あのよこのよ 感想
今回、主演安田章大さん・演出青木豪さんの「あのよこのよ」を観劇しました。
素人の文章と感想ですのでお見苦しい箇所もあるかと思います、ご了承いただける方のみお読みください。
まずは無事に全公演開催できたこと、千秋楽の幕が降りたこと、おめでとうございます!
コロナなど様々な事情で公演中止になる舞台やコンサートが多かったここ数年があっての完走でしたので、感極まって帰り道ひとりでめそめそ涙を流しました…。
観劇している側は1ヶ月半の出来事ですが、出演者の皆様やスタッフさんは倍近い期間をこの舞台のために費やしていて、沢山の方の想いのこもった34公演だと思うとやはり1公演も欠かさずカーテンコールまで行うことが出来たことは本当に奇跡にちかく、お一人お一人の努力や体調管理あってのこととおもいます。
重ねてにはなりますが本当におめでとうございます。
安田さんと青木さんのタッグは【マニアック】以来5年ぶりですが、現在の安田さんのスキルと経験で演じるマニアックも見てみたいなぁと思える作品で、続けて観劇できたら楽しいだろうなぁと、当時の衝撃を思い出しながらの今作。
もちろんもう会えないからこそ思い出として輝く素晴らしさがありますし、5年前の安田さんだからうまれた表現が確かにあると思いますが、また青木さんとのタッグで演じる安田さんを拝見できて大変嬉しかったです。
去年、安田さん主演舞台【少女都市からの呼び声】では難しい内容だったこともあり、人それぞれ感じたものを大切にする作品かなと思い、感想とともに考察的な視点で書きました。
逆に今回は物語の軸自体はとてもわかりやすく、考察的視点で語ることも少ないのと、私自身が歴史に詳しいわけではないので、感じたままの感想をおもに綴りたいとおもいます。
舞台出演が発表された当時ですが、「明治黎明期の浮世絵師」ということで、先述の通り歴史には詳しい方ではないのですが、「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」が父に借りて物心ついた頃に読んだ漫画でして、明治黎明期というだけで軽くテンションが上がっておりました。
(幼い頃からるろうに剣心の斎藤一さんがだいすきです)
安田さんが少女都市からの呼び声の幕を閉じても髪を伸ばし続けていた理由もわかり、色気のあるキービジュアルに思わずにっこり。
舞台初日は開演前にゲネプロの写真が各記事で公開されて、「えーっ♡♡♡か、かっこいーっっ♡♡」「ハーフアップ♡♡」「やっぱ和服似合うーっ♡♡」とにゃんにゃんめろめろと新幹線の中でごろんごろんしまして(誇張)、webでの匂わせはありましたがいきなり半裸のお写真が目に飛び込んできて永遠に動揺しました。今もしています。心が童貞です。
会場に入ってすぐ、緞帳を確認する癖があるのですが、今回浮世絵師ということで緞帳にも浮世絵風の地獄と思われる絵が描かれており、開演前から気分が上がりました🎶(浮世絵にも全く詳しくないです、ごめんなさい)
会場には舞台のセットのミニチュアもかざってあって、とても可愛らしかったです。
出演者の皆様がSNSにアップしてくださっていた、登場人物を模したキューピーちゃんのお写真も癒されましたね!本当に愛らしくて。素敵な計らいだなぁとほっこりしました。
舞台の全体的な感想ですが、目まぐるしい展開と共に笑える要素がちりばめられており、飽きることなく、また台詞などもかなりハイテンポで、初日公演は安田さんが仰っていた通り目の前で起きていることを受け取って飲み込むだけで精一杯でした。
そのせいなのか、冷静になってみたらあれ?と思うようなお話の中の伏線とも言える違和感に気づかないままあとになって「そういうことか…!」と気づく場面も多く、私は二度、三度見ても新たな楽しみ方のできる作品だなぁと感じました。
あのよこのよというとおり、また、予想していた通り、生死に関するお話ではあるのですが、題材で感じるほどお話が重くなりすぎず、かといって決して軽くなり過ぎないいい塩梅で表現されて、
冒頭シーンで秋斎が描く絵のように、強いメッセージを面白おかしくPOPに描いていて、そのまま物語を楽しく受け取ることも、咀嚼して「生とは、死とは」「何をして生きるか」なんてことを深く考えることもできる、まさに秋斎の描いた風刺画のような側面のある舞台かもしれません。
重たい雰囲気で深い題材について真剣に説くような作品も好きですが、「あーたのしかった」と感じた作品にふと「自分なら…」なんて考えるのも自発的な気づきに近いものが得られる気がして大好きです。
また、背景やセットが浮世絵のようなタッチで描かれていて決してリアル過ぎないことや、殺陣の場面で秋斎が斬った相手の血の表現として赤い紙テープのようなものを役者さんの手からパーンと飛ばすのがとてもささりました。これについても後ほど詳しく書きたいと思いますが、
浮世絵や、物語自体が飛び出す絵本のように感じて、昔話を聞いているようで目の前で確かに起こっている。そんな素敵な表現でした。
今回ラストシーンの秋斎の高らかな笑い声が特に大好きで、心地よく、今でも耳の奥で聞こえてくるような気がします。
また、青木さんの作品ではいつも最大限に「安田章大」の魅力を引き出すような演出が特徴的だなと感じていて、ファンはこういう安田さん見たいよなぁ〜!と思う場面が数々あります。
「この表現を安田章大にさせたらこういうものが出来上がった」というよりは、「こういうものを作るためにどんな表現を安田章大にしてもらうか」に近い感覚かなぁ?と思っています。
