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巨匠たちのまなざし—マネ、モネ、ルノワールから20世紀へ(ブリヂストン美術館・2004年7月)
※過去の展覧会のレビューです
2004.7.15 Thursday
ブリヂストン美術館は、現在のアーティゾン美術館。
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この展覧会では、19世紀末から20世紀にかけての作品を一挙に見られました。
19世紀末から発展した印象派の画家たちがその後、何を考え、どう自分の絵画を方向付けて行ったかがわかります。ちょうど19世紀の絵画を名古屋ボストン美術館で見てきたあとだったので、タイミングとしてはよかったかも。
ブリヂストン美術館はとても好きな美術館。常設展もとてもいい作品がいっぱい。個人のコレクションとしても素晴らしいし、一般公開してくださったのはとても意義があると感じます。
印象派の代表・モネとルノワールのその後
「西洋伝統絵画」のおさらいとして、17世紀のレンブラントから展示はスタート。そしてコロー、ミレーと続き、いよいよ印象派。
実は、最近西洋美術の勉強を始めるまで、印象派にはあまり興味がありませんでした。むしろ、ポスト印象派のゴッホやセザンヌが好きだったんです。
特にルノワールの人物画はどうも甘ったるい感じがして、あまり好きになれず。
でも、多くの絵を見て学び、印象派について知るにつれて、だんだんと印象派への見方が変わっていきました。
まず、庭を愛し睡蓮を愛したモネは、植物好きということもあって、だんだん好きになりました。
ドガも、以前に同館の「水彩の力、素描の力」でラフなデッサン+軽い彩色なのに、まるで踊り子の息遣いまで伝わってきそうな作品に感動して以来、やはり好きな画家に。
印象派を代表する画家といえば、モネとルノワール。
彼らは仲がよく、一緒に連れ立って絵を描いたそうです。
しばしば同じモノを描いた作品が見られます。ほとんどの作品は、それぞれの個性が明確に出ていて、すぐに区別がつきます。
でも中には、晩年に本人たちですら、どちらが自分の作品かわからなくなったというほど、似通った作品を描いたこともあるそうです。
そんなふたりの印象派以降の活動は、まるで異なっています。
古典的なものに改めて美を見出したルノワール。ともすれば軽薄になりがちな印象派的画法をやめ、もっと骨太な古典的な作風に立ち返りました。
そんなルノワールに対して、モネは最後まで印象派風の画風を捨てなかったそうです。これがモネをして「もっとも、印象派らしい画家」であるといわしめているのでしょう。
絵画初心者から楽しめるバラエティに富んだ展示
ほかにも、さまざまな巨匠の作品を堪能できます。
セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、ロダン、マティス、ルオー、ピカソ、モディリアーニ、キリコ、クレーなど。
西洋美術史に登場する主要な画家の作品は、すべて網羅しているといっても過言ではありません。
もちろん、日本人のものもたくさんコレクションされています。フジタの油彩画もとってもよかったし、浅井忠なども好きな画家です。
絵画を普段ほとんど見ない人も、絵画に詳しい人も、どちらも楽しめる美術展だと思います。
で、ここは、平日も8時まで開いているのも嬉しいところ。
わたしはすっかり、ギリギリまで見ていて、迷惑だったでしょうに「じっくり見てくださってうれしいですよ」と言っていただけて、ホッとしました。
しかし、この日は4つの展覧会をはしごして、疲れきったらしく、翌週は、暑さも手伝って、どこへも出かけられませんでした。
2025年追記
日本橋丸善の「ワイルドライフアート展」「ピカソと同時代の作家版画展」近代美術館FCで「岡本忠成アニメーション」を見て、締めは、ブリヂストン美術館の「巨匠たちのまなざし」。
このころは千葉の田舎に住み、都内に出るのに1時間半ほどかかったので、3つくらい予定を入れてから出かけていました。この日も4回戦。体力ありましたね!
年展示する機会の少なかった作品をふくむベストのラインナップによって、ブリヂストン美術館コレクションの魅力と特色を分かりやすく紹介する展覧会です。
17世紀オランダの巨匠レンブラント、パテル、アングルなど西洋絵画の伝統を担った画家たち、近代絵画の基礎を築いたコローやマネ、またモネやルノワールら印象派の画家たち、そしてピカソやマティス,ルオーらの20世紀絵画・・・。
さらに藤島武二や青木繁や、藤田嗣治など日本の洋画にも見どころがいっぱいです。多様な時代から集められたひとつひとつの作品からは、人間や自然、そして世界に対する画家たちのまなざしがさまざまに感じとれることでしょう。
油彩130点、版画、水彩、素描7点、彫刻4点 計141点で構成。当時展示する機会の少なかった作品をふくむベストのラインナップによって、当館のコレクションの魅力と特色を紹介。
開催概要
会期 2004年6月11日[金] - 10月3日[日]
主催 石橋財団ブリヂストン美術館
会場 ブリヂストン美術館