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ファラデーもしくは、国際ビーチクリーン

まえがき

海洋自然保護センターがアメリカの慈善団体を引き継ぐ感じで記念日の制定したビーチクリーンアップデー。この団体がどんな活動をしているのか、わからないが、それは来年の宿題とするとして、今日は↑の記事にもあったファラデーの話が課題にあがっていたので、その話をしよう。今日はその前に、充電池のメモリ効果の話題から入りたい。

メモリ効果

 メモリー効果は、充電式電池において特定の使用パターンが繰り返されることで、電池の見かけ上の容量が減少する現象である。主にニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池で顕著に見られる。この現象は、電池を完全に放電せずに繰り返し充電することで発生し、電池が特定の放電レベルを「記憶」してしまうかのように振る舞う。メモリー効果への対策としては、以下が挙げられる:

  1. 定期的な完全放電と完全充電を行う「リフレッシュ」

  2. 使用パターンを変える

  3. 専用の放電器を使用する

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、メモリー効果がほとんど発生しないことで知られている。これは、リチウムイオン電池の内部構造と化学反応のメカニズムが、ニッケル系電池とは本質的に異なるためである。リチウムイオン電池では、リチウムイオンが正極と負極の間を移動する「インターカレーション」という過程が起こり、この過程では電極材料の結晶構造が大きく変化しないため、メモリー効果のような現象が起こりにくい。

リチウムイオン電池との比較

ノーベル賞

 この革新的なリチウムイオン電池を発明したのが、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏である。1948年大阪府生まれの吉野氏は、京都大学工学部石油化学科を卒業後、旭化成工業株式会社(現旭化成株式会社)に入社し、電池の研究開発に従事した。吉野氏が科学の道に進むきっかけとなったのは、小学生の頃に読んだマイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』であった。この本は、19世紀の偉大な科学者ファラデーが行った青少年向けのクリスマス講演を基にしたもので、身近なロウソクを通じて科学の基本原理を分かりやすく解説している。吉野氏は、この本をきっかけに科学に興味を持ち、後に世界を変える発明をするに至ったのである。

ファラデー

 マイケル・ファラデーは、1791年9月22日にロンドン近郊で生まれた。貧しい鍛冶屋の息子として生まれたファラデーは、正規の教育をほとんど受けることができず、14歳で製本屋の見習いとなった。しかし、その環境が逆に幸いし、製本の仕事を通じて多くの科学書に触れる機会を得た。ファラデーは数学的な表現が得意ではなかったが、優れた実験家として多くの重要な発見をした。彼の発見には、電磁誘導の法則、ファラデーの電気分解の法則、磁場の概念など、現代の電磁気学の基礎となる多くのものが含まれている。ファラデーは、複雑な数式を用いずに、直感的な理解と巧みな実験技術によって、これらの重要な発見を成し遂げたのである。ファラデーの功績は、科学的発見にとどまらない。彼は科学の啓蒙にも大きな貢献をした。特に、1825年から始まった王立研究所でのクリスマス講演は、科学を一般の人々、特に若者に分かりやすく伝える試みとして高く評価されている。これらの講演は、後に『ロウソクの科学』として出版され、吉野氏を含む多くの若者に科学への興味を喚起した。ファラデーの実験的アプローチと直感的な理解は、後にジェームズ・クラーク・マクスウェルによって数学的に定式化され、電磁気学の基礎理論として確立された。このように、ファラデーの業績は、数学的な表現は苦手でありながらも、実験的な才能と直感的な理解力によって、電磁気学の基礎となる多くの重要な発見をしたことにある。

ファラデーの功績

今日、2024年9月22日は、このマイケル・ファラデーの生誕233周年にあたる。ファラデーの生涯と業績は、科学の本質が単なる数式の操作ではなく、自然現象に対する深い洞察と創造的な実験にあることを私たちに教えてくれる。また、科学の成果を広く一般に伝えることの重要性も示している。ファラデーから吉野氏へと続く科学の系譜は、好奇心と創造性、そして粘り強い探究心が、時代を超えて科学の発展を支える原動力となることを示している。リチウムイオン電池の発明は、この精神の現代における具現化であり、私たちの日常生活に革命をもたらした。今後も、ファラデーや吉野氏のような科学者たちの努力により、新たな発見や発明が生まれ、人類の進歩に貢献していくことだろう。

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