もちろん個人的な意見でしかありませんので、素人目線で申し訳ないのですが。
安田さんのファンの目線に近い目線も持っていらっしゃるのかなと思います。インタビューやカーテンコールの際もよく安田さんをかっこいいと褒めていらっしゃいましたし。
マニアックのとき、「出口」という曲がありましたが、今回は「出口なし」という曲からということで、前回の舞台の最後の曲の名前が今回の最初の曲の名前につながっているのもパンフレットをよんでときめきました。
出口では安田さん演じたアキラくんの「絶対にこうする!」っていう気持ちとか、「まとも」に拘るような歌詞の印象が強かったのですが、出口なしでは今回まともじゃないのはどちらかと言えば秋斎のほうで、死体を見ると絵にしてしまう秋斎の姿は血液を見ると興奮していたメイちゃんの姿を彷彿とさせました。
青木さんは人の魅力を引き出すのが上手い方だと思うのに対して
安田さんは現役アイドルの役者さんということで、自分を魅せることがとても上手い方だと思います。
アイドルであることをネガティブな方面に捉える方もいらっしゃるかとは思いますが、私はお芝居はどんな経験も活かすことができる芸術だと思っていますし、それを体現したような立ち振る舞いをしていらっしゃったと思います。
殺陣の際など特にかっこよく、美しく、妖しい印象が強く残る綺麗な立ち回りをされていて、おもわずほうっとしてしまいました。魅了するという言葉の似合う場面です。
魅せるスキルが高いからこそ、殺陣中にちょっとしたハプニングがあってもそれをかっこよく魅せながら対処していて、違和感を抱かず、むしろいかされていたようにも思えました。
安田さんだからこそできる「刺爪秋斎」だったと強く感じました。
殺陣はわかりやすい場面ですが、立ち振る舞い全てが人を魅せる仕事を長年されてきた方のもので、時に美しく、時に愛らしく、時にかっこよくて、時に情けなく、時には狂気的。
秋斎がどんな人物なのかが一瞬で視覚と聴覚を通して伝わってきます。
また、登場するキャラクター全てが魅力的で、演じられている方一人一人が素晴らしいお芝居でした。
秋斎以外の人物もまとめて好きになってしまって、愛着のようなものが湧いています。こんな人いるよね、みたいな親近感もありながら、そんなことある!?という予想外もある、物語に飛び込んで行きたくなるような楽しさでした!(飛び込んだとしたら私は極力かかわりたくはないのですが)
個人的におじいちゃん幽霊のロクが可愛くて大好きです。
喜三郎も、おにぃちゃんがだいすきなのと人がいいのが全身や言葉の端々なら溢れていて、かわいいなぁ〜と思いながら見ていました。
ミツさんの凛とした、強い女性の弱い部分にも惹かれましたし、勘太さんの気が弱そうなのに好きになった女性との未来のために必死な姿に胸をうたれたり
フサさんのどっしりと構えた「お母さん」の雰囲気を感じさせる強さや柔らかさ
又一郎の典型的なダメ男ではあるものの腐りきらず家族を心配する根の優しさ
又蔵のなんだかんだと巻き込まれてしまう圧倒的な不憫さ
山路の不気味さと、恐いのにかっこいいなと思ってしまう意志の強さ
鯖上の中間管理職的な立場の辛さと、仲間をおもいやり期待する純粋さと絶望
幸次郎のヤクザと言えども身内の前ではただの弟で、兄であるのが読み取れる優しさ
全ての登場人物に人生が見えて、とても人間らしく、愛しいと思えました。
冒頭のシーンから記憶がある限り遡らせていただいて場面ごとの感想を記そうとおもうのですが、まず私は最初の場面で既に心をぐっと掴まれました。
閻魔が罪人の舌を抜こうとする場面ですが、
秋斎の描いた絵を三次元化して表していて、それを描いている時の秋斎と喜三郎の会話に繋がり、絵の登場人物であったはずの閻魔が秋斎を捕まえることで具体的に秋斎がなぜ捕まったのか、どういう絵を描いたのか、今後出てくる山路というキャラクターや薩摩長州との因縁、秋斎の不満などが分かりやすく、浮世絵に馴染みのない現代人でも話がすんなりと入ってきます。
導入から既にわかりやすいおかげでお話の理解に対するモチベーションも上がり、難しそうだなぁ、歴史そんなに詳しくないんだよなぁなんていう不安も薄れました。
この最初のシーンで既に喜三郎の苦労の片鱗が見えましたね。喜三郎との関係性もよく分かって短いシーンに物語の重要な点が詰まっていて解像度がぐっと上がるシーンです。
この場面でも後に鯖上と山路がでてくる場面でも、幕を左右上3方向にあけて四角の中でしばらく登場人物が動きを止めるのですが、これも絵本の1ページのような2次元に近い表現に感じました。
3次元と2次元の行き来、合間のような演出が数多くみてとれたように感じます。
秋斎の「捕まえたきゃ捕まえるがいいや!」というセリフや、中盤での「始めるんだ!」、最後の「思うんですわ!」と言った勢いのあるセリフの際のポーズ、秋斎が描いた絵の中の閻魔たちの決めポーズの際の音などは歌舞伎を取り入れているのかな?(歌舞伎に関してはさらに詳しくないです)
最初の軽い刀を使わないアクションシーンも本当にかっこよくて、そこからタイトルの書かれた巻物のようなものを広げる決めポーズもアニメのオープニングのような楽しさがあり、キャッチーで、夢中になってしまいました…!これから楽しいことが始まりそうな予感にワクワクした場面です。
