2018年12月 読んだもの
①大槻ケンヂ『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』
最近、テレビやラジオ、雑誌など色んな場所で名前は見かけるけど本業は何をやっているのか分からない人。そんなサブカルといわれる人たちに興味を持ちこの本に辿り着いた。本書はサブカルで食いたい人の指針となる上、大槻さんがいかにしてサブカルチャーに傾倒していったかがよく分かる。「SNSが無い時代は、ライブハウスに行くことが同じ趣味の輩を見つける手段だった」とあったけど、今はSNSが普及して繋がろうと思えば簡単に繋がれる時代。小規模で熱があるアンダーグラウンドな盛り上がりは少なくなってきたのかと少し寂しくなった。
②みうらじゅん『自分なくしの旅』
青春小説と言われ、若い心の葛藤をリアルに書き上げている小説の中でも、本書は、「自分」を気にするという事を物凄く感じた。「他人」ではなく「自分」。上京し価値観の違う女と出逢い変わっていく自分と過去の自分、「一体僕は何になりたいのだろう。」未来の自分は本当に現実の自分なのか。そんな葛藤を、非常に良い意味で下らない、若気の至りのような話で伝えてくれました。あとオカンが優しすぎて泣きそうになった。
③さくらももこ『もものかんづめ』
今までまったく触れてきていなかったさくらももこさんのエッセイ集の名作。日常を書き綴るエッセイなのにこんなに面白いのは、やはり作者の普段の「日常」の捉え方や考え方が変わっているからだ思うし、本当に面白い人なんだなぁと感じました。これを読むとちびまる子ちゃんがまた観たくなるし、他の作品も気になってくる。「明け方のつぶやき」が一番好きです。
④村上龍『限りなく透明に近いブルー』
一言で言うと、「読んだ感覚がない」。読んだというより、体験と言ったほうがいいくらい、それくらい過激な描写に圧倒されました。物語に没頭はしたけど、自分の脳ではあまり理解できず、とても面白いとは思えなかった。ただあっという間に終わった。
⑤オードリーとオールナイトニッポン 自分磨き編
これを読書と言っていいのか、とは思ったけど番外編ということで。笑 オードリーANNの放送内容一覧や、学生時代の思い出についての対談などが載っていて、オードリーの魅力がわかる一冊となっております。この本を買った当日にそのまま図書館に寄ってこれを読んで、笑いを堪えるのが大変だった。
⑥伊坂幸太郎『魔王』
政治色が強くメッセージ性のある作品。政治と向き合い考え続ける兄、情報と距離を置き、ミニマルな生活を営む弟。対照的な兄弟だがどちらも「世の流れに身を任せるな」という意思を孕んでいるような気がした。一時も政治から目を離したりすることはない、ような人はほとんどいないし、国の問題よりも個人の問題を優先するのは普通だと思った。
⑦伊坂幸太郎『モダンタイムス』(上、下巻)
非常に面白かった。「魔王」から数年後を描く、こちらも政治や社会についての作品なのだが、テーマは「悪」。主人公たちは社会的な「悪の存在」を追い求める、ストーリーとしては王道なのだが、一味違うのは、その存在が明らかになっていないこと。存在を明確にするため、主人公は本当の真実を知ろうとするが、そこで少し立ち止まり、一体真実を知ったところで我々は幸せになるのだろうか。と考える。また、個人的な行動が歯車の様に重なることで社会を作りだしていて、悪が生み出される時、一人一人は「悪いことをしている」という感覚はない。このような現代社会の仕組みを問うメッセージ性の強い物語だった。平成最後に読んでおいて良かったといえる小説だった。「オーデュボンの祈り」や、「ゴールデンスランバー」など、他にも名作はありますが、自分はこの「モダンタイムス」を推します。
以上です。ありがとうございました。