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恋愛中毒(山本文緒・1998年11月)
2002.11.08 Friday
とりあえず風邪なので、ゆっくり眠って本を読んでいた。
先日からぽつぽつ読んでいた山本文緒の「恋愛中毒」。
途中からぐいぐい引き込まれて、一気に読みきってしまった。
読み終わったあとも、しばらく放心状態になっている。
ストーカーが「犯罪」として扱われるようになってまだ久しい。
(これを書いた2002年当時の感覚)
人を愛しすぎたゆえ、あるいはゆがんだ愛情ゆえの犯罪。
けれど、それは何も特殊なことなどではないのだ。
誰でも自分が罪を犯す危険を抱えている。
弱くもろい部分を誰もが持っているのだ。
一見異常な女性を描いているこの作品が、世の多くの女性たちから共感されたのも、そのせいなのだろう。
人を愛するのは当然美しいことばかりじゃない。
愛する想いの裏にはいつも、憎悪に似た気持ちが隠されている。
2025/02/08 Sat 加筆
わたしが初めて読んだ山本文緒作品。
2021年に亡くなるまで、新作を楽しみにしていた数少ない作家の一人。
今も悔やまれるのは、『自転しながら公転する』(2020年)のサイン本を丸善名古屋本店で見かけたときのこと。
「もっと他に欲しい人がいるかもしれないし」
「いつかお会いしてサインしてほしい」
なんぞと考えて買わなかったこと。一生後悔しそうな気がする。