まえがき
前回の記事では、かき揚げのうまい店の紹介までしているが、
実際のところ、そもそも油って健康的にどうなんだろう。。。
そんなことで書いてみる。
かき揚げの栄養
揚げ物と健康に関する科学的考察
健康志向が高まる昨今、揚げ物は健康に害があると一般的に認識されている。しかし、この認識は必ずしも正確ではない。深圳大学健康科学センターの研究により、月2-3回程度の適度な揚げ物摂取であれば、健康への悪影響は最小限に抑えられることが明らかとなった。
脂質摂取に関する誤解の是正
一般的に揚げ物は健康に有害であるとされるが、これは科学的根拠に基づくものではない。まず、揚げ物の過剰摂取は心血管イベントリスクを28%、冠状動脈性心疾患リスクを22%上昇させることが判明している。しかしながら、月に2-3回程度の適度な摂取であれば、健康への悪影響は最小限に抑えられる。
脂肪酸の分子栄養学的意義
揚げ物の健康への影響を考察する上で、脂肪酸の役割を理解することが重要である。特にオメガ3脂肪酸は、心血管疾患やアルツハイマー病などの予防に効果的であることが明らかになっている。血中オメガ3脂肪酸濃度が6.8%以上の群では、4.2%未満の群と比較して、全死亡リスクが34%低下、心血管疾患リスクが39%低下するという研究結果が報告されている。
揚げ物摂取の影響
揚げ物の過剰摂取が健康に及ぼす悪影響は明らかである。週に4回以上の摂取で肥満関連遺伝子の変異が2倍以上に増加し、1日1食以上の摂取で死亡リスクが8%上昇する。特にフライドチキンの週1回以上の摂取では、死亡リスクが13%上昇する。
食習慣パターンの問題
揚げ物愛好者の特徴として、ファストフードの利用頻度が高く、糖分の多い飲料を好む傾向がある。さらに、野菜摂取量が平均より30%低下するなど、全体的な食事の質が低下することが指摘されている。このように、揚げ物の過剰摂取は、不健康な食習慣パターンの一部であることが示唆される。
健康的な脂質摂取の提言
以上の知見を踏まえ、健康的な脂質摂取のためには以下のような対策が重要である。オメガ3脂肪酸は1日400mg以上、EPA・DHAは週3-4回の青魚摂取が推奨される。一方で、揚げ物は月2-3回程度に制限し、良質な油(オリーブオイル、アマニ油)の使用や衣の調整により油の吸収を抑制することが望ましい。このように、脂質の質と量のバランスを考慮した摂取が重要であるといえる。
かき揚げの歴史的経緯
揚げ物の代表格であるかき揚げは、実は日本古来の伝統料理の一つである。その歴史は奈良時代にまでさかのぼり、当時の料理書『和食物語』に記載されている。はじめは貴族の間で愛されていたが、次第に庶民にも広まり、現代では日本人に馴染み深い食べ物となった。
かき揚げの歴史的経緯 揚げ物の代表格であるかき揚げは、実は日本古来の伝統料理の一つである。その歴史は奈良時代にまでさかのぼり、当時の料理書『和食物語』に記載されている。はじめは貴族の間で愛されていたが、次第に庶民にも広まり、現代では日本人に馴染み深い食べ物となった。
天ぷらの歴史 一方、天ぷらは16世紀初頭に葡萄牙人によって日本に伝来したと考えられている。当初は高級料理として扱われ、主に貴族階級によって愛されていた。しかし、その後次第に庶民の食べ物にも広まり、現在では天ぷら専門店が全国各地に展開されるほど、日本人に定着した料理となっている。
調理法の発展
かき揚げと天ぷらは、ともに江戸時代以降、日本の食文化に深く根付いてきた。その過程で、より健康的な調理法の工夫がなされてきた。例えば、かき揚げでは油の温度管理や衣の改良により、サクサクとした食感を損なわずに油の吸収を抑えることが可能になった。天ぷらでも、素材の下処理の工夫や衣の配合の改善などにより、軽くて香り高い仕上がりが実現されてきた。このように、揚げ物を全面的に否定するのではなく、摂取量と質のバランスを考慮することが重要である。特にオメガ3脂肪酸の積極的な摂取は、現代人の健康維持に不可欠な要素として認識されつつある。適切な油の選択と温度管理、さらには衣の工夫などにより、揚げ物を健康的に楽しむことができるのである。
そもそも普通の天ぷらとかき揚げならどっちなのか。
栄養成分の比較 まず、かき揚げ1個(52.2g)と天ぷら一人前(66.3g)の栄養成分を見てみよう。かき揚げのエネルギーは96kcal、脂質含有量は6.57gであるのに対し、天ぷらはエネルギー123kcal、脂質9.62gと、かき揚げよりも高い数値を示している。
オメガ脂肪酸バランスに着目すると、かき揚げはオメガ6とオメガ3の比率が約5:1と、理想的な4:1に近い値となっている。また、必須脂肪酸のα-リノレン酸を412.18mg含有しており、その供給源として優れている。一方、天ぷらのオメガ脂肪酸バランスについては明らかでない。
このような観点から総合的に見ると、かき揚げのほうが天ぷらよりも健康的な選択肢といえよう。一食あたりの総脂質量が少なく、オメガ3脂肪酸の含有量も明確で、さらに野菜を多く含むことで食物繊維の供給源ともなっているためである。
ただし、両者ともに月2-3回程度の適度な摂取に留めるべきことは忘れてはならない。過剰摂取は依然として健康リスクを高めてしまうからである。
あとがき
意外にも、かき揚げは思いのほか、健康によい成分も入っていることがわかった。天ぷらはコースで食べると、〆に出てくる。一品一品揚げたてをいただいた後に腹をいっぱいに満たすみたいな感じであろう。
そういえば筒井康隆の「黒い家」という小説では、主人公が無性にかき揚げが食べたくなるシーンが出てくるが、このあたりのご馳走感がかき揚げは持っているのではないかと思う。
次回の課題が見つからないが、また別なことを考えてみよう。