プロの方からするとそんなわけあるかい!な素人考えなのかもしれないのですが、あの巻物を広げたときの音、最初は音に合わせて安田さんがうまく広げているんだとおもっていたのですが、その後安田さんに合わせて音が鳴らされているんだと気づきまして、大変メタ的な視点ではあるのですが安田さんがちょっと手間どってる日はキュンとしたりしました…。(何にキュンとしてるんだという話で申し訳ないです…)
ムチ打ちのシーンは終始目のやり場に困り、出しているんだから見ていい!とはわかってはいても、いや!私は安田さんが好きだからこう、意識的にこういうの見るのは!なんか!セクハラ的な!!と結局千秋楽まで逆にここまで意識してると恥ずかしいよ、と言いたくなる動揺を脳内で繰り返し、目を逸らしたり焦点を合わせないように広い範囲を見たりしていました。
脱がれるだけならいいのですがちょっとあれは、顔は顔でなんだか痛がってる顔をまじまじと見るのも…と完全にキモオタクくんムーブをしてしまい…。くっ。
その後むち打ちで気絶してそのまま1曲目の歌唱シーン
今回劇中に3曲歌唱シーンがありましたが、なんとなく起承転結の転以外の部分にそれが組み込まれていて(転は秋斎不在シーン)、物語の流れが入ってきやすく、休憩無しの2時間でしたが次の場面、次の場面、と切り替える時間にもなり、分かりやすく楽しく観劇出来ました。
転換的な意味も大きいとは思うのですが、物語の大きい章みたいなものや時間の流れが入ってきやすかったです。
普通に歌うのとは当たり前ですが全然違って、歌をお手本通り歌うというより秋斎の感情の強く乗った歌い方がとてもすきでした。
動きもぴょんぴょんくるくるしていて可愛かったなぁ。
歌うパートが終わってアウトロの部分が昔話への導入みたいでまた可愛らしい印象でした。
この部分での喜三郎との無音の掛け合い(実際にはなにか声に出してお話されていて聞こえたり聞こえなかったりだったので、ちゃんと聞いてみたいです)も大好きなシーンでした。
ここからまた秋斎が上半身をがばっと脱いだので、さんざん動揺させられたあとにやっと着物を直してもらえてほっとしていた私は「いま着たのにまた脱ぐのぉ!?」と自宅であれば絶対に声に出していたと思うほど再度動揺いたしましたが、鞭に打たれているわけではないので徐々に平常心を取り戻し…。
又一郎の「特殊な趣味の持ち主だ」という言葉でやっぱそういうふうにみえるよねぇ!?と自分に言い訳しました。
割と需要のない感想だと自覚しているのですが、「30。30で気絶して…」の言い方が好きでした。
そもそも安田さんは皆さんご存知の通り普段あんなに速いテンポでお話することは珍しいので、秋斎さんが話す度新鮮な気持ちで、それに慣れた状態で舞台後に普通にお話している安田さんの映像を見たりなんかすると0.5倍速くらいに聞こえて、やっぱいつもの安田さんおちつくぅ…となっておりました。
秋斎とフサさんの出会いのシーンで「背中にゴールデンを隠した場所を刺青でほったみたいな?」というセリフがあり、
余談ですが妹がゴールデンカムイの実写映画の出演俳優さんのファンなので1月に試写会にお邪魔していた原作未読の私は「あ!!!これ、進研ゼミで習ったやつ!!!」と何故か嬉しくなりました。
この後でてくる土方歳三のお話もゴールデンカムイから繋がっていて、聞き馴染みのある言葉がポンポンと序盤ででてくることでまた時代物へのハードルを下げて見られた気がします。
フサが秋斎のファンだとわかり、ウグイスの止まっている美人画を褒められますが、のちに秋斎は美人画を描くのが楽しくなさそうな様子でした。それでも褒められてあんなに嬉しそうなので、自分の絵を褒められるのは素直に喜べるんだなぁと愛らしい場面でした。ほっこり。
又一郎のだした煮転がしに味が染みているという話からお客さんが居ないという話になりますが、これも後半の又一郎が客がおらずお金に困っているという告白に繋がっていました。
何気ないシーンが「あー言ってた!」に繋がるの、すごいなぁと思います。
煮転がしを指で舐める秋斎さんちょっとお行儀悪くてヤンチャなのもニッコリでした。煮転がし、給食にでたなぁ…。ちなみに味はしみてませんでした。
ここで勘太さんとの出会いがあり、「薩摩なら嫌いでちょ?」の言い間違いのセリフ。
嫌いでちょ?自体よりもそのあとの「くっついちゃった!嫌いでしょ?と長州くっついちゃった!」のうぷぷ♡ってかんじが可愛くてだいすき。
秋斎がお酒を落としてしまうところで、見えてなかったという発言から喜三郎に眼鏡を贈られて、その後フサが秋斎に女性の姿が見えるというフサの能力のお話へと、物語の重要な場面が続きました。内容の軸がハイテンポで点々として初日は必死に聞いていました。
土方さんの話でも秋斎と同じ「話が入ってこない…」という感想を持っていたのであ、入ってこなくて正解なのか(笑)と笑ってしまったのと、そのあと喜三郎が「日付まで当てるなんて!」と又一郎の話の結論をリマインドしてくれて助かりました。
また、予知のほうだ!というセリフで、予知以外もできる(幽霊が見える)と、幽霊ロクへの話の前置きがあり、この後も「あ!いってたそういえば!」と与えられるがままに情報を受け取っていました。
フサが見えていたのは若い女性の姿ということで、後半のミツとの会話で美人は好きじゃない、と言いながらここではしっかり見えた女性が美しいかどうか気になるところもキュートで、幽霊をすんなり受け入れたり行李の中身を錦の御旗だと勘違いしたり、物事はとりあえず楽しい方に考えておくところとてもすきでした。
「なのかなぁ〜♡」には口角が天井まで上がって帰ってきませんでした、にっこー!!!です。
兄弟2人でまとめてかわいい!
