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発見、海南鶏飯|シンガポール2024 #5(完結)

前回:ガーデンズ・バイ・ザ・ベイがキラキラしすぎ


オーチャード・ストリート 荷物を預けられる

シンガポール最終日。ホテルをチェックアウトしてオーチャード・ストリートに向かった。

夜便で帰国する場合、普通は荷物をホテルで預かってもらう。が、今回のホテルは駅から遠いので行き来が面倒。日本なら駅のコインロッカーに預けるところ。しかし、ここシンガポールでは全く見かけない。

だがあるのだ、ION Orchardには。

コインロッカーが無いのは海外あるあるなのだが、シンガポールでは街なかに唯一、オーチャード・ストリートのデパートにあることを友人が突き止めた。むしろ何故ある。

ION Orchardの隅にコインロッカーはあった。事前に地下のダイソーでくずした1ドル硬貨で2人分の荷物を無事に預けることができた。認知度が無いのかあまり使われている様子も無い。やはり何故ある。

身軽になった僕らは朝食へ。ION Orchardの向かいにあるラッキースクエアに向かった。ION Orchardが銀座の高島屋だとすれば、ラッキースクエアはニュー新橋ビル。そのくらい渋みとローカル感に溢れる建物だった。

そんなラッキースクエアにあるのがラッキーチキンライスという大衆食堂。シンガポール料理の代表格である海南鶏飯(シンガポールチキンライス)が食べられる。

店に入ると頑固そうなおじさんが席へと案内してくれた。渡されたメニュー表を解読しチキンライスを注文。するとおじさん、

「ヤサイ?モヤシ?」

とカタコトの日本語で聞いてくる。察するに付け合わせ的なことのようだ。モヤシはヤサイに入るのではと思いつつ「モヤシ、プリーズ」と、初めて言う単語の並びで回答する。

やがて運ばれてくるチキンライス。口に入れた瞬間に分かる「あ、これ美味いヤツ」。さっぱりしたチキンと米にしっかりとタレが染みており、かつ、くどくない。少ししょっぱいなと思ったら、件のモヤシを食べるとちょうどいい。

今回の旅の食べ物の堂々1位である。なお、前日に食べたエッグベネディクトは生涯ランキングに食い込む勢いのため選外とする。

シンガポール・フライヤー 資本主義

旅先で美味しい食べ物に当たるとテンションが上がる。その足で僕らはシンガポール・フライヤーへと向かった。F1シンガポールGP開催により動いていなかったアジア最大の観覧車である。

平日の朝のためか人も少ない。少ないがチケット売り場が一つしかなく、やたらと時間がかかる。さらに名前を入力しなければならない。なぜこんなにも面倒なのだ。どこに行った先進国。

と、心の中で悪態をつきつつ入場。アジア最大の観覧車の前に「タイムカプセル」という展示エリアを通っていく。このタイムカプセル、要は子どもも楽しめる学習館で、マスコットキャラクターの変なロボットがシンガポールの歴史を紹介する。ミート・ザ・ワールド。

展示エリアを抜けると、NHKうたのお兄さんよろしくテンションの高いスタッフがカメラを構えていた。マスコットと一緒に写真を撮りましょう!さぁさぁスマイルスマイル!と、促されるままに写真を撮られる。

彼のカメラには、氷のような苦笑いが写っているはず。

ようやくシンガポール・フライヤーに乗車。一つのゴンドラに30人弱が乗れるのだが、ガラガラだったので1組1ゴンドラ。心ゆくまでウロウロキョロキョロすることができる。

一周30分、最大の観覧車からシンガポールの街並みを見渡す。F1の後片付け、停泊する数々の船、さらに拡張するベイエリア、密集する有名金融企業と、世界中の資本がここに集まっているようだ。まるで資本主義のテーマパーク。

以前、イケイケな都市を見るために上海に行ったことがある。確かにイケイケだったが、建物のデザインや街の雰囲気など一昔前を感じた。対してこのシンガポールは、今後ますます発展することが約束されているように感じる。今、このときに来ることができて良かった。

観覧車をおりると土産物屋があった。氷の苦笑いの写真があった。うたのお兄さんにはNo, Thank you. と伝えた。

国立博物館 いいぞラッフルズ卿もっとやれ

ここで一旦自由行動タイム。僕は迷うことなくシンガポール国立博物館へと向かった。

14世紀以降の歴史系の博物館で、大航海時代、イギリス植民地時代、第二次大戦、戦後の独立と発展の時代までの展示がされている。当時の建物を模したオブジェがいくつも展示されているので江戸東京博物館を感じる。

特に興味深かったのはラッフルズ卿関連。シンガポール中に地名として残るラッフルズ卿は、イギリス植民地行政官でシンガポールの創設者にあたる人物。

当時辺境だったシンガポールの交易拠点としての資質をいち早く見抜き、「われわれが所有する植民地の中で最も重要」と自由貿易拠点として発展させた。まさに現在のシンガポールの父と言える。

そんなラッフルズ卿の趣味はジャングル探検。行政官自ら探検隊を組織して自ら探検する日々だった。そんな我らがラッフルズ隊長は探検で見つけた花に自身の名前をつけた。デカイクサイテンタクラーロッドでお馴染みラフレシアである。

チャンギ空港 ユニクロ

たっぷりシンガポールの歴史を学んだ後、ION Orchard で友人と合流。帰国のためチャンギ空港へと向かう。

チャンギ空港にはジュエルという超巨大ショッピングモールがある。空港併設だが土産物というよりも高級ブランド店が並ぶデパートだ。今回の旅で何回高級ブランドを目にしたことか。

そして室内に滝がある。地上5階、地下5階を貫く人工滝は夜にはライトアップされ、飛行機を待つ人も待たない人もマイナスイオンだらけにさせる。

高級ブランドもマイナスイオンもそこまで興味は無いので、ターミナルに移動して出国審査。珍しいパターンとしてチャンギ空港は出国して搭乗ゲート直前に保安検査がある。つまり飲み物が買えない。

飲み物は買えないが残ったシンガポールドルを使い切りたい。ここに至るまでクレジットカードが使えすぎて現金がかなり余る。

そんな僕の目の前にユニクロが。ユニクロは最高だ。シンガポールでもお手頃価格だ。新品のユニクロシャツで夜便の飛行機も快適に違いない。

が、うとうとする度にピンポンピンポン鳴る飛行機にうなされる。どれだけ気流に突っ込む気だ。帰国したころ、新品だったシャツは新品じゃなくなっていた。

帰国後、家の近くに海南鶏飯の店を発見した。あのさっぱりしょっぱい味がもはや懐かしい。これもラッフルズ隊長が発見したに違いない。

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