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明確な理由|山口2023

綿密な旅の計画

山口県の県庁所在地は、山口市である。都市の規模的にも知名度的にも、山口県といえば下関や宇部、萩などが主力であるため、なかなか行く機会のない県庁所在地だ。そんな山口市には、今回明確な理由があって訪れた。(明確な理由:位置情報の取得

宇部空港に降り立ち、空港バスで新山口駅まで向かう。

空港バスの案内で、「しばらくの間、ご辛抱願います。」とのアナウンスがあった。ご辛抱と言うからには、どれほど厳しい環境かと思われたが、普通のバスよりも快適なぐらいのナイス空港バスである。

新山口駅から山口駅までは、JRで向かう。なおこのとき乗り換えの時間は、まさかのゼロ分。ただ、このての空港バスと電車の連絡というのは、大抵待ってくれるものなのだ。問題ない。

・・・まんまと乗り遅れた。

バスが到着したとき、山口駅行きの電車がホームにあるのを確認、バスを降りて階段を駆け上り、改札を抜けたところまではうまくいったが、いかんせん土地勘のない駅。降りるホームを誤り、あと一歩のところで、乗るべき電車を見送ることになってしまった。さすがにゼロ分乗り換えは、客が乗ることを想定はしていないらしい。

気を取り直して、ルートを再構築する。綿密な旅の計画が崩れてからのルート復帰こそ旅の醍醐味なのだ。そうに違いない。

次の電車は1時間待ちだったが、幸いにもほぼ同じルートを通る路線バスがあった。これで山口市まで向かえばリカバリー可能。ナイスだ路線バス。

山口県庁 山口藩庁

路線バスの終点の山口県庁で降車する。やはり、山口市に山口県庁はあったのだ。

さてこの山口県庁、もとは山口藩の藩庁のあった場所にある。山口藩とは萩にあった長州藩が幕末に山口に移転したときから呼ばれるようになった名称である。つまりは、毛利の殿様がいた場所である。

そんな山口県庁なので、若干の史跡が残っており、薬医門(門の様式の一つ)がその一つ。藩庁の門がこうして残り、かつての藩庁が、今は県庁として同じく行政機関として機能していることが面白い。

山口県立美術館 佐藤健寿写真展

県庁から少し歩いた場所に、山口県立美術館があり、ここが今回の旅の目的地である。「クレイジージャーニー」などでお馴染みの写真家、佐藤健寿さんの大規模個展「奇界/世界」が開催しているのだ。

武蔵野美術大学卒。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆。写真集『奇界遺産』シリーズ(エクスナレッジ)は異例のベストセラーに。TBS系「クレイジージャーニー」、NHK「ニッポンのジレンマ」ほかテレビ・ラジオ・雑誌への出演歴多数。

出典:山口県立美術館公式ウェブサイト


あいにく展示室内は撮影禁止だったが、とてもよい写真展だった。クレイジージャーニーで紹介されたものも含め、世界中の人、文化、民俗の展示。こうして見ると、世界は距離的な意味でも文化的な意味でも広大で、好奇心が掻き立てられる。

そして、今年こそ海外への旅を再開することを、決意をあらたにした。人に影響を与える写真展は素晴らしい。

浜田市に泊まる明確な理由

たっぷり写真展を鑑賞したのち、この日の宿である浜田市へと移動。浜田市は島根県西部の市で、取り立てて何があるというわけではないし、目的という目的もない。

なぜこの地を選んだかというと、「浜田市から広島駅までの高速バスが出ているから」という理由である。つまりは効率的に位置情報の取得が叶うという、明確な理由によるものである。

浜田市の宿では、近くのスーパーで購入した惣菜とお酒をいただき、旅のテンションも手伝って、すっかりご機嫌になる。浜田市を歩いたのは、駅からスーパーとホテルの往復のみである。

翌朝、浜田駅から出る始発の高速バスに乗り込み、一路広島へ。前日あれだけお酒をいただいたものの、うまく始発に乗れたので、広島駅には予定よりも早めに到着した。せっかくだから広島の観光を・・・

しない!

しないで、在来線を乗り継いで福山まで向かい、そこから新幹線で帰ることにする。もちろん、在来線でしか取れない位置情報のためという、明確な理由のためである。

車窓から見る瀬戸内海の島々は美しかったよ?

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