そこにタイミングよく現れたミツを追っていたヤクザと思われる男たちに丸腰の状態で刀を向けられて蹴りで反撃して刀を奪って優勢に立つ秋斎。
か、かっこい〜っ♡♡♡めろめろです。
この時の血液の表現なのですが、長めの紙テープを何本も飛ばすので、日によって秋斎の体にまとわりついたり、いつまでもついてまわったりするのも返り血を浴びたようにみえて、赤い照明等だけでは表せないものだなとおもいます。
この後秋斎は返り血を浴びた着物を着替えてしまうので赤と黒の着物になるのですが、この1度目の殺陣のみ最初の紫色の着物での殺陣になるため、赤い血がとても映えて綺麗でした。
人を殺めた禍々しさを受け手に感じさせながらも重たくならず、効果を最大限に生かした方法で、私は時代物のお芝居をあまり観てきていないのでこの表現が割と定番で使われているものなのかが分からないのですが、調べた限りではそれらしき情報が得られませんでした。
最後の殺陣のシーンでは血の表現が赤い照明になっていて、ストーリーがスッキリ展開していって、最初のファンが安田章大さんかっこいい〜!!となりたいタイミングでは存分にかっこいい!と思える演出でファンとしては大満足でした。
殺陣の一連の流れの中で刀を真っ直ぐに敵に向ける場面、冒頭の脱いでいる時は動揺してそれどころでは無いので、着物の袖から伸びる腕がとても筋肉質になっていて正直ここが1番筋トレの成果にしっかりメロメロしました。
ちなみに舞台観劇後同じポーズを1人鏡の前でとってみたのですが、ただのむちむちの腕をさらしただけでした、しょんぼり無念。
話は1度目の刀での殺陣にもどり、秋斎は3人の男を斬りますが、個人的に斬っているときだけでなく最後の一人に逃げられてしまうとき、振り回された刀を避けて不機嫌そうな秋斎がかっこよくて好きでした。
いつかの公演で顔に他の男を斬った返り血(のテープ)が顔にまとわりついてしまったのですが、それをはらうような仕草がまた素敵でぐっときました。
いきなり襲われたのを返り討ちにして命まで奪ってしまう怖さ、秋斎の中にある狂気的な部分と安田さんの色気、魅せるものとしての殺陣の美しさが何度でも見たくなるワンシーンです。
その後、撃たれて川に流されたと思われる行李とミツ。
その場に残された死体をどうするのだと騒ぎ出す喜三郎と死体を絵に描きだす秋斎の独特な姿が公演ごとに激しくなっていき見ていて楽しかったです(笑)
死体に対しての「でもちゃんと死んだ顔してる、死んだ?って疑問残してない!やられたー!って顔だよ!」と言うセリフも、1度観劇した後だとあぁあの人には死んだ自覚があってきちんと成仏したんだなあとまた別の受け取り方が出来ました。
明治はヤクザ相手でも斬れば捕まってしまうと聞かされた時の秋斎が情けなくて可愛らしくて、とても好きなやり取りでした。死刑かも、となった秋斎の慌て方と落ち込み方からの、行李の中身は錦の御旗では?と言い出してからのテンションの落差がすごくて、喜怒哀楽が激しいのも見ている側が秋斎にぐっと心を掴まれる魅力かなぁと思います。
死体運びとミツさがしに喜三郎を巻き込む時も全然悪いと思っていなそうな態度が逆に憎めないというか、喜三郎は幼い頃からこのおにぃちゃんがだいすきで、大層振り回されてきたんだろうなぁと劇中にない関係性まで想像してしまいましたし、秋斎は「大人数で動いたら目立つだろ」と喜三郎を説得していたのに、死体を埋めるなら男手がもう1人あったほうがいいと提案されてあっさり又蔵を連れて行ってしまったので、本当に適当な理由を並べて説得していたのだなぁと喜三郎を不憫に思いつつおにぃちゃんに弱い喜三郎と自由人な秋斎をまた好きになりました。
ここから、「世直しの歌」を秋斎がまさかのマイクで歌い始めて、着物なこともありちょっと大きめのスーパー銭湯に営業で歌いにきている歌手のようにも見えてしまって笑ってしまいました(笑)
ちょっとメタ的な表現もより楽しく観劇できたポイントかなぁとおもいます。
秋斎のダンスや歌い方がコミカルで、歌い終わった時のニカッという爽やかな笑顔がまた素敵で劇中でも特に好きだった歌です。
曲中にフサと又蔵と並んで歩くのが、RPGでドット絵のキャラクターがてくてく歩いていく姿のようにみえて可愛らしいなぁと思いながら見ていました。
闇寺に到着して幽霊のロクが見えた秋斎の反応もまた可愛らしくて、ロクを描く姿に客席からいつもくすくすと笑いが起きていて、私も笑いがこぼれました。描き終わった時によしっ!といった感じの表情をしている公演もあってそれにもにこにこ。
フサに強く当たられるロクが可愛いおじいちゃんと言う印象が強くて、こういう家庭あるなぁなんて思いました。ロクとその奥さんがご存命だった頃も、きっとこんな関係だったんじゃないかなぁ。それに「まぁまぁ」といった様子の秋斎も見ていて微笑ましいシーンで、登場人物がみんなこういうひといるよね、という解像度の高さがあってリアルなのがとても好きです。
