、自転車への跨ぎ方が変わった。クロスバイクの時は、足を後ろに蹴り上げて跨いでいたが(スポーツバイクと同じ)、Timo Sではリアカゴにミドルキックをかましてしまう。そのため、腿上げをしてフレームを跨ぐ方法(スクーターと同じ)に変えたのだが、まだ慣れずに数回に一回はカゴキックをしてしまっている。
電アシ=都内最強モビリティ
しかし、これらの小さな違和感は、電アシの圧倒的な快適さの前では些細な問題だ。都内の近距離(移動距離〜10km)モビリティとして考えると、電アシは最強かもしれない。比較対象としては、50cc原付や125cc原付二種スクーター、最近だと電動キックボードなどが挙げられるだろう。しかし、電アシは維持費が安く、駐車にかかる費用も原付や電動キックボードと比べると圧倒的に安く、合法的に駐輪できる場所も多い。荷物の積載量もさほど変わらず、車道も歩道も都合よく走れる(本当はダメだけど)。そして、多少の運動にもなる。
結論として、クロスバイクから電動アシスト車への乗り換えは、私にとって大正解だった。アシストのおかげで近距離の用事に自転車を使う頻度がグッと上がったので、運動不足の解消の一助になるといいなぁ、と思っている。