情景
モンドリアンのドレスがよく似合う女性と
その他数人の男ばかりの団体が
談笑しながらこちらにやってくる
最上階のビップルーム
吹き抜けから覗き込めば温室が見下ろせる
取り付けられた食卓にはご馳走が並んでる
エスカレーターを降りてやってきた一人の男性は
プクプク肥えたスーツ姿のおじさん
男ばかりの団体は入れ違うようにエスカレーターを降りていく
ガラス天井から陽がまっすぐ降りてくる
その丁度照らされた位置に小さなお立ち台があって
おじさんはそこで足を止める
懐から取り出した原稿を広げ
ありきたりの咳払いの後
スピーチを始める
おじさんの声が途切れる
すると後方から乾いた拍手が聞こえた
そこには先ほどの
モンドリアンのドレスの女性がいて
長い足を白鳥のように折り曲げ座り
恍惚の表情を浮かべながら手を叩いていた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?