ミツのあと、秋斎を狙うやくざが2人現れて、2回目の刀を使った殺陣ではロクが「かっこい〜!!!!」と拍手してくれるので、客席側も拍手するタイミングがあり、やったーー!!!!かっこいーーー!!ってしたかったー!!!と心の中のキャッキャ!を拍手で表しました。青木さんが安田さんのファン的な視点があるのかなぁと思った理由の一つです。
映画なら応援上映を希望したいところでした!
ミツが傷一つなかったことや、慶喜公の側室であったのに刀を使い慣れた秋斎を物珍しそうに興奮していたこと、慶喜公のところから逃げたあと5年間の空白があることからミツに不審な点が多くて、何かあるんだろうなぁというところまでは引っかかるのですが、結末まではまだこの時点ではわかりませんでした。
それに対して行李の中身については「薬」というワードが出た時点で「ぜーったいアヘンなんだけど!!!」となりました(笑)
というのも、大好きなるろうに剣心の中で恵さんというキャラクターが作ったアヘンを中心に動くお話があり、私の中で明治→怪しい薬→アヘンという偏った認識があったため、普通はそうはならないのかもしれないです。
ロクが勘太を呼びにいくため居酒屋に行く決心をする場面のロクの問いに対する3人の「太ってて小さいです」は何回みても笑ってしまって、そのあと実際にロクが又一郎を見た時の太ってて小さい!という身振り手振りも楽しく見ていて、ロクはセリフのない場面でも考えていることが分かりやすくて役者さんってすごいなぁと思っていました。
アヘンを売ってアメリカに渡るのだと語るミツの話を楽しそうに聞いてそれにのる秋斎の表情や、ミツに秋斎がお供するという場面転換の直前で、ミツの前を歩いていく秋斎が手までは繋がないもののミツを気にして振り返っているところで、あ〜こういうとこいいな〜♡とささいなことではありますが、好きで注目して見ていたところです。
場面が変わって鯖上、山路たちの会話ですが、山路の話し方があんなに訛っているのにすごく自然で驚きました。未だになんて言っていたのか分からないセリフもあります。会津の方言なのだと思いますが、今もあぁいった話し方をする方もいるのか気になります。
鯖上はこういうそんな役回りの人多いよなぁと、冒頭で書いた通り現代でもあるあるの中間管理職的な辛い立場で、それでも部下に優しく、仲間を大切に思う義理堅い性格が現れていて、登場人物の中でもかなり好きです。
初見の時は特に舌を貫かれる場面でかなり驚いてびくっ!としてしまいました。
舌ピアスをあけた経験が何度かあるのですが、当たり前に穴を開けるように作られていない簪で舌に穴を開けたらめちゃくちゃ痛いです!(当たり前体操)ニードルでも血が結構出ますし、刺し所が悪いと酷いです。あんなに某アヒルのようにはなりませんが滑舌も悪くなります。
山路の圧倒的な立場の強さと狂気が現れた場面だと思います。
苦しむヤクザの下っ端の男性をみて笑う姿が本当に怖かったのと同時に、言いなりにはなっていながらも山路にたいしてよく思っていない鯖上との関係性がよく伝わってきました。
ロクが居酒屋に到着し、行李を見つけた喜三郎と又一郎の会話で、私が察しが悪いのと思うのですが2つ目の行李が出てくるのはおかしい事にフサが言うまで全く気づきませんでした(笑)お恥ずかしい…。そこで初めて「え?ミツってもしかして…」と。
ここでやはり行李の中身がなにやら怪しい薬だとわかり、わたしの心の中の「絶対アヘン🎶」コールは更に勢いをましました。
ミツも本当は側室などではなく品川の足抜け女郎だとわかり、いくつもの違和感がスッキリ。
ミツは次から次に説得力ある嘘がでてきて頭の回転の早い賢い女性なのだろうなぁと思います。そんな賢い女性でも安定より好きな人と添い遂げることを選んで危ない橋を渡ってしまうなんてやっぱり恋って人を狂わせるなぁと妙に納得しました。賢いだけではなく度胸も品もあってとても魅力的な女性だと思います。
そして、又一郎の話を聞いて幸次郎が生きていると知ったロクの表情がなんとも切なくて、息子がヤクザになっていると聞けば普通は悲しいのかもしれませんが、そんなことよりまず生きていてくれて良かったという気持ちがひしひしと伝わってきて、きっと成仏する、おやすみと又一郎やフサに告げる時の背中が名残惜しく感じるほどほろりときました。
ロクは大好きな登場人物なので、成仏した=報われて本当に良かったです。
さよなら、とかじゃなくておやすみなのもまた素敵で、何十年も息子を探し続けたロクなので、言葉のとおりゆっくり眠れたらいいなと思います。
成仏前にお茶目な姿を見せて又一郎たちを助けるのもぐっときました。
又蔵が、将来の夢を又一郎には話したくないけれどフサには話せる感じもリアルな家族の形を感じましたし、あまりに関係ないのに巻き込まれすぎな又蔵の主張にはたしかに…と急に不憫に感じてなりませんでした。かわいそかわいい人私は好きです(笑)
