醤油が幸せにしてくれた|香川2016
金刀比羅宮 どうかしている石段
三連休の予定が決まらないまま、土曜日の朝を迎え、当日夜に夜行バスでの四国行きを決める。無計画にもほどがある。
そして夜、新宿(代々木)から夜行バスに乗り出発。夜行バスは3列独立席。夜行バスの中では快適な方だが、そこは夜行バス。首枕・耳栓・アイマスクを持ち込むが中々寝付けず。寝ては起き、起きては寝ての繰り返し。
徳島でほとんどの人が降りた後、位置情報取得のため、終点の阿南駅まで。阿南駅で降りたのはたった2名だった。
位置情報さえとってしまえば、阿南駅には用はないので、さっさと電車に乗り徳島駅へ。徳島駅前でタリーズで朝食をとりながら、今後の移動ルートの詳細を考える。とりあえず、徳島を横断して琴平に向かい、高松から小豆島へ渡るのが今回のルート。
徳島から特急(という名の古い列車)で琴平駅へ。つまり徳島の思い出は、タリーズの朝食のみである。
琴平駅から山の上の金比羅宮まで長い長い石段を上る。途中はお土産屋が軒を連ね、大量の修学旅行生がやたらと多い。どこからきたのかは分からないが、確かに修学旅行向けの場所ではある。
こんぴらさんの愛称でお馴染みの金刀比羅宮は、1368段の石段の上にある。那智大社は467段らしいので、およそ3倍である。どうかしている。
また季節ではこの石段を走る、石段マラソンというイベントがあるらしい。本当にどうかしている。
またところどころで、石段かごという、かごに乗せて運んでくれるサービスもあるようだが、運ぶ人の腰が心配である。
丸亀城 石垣で喜ぶ親愛なる友人
現存12天守の一つ、丸亀城へと向かう。
駅から城までの商店街は屋根もありそこそこの規模だが、見事なシャッター街。そして丸亀には丸亀製麺はないことを知る。(丸亀製麺は兵庫県の会社らしい。)
丸亀城は、天守閣自体は小ぶりなものだったが、遺構は数多い。
石垣の保存状態が良いので、歴史好きな友人に写真を送ったら大変に喜ばれた。どこの城とも言わずに、急に石垣の写真を送りつけられて喜ぶ人は、そうはいない。
丸亀城を後に、小豆島へ渡るべく高松へ移動。フェリーの時間が無いと思い、駅からダッシュで向かったが、ちょうどこの日は瀬戸内国際芸術祭の初日。臨時便で便数があり乗り放題だった。
すっかり寝こけて、気がつけばあっという間に小豆島だった。
小豆島 醤油の香ばしさが幸せを運ぶ
到着した場所は草壁港という、宿をとっていた場所とは異なるエリア。
ここは醤油の蔵が数多く残る地域で、街中が醤油の香りに包まれるという、僕にとっては夢の街。
醤油蔵の黒い壁は、醤油酵母によるものだそう。小豆島の醤油蔵は、昔ながらの、巨大な木桶で醤油酵母を発酵させて作るという製法のためだ。
予想以上の職人エリアっぷりに、途中のお土産屋で、これらの蔵で持っている紋章(家紋のようなもの)がプリントされた手ぬぐいを購入してしまう。お土産屋の解説によると、日本酒のように作られるので、ここでは蔵で持っている酵母が命。家紋のように各蔵では紋章(蔵紋?)があるそうだ。
醤油の香ばしさでお腹いっぱいになったところで、宿へと向かう。島内のバス停で待っていると、通りかかりの車にのったご婦人に、途中まで送っていこうか?と声をかけられる。なにそれ小豆島の人優しい。(バスがすぐ来る時間だったので、お気持ちだけいただいた。)
宿のある土庄港エリアのスーパーで夕食の買い出しをして、ホテルにチェックイン。ホテルは海に面した素敵なところではあるが、そこそこ古い建物だった。ただ、和室で古いけど広いし、浴場は1人占めだったしでゆったり。
翌日の予定を考えていると、どうやら千枚田が見どころらしいことに気が付く。だが、徒歩では無理な場所にあるので、朝イチでタクシーを呼ぶことにする。22時を過ぎていたが、ホテルの人は快く対応してくれ、無事に予約完了。小豆島の人にはもろもろ感謝である。
千枚田 広々
翌朝8時にチェックアウトをすると、昨夜呼んでもらったタクシーがすでに待っていてくれた。千枚田に向かってもらいながら、運転手のご婦人から、たっぷり小豆島のお話を伺う。
千枚田は、なかなか見応えのあるものだった。夏や秋だとさらに綺麗だろうが、この時期でも広々と山間に広がる田の眺めは気持ちがいい。
ところで、ここ小豆島は、瀬戸内国際芸術祭の会場の一つでもあり、いくつかの作品がそこらで観ることができる。千枚田の近くには、「オリーブの夢」という展示があった。まだ制作途中なのか中には入れないが、地元の竹で作られた作品だ。
もう一つ、「海のうつわ」という作品を見て、土庄港地区に戻る。この後の国盗りを考えると、そろそろ移動の時間。名残おしいがもう一つの港、福田港へと向かい、位置情報を取得するためだけに姫路に遠回りした。
思いつきで無計画だったが、小豆島は観るものあり、人も親切という、本当に良いところだった。やはり瀬戸内は良い。
何より醤油の香ばしさが僕を幸せにしてくれる場所。