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母のお好み焼きは魔法だ!

東京生まれ東京育ちの私のソウルフードは母のお好み焼きである。というのも、大阪出身の母の得意料理だったのである。

我が家のお好み焼きはいたってシンプル、タネと豚バラとキャベツだけ、後はソースとマヨネーズ、あれば鰹節や青のりだけである。

しつこい性格ながらも、3食同じものを食べれば飽きていた私が唯一連続しても食べられるのがお好み焼きである。

だが、シンプルなのは材料だけではなかった。
ある日、母にお好み焼きの作り方を教わりたいと言ってみたら、
「混ぜて、焼くだけやで。」

いや、そこじゃなくて、焼き方は?
「おいしそうに焼く。」

ん?
「良い匂いがしたら、出来上がり。」

あまりにも感覚的過ぎて、私には結局分からなかった。だが、一つだけ母の名言がある。
「一つだけ、ポイントは粉もんは後でなんとでもできるからむやみやたらと焦るな。」
つまり、
ひっくり返すのに失敗して慌ててしまうことがよくあるが、そこで形を整えようと無理に触るな、ということらしい。確かに、母もしょっちゅうひっくり返すのには失敗していたが、いつの間にかにいつものおいしそうなお好み焼きができているのである。
まさに、魔法のようである。
いい匂いにつられて家族が集まり、団らんが始まる。そして、みんなで母のマジックショーを眺めていた。私も母が焼く姿をいつもわくわくとお箸を構えて、待ちかまえていた。この時間がたまらなく好きだった。

ちなみに、この名言、お好み焼きだけではなく、同じく粉もんの代表格であるたこ焼きにもあてはまる。それを実践している内に、私は知り合いから「たこ焼きマスター」という異名をもらっている。江戸っ子なのに。。。
そんな私も、今ではビールを片手に母のショーを観るのが最高の時間である。

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