その後の転換で秋斎とミツが佇んでいる姿があまりに美しくて、何度観てもウットリしてしまいました。安田さんも潤花さんも横顔がとても綺麗なので本当に様になっていました。この場面だけにでもお金を払いたいです。
ここから秋斎もミツもかなり長台詞が続いていましたが、すっと胸に入ってきて、この場面も一二を争うほど好きです。
「迷子になったと思ったけど、迷子になったのはミツの方だと思い直して、2人で歩いていたらどちらが迷子なのか分からない」という台詞も好きなのですが、
特に「あんた、この世界を自分だけのものにしたくなったことはなかった?」という秋斎の台詞から始まる掛け合いが1番好きで、今でも強く心に刺さっています。
子供のような純粋な気持ちでありながら凝り固まった考えを持ち続ける秋斎のまっすぐさを好きだと思うと同時に、ミツのいう世界なんて言葉次第だという言葉もすごく共感できて、病は気からだとか気持ち次第で見方が大きく変わることは無限にあって、そうやって少し大人になって、かつ「あの桜も桃!と呼べば自分が桃だと勘違いして本当に桃になるかも」なんておとぎ話のような、柔軟な考え方をして自分を騙して、少しだけ都合よく生きていくのも決して悪いことではなくて、楽しく生きることの重要さを感じました。
子供っぽい考え方は実は大人になってしまって柔軟さが無くなった考え方でもあって、上手く生きるために子供のような柔軟な考え方をすることも大人になることなのかな、なんて考えました。
死体を初めて見た時の秋斎の捲し立てるような長台詞も興奮がそのまま伝わってくるような、本気で心酔していたのだとわかる少しも目を離せなくなるもので、安田さんのこういう感情が前面に出るお芝居が心から大好きです。
普通の人間が理解し難いような感情を吐露されて、否定することなく受け入れるミツの器の大きさもミツを魅力的にみせてくれました。
最後の秋斎の「あぁ、見つけようきっと。あの桜の下で。」という台詞がとてもカッコよくて、この場面の始まりから終わりまでの全てが美しくて、ラストシーンと併せて今作を好きになった大きな理由の1つになりました。
※秋斎という名前が本名じゃないという台詞がずっと気になっています。ぜひ秋斎さんの本名を教えてください。
素敵だなぁ、と余韻に浸っているところで2度目のフサたちの客降りで、初めは存在に気づいていなかったので突然後ろから声がしてとても驚いた記憶があります、喜三郎の声でもう一度驚きました(笑)
誰かに見られているという言葉の意図としては山路たちに見られていたのですが、台詞をきいた時点では客席の自分たちが言われているように感じるので笑ってしまって、シリアスな場面とクスリとしてしまうような台詞が違和感なく混ざっているのが作品通して強く残った印象です。
フサと又蔵と喜三郎が人質として連れていかれると、舞台上がコロリで人が全滅した村に変わり、又一郎たちと死んだと思われていた幸次郎が落ち合いますが、ここではなにより幸次郎、ロク、罪人という全く性格の違う3人を同じ人が演じているとはとても思えない市川しんぺーさんの演技力に驚きました。
すぐには気づかずにしばらく見ていて、途中で「あれ?」と思ったのですが、ロクの可愛らしいおじいちゃんのイメージと幸次郎の強面ヤクザのイメージが違いすぎて暫く考え込んでしまいました。
ここでの幸次郎と又一郎のかけあいも可愛らしかったです。
2人ともあまり褒められた行いはしていなくて、ダメ男の部類だと思うのですが(特に又一郎)、なんだか憎めないお茶目さと人間らしさをいいなぁと思います。
行李を取り戻すため鯖上とそれに続いた山路が現れ、幸次郎に「おいの代わりに捌け」と自分の手下になるよう誘う山路。それに対して幸次郎の「アヘンをか!?」
ここで私は心の中で大きなガッツポーズでした、やった!!やっぱりアヘンだった!!クイズに正解したような気分です。
鯖上さんはここでも損な役回りで、アヘンは盗まれるわ、部下を守りつつ信じてついていった山路には裏切りられるわ、本当にろくなことがなくて又蔵以上に可哀想です。
よく漫画やドラマなんかでも、主人公の視点次第で悪者がいい人に見えたりするものですが、事情が事情であることとアヘンの取引をしていたことを差し引いても、盗まれた鯖上さんと盗んだ勘太では本当は悪いのはどちらかといえば勘太なこともありどちらの応援もしたいし味方になりきれなくて、でも現実でも完全に100:0の争いよりこういうことの方が多いよななんて思いました。
山路に人質にされたフサ、喜三郎、又蔵が殺されそうになったその時、突然響き渡る声。
秋斎「まて!!!!!!」
私「!?!?」
秋斎の声を合図に軽快なBGMも流れます。シャキーン!という刀の音とともに舞い降りる秋斎。
それまでシリアスなシーンだったのですが一気に頭がヒーローショーになりました。数百人〜数千人が見守るヒーローショーです。
これには私の中の幼女の人格も「しゅうしゃい、がんばえーっ!!!」と全力で秋斎を応援。
しかしその直後、山路の「傷は治ったか?」の問に対する秋斎の「かさぶたが痒ぃよ」があまりに漢でカッコよすぎるので瞬時に幼女は消え、メロメロの成人女性(ルビ:メス)に戻ってしまいました。文字にすると伝わりにくい台詞ですが、見た方にはきっとこの台詞の秋斎のかっこよさが伝わると思います。言い方とまっすぐに伸ばした腕があまりに色気で溢れていました。
この辺の秋斎の言葉全体的になのですが、キレ気味に巻舌なのもめちゃくちゃに良かったです。
「かさぶたが痒いよ」と同じくらい、アヘンだと知っていたのなら自分を斬るかというミツに対する「あ゛ぁっ!?」もすきで、低い声で「あぁ?」な日と濁点のついた怒鳴り声の日の違いも楽しんでいました。どちらも好きです。
その後の殺陣も大乱闘という感じで目が忙しく、それぞれがみんなかっこいいのですが、個人的には秋斎と喜三郎の2人の刀の構え方が同じで、他の人たちはバラバラなのが兄弟だから同じ人に教わったんだな、という背景が見えるのが個人的に刺さったポイントでした。
幸次郎が1度刀を刺した相手にさらにグサッと深く刺し込むのも、育ちだけでなく意思も見えてました。(戦う前に敵前逃亡した又一郎も)
ニュアンスですが、幸次郎の「てめぇになんぞつくもんか、鶏頭牛後ってやつだ。牛のしっぽにはなりゃしねぇ、俺は鶏の頭として生きるんだ」という台詞がカッコよくて、幸次郎の応援をしたくなるのですが、
散り際の山路の姿もかなりかっこよく、生き様が見えて、どんな思想であれ自らの意思を最期まで一貫して生きる人は素敵に見えるものだなと思います。なかなかできることではないです。
1度目の殺陣のときは喜三郎に「おいら頑張って峰打ちしたのにバッサバッサ斬っちゃって!」と怒られていた秋斎ですが、今回は学んで「喜三郎峰打ちだ!こいつら纏めて生かしてお上に突き出すぞ!」と呼びかけ案の定「わかってるよ!」と返される秋斎。もともと峰打ちしていたのは喜三郎なので喜三郎にとっては当たり前なのですが当然のように自分が思いついたかのように提案する暴君さと、これを言っておそらく1分もたたずに喜三郎が斬りつけられ、怒ってすぐ峰打ちをやめてしまうのも短気で秋斎らしく、とても良いです。自由人で弟を振り回しながらも、ふとした時にとっさに弟を庇うような仕草がみえていたのもきゅんとしました。
山路の死で戦いが終わり、実はミツが死んでいたとわかり、行李がふたつ出てきたところで浮かんでいたもしかしてが確信に変わり、
2度目の観劇の時に気づいたのですが、アメリカの話をしていたときに死体を埋めていた又蔵が帰ってくるところで、又蔵はずいっと会話中のミツの前にでて遮るんですよね。あぁあれ、又蔵からミツが見えてなかったからなのか。となり、「ミツは死んでいた」という事実がわかるだけで劇中の違和感が解けていくような感覚が気持ちよかったです。全てに意味があって、素直にすごいなぁと思いました。メガネがキーパーソンというのも納得。
自分の好きな人が死んでいて、眼鏡をかけていれば見えるのだとしたらどうするだろう。自分が死んでいて、死んでいるかどうか考えなければずっと好きな人といられるとしたらどうするだろう、と考えながらみていたのですが、突然の銃声に劇中何度目かのびくっ!を体験して、勘太が撃たれたことにおそらく人より少し遅れて気づきました。銃声がしてすぐは秋斎も勢いよくしゃがんで身を守るのをみて、あっそうだよな銃声がしてすぐその方向を見ないで普通は咄嗟に身を守るよな、と変に冷静な視点でも見ていました。
鯖上の言い分を聞くとたしかに鯖上視点勘太は許せないよなと思いつつ、それでもミツと一緒に居させてあげたかったなぁという気持ち半分、さっき自分ならどうするか考えたようにミツが死んでいるのなら勘太もそうであったほうが一緒に居られるのかもという気持ち半分でした。
勘太の死を受け入れると同時に自身の死も受け入れるミツが勘太との今後を夢みて足抜けしてきたことを想うとなんだか悲しくて、それでいてふたりの最期が美しくて、決してバッドエンドだとは思えませんでした。きっと慶喜公の話をしていたときの「好きでもない人と添い遂げるよりこの人と一緒にいたい」という気持ちは本当だと思います。嘘は少しの真実を混ぜると信憑性が増すなんて話を聞いたことがあるなぁと。それを考えるとやっぱり、2人にとって悲しいばかりの最期ではなかったんじゃないかなぁ。
ミツの話が好きだという勘太に同意する秋斎もまた、本当の気持ちであることがわかるほど、ミツの嘘を聞いている時の秋斎は常に楽しそうだったな、と思い返しました。
崖の下に落ちる2人をとめられなかった秋斎は、なんのためのてんてこまいだったんだ、と項垂れますが、この「俺の頑張りはなんだったんだよ!」という感じもマニアックのラストを彷彿とさせました。全然違った結末のお話ではありますが、青木さんタッグの安田さんが演じる役はがっくりしたあと前向きになる傾向にあるなぁ。と思って、意図的なのかどうか気になっています。
フサが能力を使えるようになった経緯を話す際の舞い落ちる桜を纏いながら流す2人の涙が綺麗で魅入ってしまいました。
頼れるお母さん、という雰囲気でフサさんが大好きなのですが、それまで強い人のイメージがあったフサの弱い部分が見えて、家族を沢山失ったからこそ甥っ子の又蔵のことを気にかけたりと、結んだ縁を大切にしているのかなと感じました。
フサの話と三味線をきっかけに、自身が描くべき絵がわかった秋斎の、山でミツと話した時のような捲し立てる様子に、ちゃんとあの桜の下で自分のしたいことを見つけられたのだなぁと一緒に嬉しくなるような気持ちが湧いてきました。
この時出会うべきだった女性はフサだったのだと秋斎は言いますが、これが本当にそうなのか、秋斎がそう思っただけなのか、はたまた2人ともそうだったのかも観劇中は気になっていたのですが(自分の姿が見えてフサは気づかないかな?若い女性と言っていたからやっぱりミツじゃないのかな?と思ったので)
いまはそれが誰であれどんな出会いが自分にどんな未来を及ぼすか分からないからこそひとつひとつの縁を大事にしたいなぁと感じてます。
マニアックのときは音楽劇でしたし、今回も素敵な音楽が沢山使われていて、ラストシーンの死んでしまったミツ、勘太をはじめとした面々や、生きている喜三郎やフサたちもみんな一緒になって歌って踊る様子は本当に楽しくて、これから秋斎がかきたい、描くであろう浮世絵もきっとこういうものなのだろうと容易に想像出来ました。
見ているこちらもウキウキするような音楽と登場人物たちの笑顔で、観劇の度この場面が楽しみでした。歌の中で、上手の方と一緒にぴょんっとジャンプしたりしていて、敵も味方も関係なく楽しむ姿にぐっときました。
音楽が鳴り止むと舞台に秋斎だけが残って、ピンスポットに照らされて舞い落ちる桜と秋斎の高らかな笑い声が何時までも記憶に残っていて、劇中好きだなと思った台詞に負けず劣らずこの笑い声と光景が大好きです。
秋斎や喜三郎、フサたちがあの世界で生きていく「これから」を感じました、きっと沢山の絵をあの独特な描き方で死ぬまで、死んでも描き続けるのだろうなぁ。
いつの公演だったのか忘れてしまったのですが、1公演安田さんがカーテンコールで舞台袖で拾った桜の花びらをパッと天に向かって投げたことがあって、これが本当に粋でかっこよくて、ファンとして誇らしい気持ちになりました。
床に落ちた桜を見て、それを拾った過程なんかも想像してほっこりしています。
早口でせかせかした秋斎と対比のように、東京楽千秋楽のカーテンコールでお話してくださった安田さんはいつも通りおっとりしていて、それでいてグループでいるときはニコニコしてメンバーを見ていることの多い安田さんですが、演者の皆様のセンターに立つ座長としていつもより凛々しく見えて、「全員が座長という気持ち」と語る姿がまた誇らしく、主演でもそれ以外でも今後も色んな役を演じる姿を見せて欲しいなと感じました。
演劇という文化を次の世代に繋げていきたいという気持ちも一貫していて、その想いに応えたいな、少しでも気になる作品は観に行きたいなと感じていますし、安田さんがそう思っているのと同じように私も安田さんをよく知らない方にも安田さんの出演する舞台を見に来て欲しいと強く思います。
よく該当の出演者さん以外のメンバーのファンの方がチケットをとるのが申し訳ないといった声もSNSで拝見するのですが、誰のファンでも関係なく見にいってほしいです。(私個人の意見ではありますが)
青木さんとのタッグでの舞台も是非また出演して欲しいですし、それ以外のまだ見ぬ役柄も全て楽しみにしています。
今回共演された方々も皆さんが素敵なお芝居をされていて、どの登場人物も大好きになったので、今後のお芝居もまた拝見できたら嬉しいなと感じています。
SUPEREIGHTのファンをしていていくつもの初めての体験がありましたが、演劇をすきになるというひとつのきっかけを与えてくださったことに感謝して、私もまた次の世代に繋げられたらと思います。
長く拙い文章ではありましたが、もしここまで読んでくださった方がいらっしゃればありがとうございました。
今後も安田さんに沢山の演劇のお仕事のご縁があり、沢山の方の目に触れることを心から願っています。
青木さん、安田さん、共演者の皆様、スタッフの皆様、素敵な時間をありがとうございました!
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